フットワーク練習の意味と具体的な練習方法|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ フットワーク練習の意味と具体的な練習方法|頭で勝つ!卓球戦術

2023.11.26

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

今回のテーマはフットワークだ。フットワークは卓球で勝つためには避けては通れない練習だが、「どんな練習をすればいいのか」という悩みを持っている方は多いだろう。

今回は初心者の方を対象に、私なりに「フットワークとは何か」や「オススメのフットワーク練習」などをお届けする。

>>【卓球初心者必見】フォアドライブの基本 打ち方や練習方法を解説

フットワークは2種類に分けられる

「フットワーク」と聞くとあなたは何を思い浮かべるだろう。

学生時代に行った、身体をとことんいじめ抜くキツいフットワーク練習を思い出すかもしれない。あるいは、森薗政崇選手や許昕(シュシン)選手のような、どこに打たれても素早い足さばきでボールを追いかけるプレーを想像するかもしれない。

張本智和(木下グループ・写真左)と許昕(中国)
写真:張本智和(木下グループ・写真左)と許昕(中国)/撮影:ラリーズ編集部

私自身、フットワークという言葉の意義には2種類あると考えている。

ひとつは、どこに打たれたボールも拾う、いわば「ボールを追うフットワーク」。そしてもうひとつは、相手の打球に対して、自身の体を適切な位置に移動させる、いわば「ボールに合わせるフットワーク」だ。今回はこの2種類に分けて考えてみたいと思う。

追うフットワーク

こちらは考え方としてはシンプルだ。自分の体よりも遠く離れたコースに打球が来たときに、それを見送らずにしっかりと追いかけて返球する力である。

先程例にあげた、森薗選手や許昕選手などはこの能力が秀でている最たる例だ。


写真:果敢なフットワークを見せる森薗政崇(BOBSON)/提供:ittfworld

彼らのレベルに達するには、類まれなる身体能力に加えて、脚力や反射神経などもかなり高いレベルで求められることになるだろう。さすがにこれは届かないだろうというコースのボールにも、体をバネのように使い、喰らいついて見事に返球する姿は、観るものを魅了する派手さがある。

合わせるフットワーク

対してこちらの合わせるフットワークは、先程の追うフットワークに比べるとやや地味である。

卓球はひとつとして同じボールは飛んでこない。ゴルフならばボールは止まっているため、自分のスイングさえしっかりと固めれば、安定したショットが打てるだろう。

しかし卓球の場合は、たとえ練習であっても、全く同じ箇所に、全く同じ高さ・スピード・回転のボールが来るというのは、100%ありえないのだ。出そうと思っても無理である。そのため、そのときに来た1球1球に合わせて、自分が動いて調整をしなければならない。

もちろん、ただ単純にラケットに当てて返すだけならば、ボールに合わせて手だけを動かせば充分だ。しかしながら、良いボールを送るためには、然るべきポイントでボールを打球できるように、然るべき位置に足を運ぶ必要が出てくる。そのために、フットワークが重要になってくるのである。

フットワークを鍛える練習

ではここからは実際にフットワークを鍛える練習方法についてお伝えしよう。

追うフットワークにオススメの練習

基本的にボールを「追う」場面で最も多いのは、バック側を回り込んでフォアハンドで処理して、次球がフォア側に来た、というケースであろう。これはシンプルに、「飛びつき」という動作でボールを追いかけることになる。

足の動かし方を解説する。

まずバックを回り込んだと想定して、バックサイドに立とう。そこから、右足を大きく右側に出す。と同時に、ボールをつかみにいく気持ちで左手を伸ばす。そうすると腰が右側に回転しているはずだ。そこでしっかりと右膝に体重を乗せて、力強く地面を蹴りながら、腰を捻ってラケットをスイングする。

ほぼ同時に左足を大きく右側に着地させ、それに伴って右足も着地だ。言葉で表すと難しいが、まずはやってみよう。最初は、この飛びつきの動作を体に思い込ませる為に、ボールを使わずにやってみよう。

