必ず身に付けたい鉄則のコース取りとは|頭で勝つ!卓球戦術 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球プレーヤー向け 必ず身に付けたい鉄則のコース取りとは|頭で勝つ!卓球戦術

2023.09.25

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

社会人選手は、普段仕事をしていて思うように練習時間を確保することが難しい。

わたしも中学から卓球を続けている。社会人になった今は、練習時間が少ない上に、体力も落ちた。学生時代の動きのキレははるか昔。輝かしい身体能力を取り戻すことは、この先無いであろう。

そんなおじさんになっても、ちょっと頭を使えば活きの良い若い青年たちを打ち負かすことが出来るのが、卓球の面白いところである。

その為に最も重要な、しかも最も簡単な戦術がある。

それが、「ミドル攻め」だ。

>>【頭で勝つ!卓球戦術】フルゲーム11-9で勝つ為に「見せ球」の使い方

なぜミドルを狙うべきなのか

卓球でもっとも相手が嫌がるコースはミドルである。ミドルとは、右利き選手でいうとパンツの右ポケットのあたり。ラケットを握っている腕の付け根を通る、縦のラインである。

ミドルに来たボールは非常に返球しづらいので、ここをうまく攻めることが出来れば、間違いなく勝利へと大きく近づく。その要因は、大きく分けて3点ある。

フォア・バック、どちらで返球するか迷う

シェークハンドの場合、ラケットで打球するのには、フォア面かバック面かの2つだ。フォア側に来たボールには、フォア面を使い、相手のボールの回転に負けないように面をやや被せて返球する。バック側に来たボールにはもちろんバック面だ。

だが、ミドルに来たボールに対して返球するために用意された面はないのだ。

なので、バック面を出して、利き手の方向に動かすか、フォア面を出してフリーハンド方向に手を動かすか、といったワンアクションを起こさないといけない。

これをどちらでやるか、瞬時に判断することは非常に難しい。

適切なラケット角度を出すのが難しい

まずフォア面かバック面、どちらで打つか迷う。そこで一瞬の迷いが生じるため、しっかりと相手のボールの回転に対応したラケット角度を用意するのが、どうしても遅れてしまう。

ミドルに来たドライブボールを、なんとかラケットには当てたものの、面が作れず回転に負けておもいきりオーバーしてしまう、という光景はよく目にする。

返球されても甘いボールで返ってくることが多い。

ラケット角度を出すのが難しい、よって相手がなんとかうまくラケットに当てて返球してきたとしても、ある程度甘いボールで返ってくることが多い。

なので、言わずもがなその後の展開を優位に進めることが出来るであろう。さらにもう1本ミドルに打ち込むもよし、両サイドを割る厳しいコースに打ち込むもよし。

>>確実に卓球が上達する練習方法とは?知っておきたい練習のポイント

なぜミドルが効くのか、また我々もミドル処理が苦手なのか

卓球を何年も続けてやってきている人にも、ミドル攻めは効く。あるいはあなた自身も、卓球を何年もやっているのに、ミドルに来たボールへの対応が苦手ではなかろうか。その答えは簡単。ミドルの練習をしていないからだ。

例えばよくある練習メニュー。練習者は相手のバック側にボールを打ち込み、それを練習相手は指定されたコースにブロックをする、というもの。

この、「練習相手のバック側に打ち込む」というのが形骸化されているように思えてならない。

このとき、「練習相手のミドルに打ち込む」とすれば、双方にとって効果の高い練習になるのは間違いない。私もよく練習で、サーブを出して、3球目ドライブをミドルに打ち、そこから相手のミドル対バック3分の2フットワーク、あるいはフォア3分の2フットワークというメニューを行っている。

練習の段階でこういうちょっとした「実戦に効果的な工夫」をするかしないかで、実力には大きな差が出てくる。

そして、こういった工夫をやっていない人がほとんどなので、「ミドル攻めが効く」という状況が生まれているのであろう。

具体的にミドルを狙うタイミング

では実戦においてどのようにミドルを狙うのか、局面ごとに考察しよう。

サーブ

まずはサーブである。あまりサーブからミドルを狙うイメージはないかもしれないが、サーブにおいてもミドル攻めは有効である。ショートサーブでは、フォア前に来たボールも回り込んでチキータをするというのが、一般的になりつつある。

