文:ラリーズ編集部
卓球の低年齢化が進む中、遅咲きで全国大会を目指す選手に送る本企画。
第2回のテーマは、苦手な技術との向き合い方だ。
今回も中学の部活動で卓球を始めた卓球歴3年の宗萌美さん(千葉商科大学附属高校1年生)を、プロコーチの原田隆雅氏(礼武卓球道場)が指導する様子をご紹介する。
>>【第1回】中学スタートで全国大会を目指すために大切な“初期設定”とは
原田隆雅(はらだたかまさ)。現役時代は福岡の名門柳川高校から同志社大学、実業団のリコーで活躍後、葛西(東京都江戸川区)に礼武卓球道場を設立。プロ卓球コーチとしてジュニアから大人まで幅広い世代を指導。テレビCMの卓球シーン監修なども手掛ける。
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まずは長所を把握しよう
苦手な技術の克服に入る前に大切なのが長所の把握だ。長所には得意な技術に加え、メンタルや卓球に向かう姿勢も含まれる。
宗さんの場合は、「卓球への熱意がある。ガッツがあって(試合の中で)自分を表現して頑張れる」ことが最大の長所だと原田氏は見抜く。
技術的には「(女子選手には珍しく)フォアでしっかりドライブが打てることが武器」と長所を整理している。
その上で苦手としているバックハンドのフォーム矯正をスタートした。
フォームを矯正する際は「大胆に」
写真:原田隆雅氏(礼武卓球道場)/提供:礼武卓球道場
原田氏は、苦手な技術の改善方法として「的を絞って大胆に改革することで、弱点を武器に変える」というアプローチを採用する。
バックハンドに異質ラバー(アタック8)を使用する宗さんのケースでは「不器用なので細かいテクニックで変化をつける技術を覚えるよりも、大胆に打っていく方が合う」と原田氏は判断。手首を使って変化をつける守備的なプレーではなく、前に押しナックルが出る攻撃的な打法への矯正をスタートした。
【バックハンド】ラケットの位置を高く保つための練習法
まずはじめに着手したのは、ラケットの高さが下がってしまう癖の修正だ。
台よりもバックスイングが下がってしまうの防ぐため、台上で打つ多球練習を取り入れた。
台上であれば、バックスイングを下げると台にぶつかってしまうため、強制的にラケット位置を高く修正できる。
実際の指導シーン 6:48〜
【バックハンド】異質ラバーでナックルを出すためのコツ
また、2つ目の修正ポイントは異質ラバーでナックルを出す打法への変更だ。
フォーム矯正前の宗さんは、安定感を出そうとして下から上にスイングする癖がついていた。
下から上に振ることでドライブ(前進回転)がかかり、相手にとって取りやすいボールになっていた。
これを後ろから前に押し出す打ち方にフォームを修正し、ナックルが出るように変更していく。
実際の指導シーン 8:21〜
この時、意外と大切なのが、嫌らしいボールが出るせいで、練習相手とのラリーが続かなくても全く気にしないことだ。
性格の優しい選手ほど、「練習相手のためにラリーを続けなればいけない」と思いがちで、そのため思い切ってナックルを送球できないケースがあるからだ。
今回のまとめ
図:まとめ/作成:ラリーズ編集部