コツは、最初の1歩目の右足を、なるべく遠くへ置くことだ。そうすることでより遠くのボールまでカバーできるのと同時に、しっかりと低い姿勢を保つ事ができる。

そして、いくらフットワークといっても、足だけの力では限界があある。そこで、上半身にも協力してもらおう。左手でボールを掴みにいく動作と説明したが、これが非常に大事になってくるのだ。これにより上半身のひねりが生まれ、その反動を使ってしっかりと大きく飛ぶことが可能になるのだ。

やり方が分かったら、実際にやってみよう。ここでは多球練習でやるのが効率的だろう。送球者にはまずバック側にツッツキを想定した下回転のボールを送ってもらう。それを回り込んでフォアハンドでドライブ。その後はストレートにブロックされたと想定し、フォア側にロングボールを送ってもらう。それを先程お伝えした「飛びつき」によって対応する。

最初はそこまで厳しいコースでなくとも構わない。あまり厳しすぎると、慣れていない選手は怪我をする可能性もあるので、まずは足の動かし方を体に身につけることからだ。慣れてくれば、徐々にコースを厳しくして、距離の遠いボールにも拾えるようになっていこう。

合わせるフットワーク

さて続いては合わせるフットワークだ。

こちらはフォアハンドドライブで、少しずつ足を動かす練習をしてみよう。まず大前提として、自分の「フォアハンドドライブの打球するポイント」というのを、確実に定めておく必要がある。たとえばバックハンドなら、「自分のおへその前のあたりで打つ」のが最もよいとされている。フォアハンドの場合は、「右膝の斜め上あたり」がポイントになるだろう。ボール1球1球に対して、しっかりと右膝上のポイントに来るように足を運ぶのだ。

このときは先程の足を交差させる飛びつきではなく、2歩動と呼ばれる、反復横跳びのときに使う足の動かし方だ。(それに対して飛びつきは3歩動とも呼ばれる)。

ではこれを鍛える実際の練習メニューをやっていこう。実践するのは、「バック対半面ランダム」だ。今回もまずは多球練習で行う。

練習相手にはバックサイドから、こちらのバック側の範囲内でできるだけコースを散らして送球をしてもらい、それをひとつずつしっかり足を動かしてフォアハンドドライブをしよう。このとき手を伸ばしたり、ボディワークを使ったりして怠けずに、ちゃんと1球ずつ足を動かすことを重視しよう。

打球点は落としてもかまわない。慣れてきたら徐々に打球点を早めたり、ドライブを強く打ったりしてレベルを上げていこう。ある程度しっかりとできるようになれば、多球ではなく1球で、相手にブロックしてもらってやるとよいだろう。

そしてこれを、相手のバック対こちらのフォア半面ランダムでも行ってみよう。

内容は同様で、フォアサイド半面の範囲内で、コースを散らして送球してもらい、足を動かしながらフォアドライブだ。ストレートコースなので距離が短くなる分難易度は上がるが、必ず必要な練習である。

特にフォアサイドでストレートにドライブを打ったボールが、こちらのミドルに返ってきた際に、足をしっかりと動かしてフォアハンドドライブで連打できるかどうかで、実力は大きく変わってくる。ぜひこの練習で、フォアからミドルへ動いてドライブを連打するということを身に着けて欲しい。

まとめ

今回は初心者の方向けに、フットワークの2つの意義と、やるべき練習についてお伝えしてみた。

練習法については、細かく言えば他にも意識を払うポイントがあるのだが、挙げていけばきりがないので、まずは今回の内容でしっかりできるように練習しよう。

今後はレベルを上げていって、バック対3分の2に範囲を広げるなどすれば、より広い範囲をカバーする力がつくし、バックハンドも使用すれば、素早い切り替えの練習にもなる。こういった練習を地道にやっていくことが、初心者の上達にあたって非常に重要になってくるので、ぜひ目を背けずに挑戦していって欲しい。

若槻軸足インタビュー記事

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