なので、チキータで処理しにくい右横回転で、なおかつ曲がるサーブをミドルに着地するように出せると、レシーバーとしては迷いが生まれるであろう。

またチキータの対策としても、「横回転で曲がるロングサーブ」をミドルに出すことが出来れば、効果は抜群だ。

ひとつは、巻き込み系の逆横回転、かつ下回転気味で、ミドルに曲がっていくロングサーブ。

相手がバックドライブで処理しようと思ったところに、少し曲がってミドルに着地する。ラケットをそのまま右側に動かして処理をすると、手首の稼働域の関係上、どうしても面が被せ気味になる為、ネットミスを誘える。

もうひとつは、順横回転で、ミドルに曲がっていくロングサーブ。

相手はフォアドライブで返球しようと構えるも、体に差し込むように曲がってくるので、無理な体勢を強いられる。少しアップ回転気味に出しておけば、とっさにバックハンドに切り替えたとしても、アップ回転に負けないように瞬時に面を被せるのは相当難しい。

これらのサーブを織り交ぜていけば、相手はやりづらいことこの上ないだろう。しかもこれらを、サーブを出す位置を変えて行うと、さらに効果は倍増する。

レシーブ

近年のレシーブ技術においてもはや「当たり前」となりつつある、チキータ。しかし、バック前のサーブをまともにクロスにチキータしても、もはや得点には結びつきにくい。

そこでやはり有効なのが、ミドルを狙う作戦だ。

チキータはボールの側面を擦って、相手コートで曲がっていくのが特徴である。なので、バック前のサーブなら、ストレートを狙うように打てば、ちょうど曲がって相手のミドル付近に差し込むようになるので、相手としては3球目攻撃が容易に打てない状況となる。

また、チキータやフリックなどの攻撃的なボール以外、つまりツッツキでもミドル攻めは効果を発揮する。

ダブルスにおいてでも、相手が格上で「どこに何をしても3球目攻撃で攻められてしまう」という状況に陥ることがあるだろう。そういった相手でも、ミドルへのツッツキがうまく処理出来ないという選手は意外と多い。やはり、普段からその練習をしてきていないのだ。どう考えても狙い目である。

3球目攻撃

3球目は間違いなくミドルを攻めるべきである。基本的に、こちらが3球目ドライブ攻撃をする構えに入ったら、相手は「クロスに7割、ストレートに3割」という「待ち」を考えるだろう。

クロスに7割、ストレートに3割。そう、ミドルは待ちに入っていないのである。つまりこの時点で、もう既に先手を取れているのだ。

「とりあえずはミドルに打っておいて、あとのことはそこから考えよう」くらいに思ってもいい。

打ち抜く3球目攻撃だけでなく、つなぎのループドライブであってもミドルを狙うのは有効である。ゆっくりのボールでは攻め込まれてしまうのでは、という恐れもあるが、「待ち」にないミドルにとっさに来たループドライブに対して、うまく体を入れ替えてしっかり打ち込める選手は意外と少ない。

もし気持ちよくカウンターを決められたら、そのときは次からフォアかバックを狙えばいい。

チャンスボール

高く浮いたチャンスボールに関しては、問答無用でミドルに打つ。これは、自分の体が勝手にそのようにするよう叩き込むべきだ。

チャンスボールということは、自分が打球するまでに時間的余裕があるはず。逆に言うと、時間的余裕があるのだから、「どのコースに打とうか迷う」ことがあると思われる。その一瞬の迷いが生じた為、せっかくのチャンスボールをミスしてしまっては、非常にもったいない。

そういった迷いをかき消す為にも、私は「チャンスボールはミドルに叩き込む!」と自分の中で完全に決めている。普段からそのように意識をしていれば、ミスをする確率はかなり減るし、散々述べてきたようにミドルは“効く“ので、得点に結びつく。

>>【頭で勝つ!卓球戦術】“練習のための練習”ではなく、“試合のための練習”を

まとめ とにかくミドルに打とう!


一流の選手はミドルを攻め、超一流選手はミドルを守る」という格言があるほどに、卓球において「ミドル」というコースは非常に重要である。

にもかからず、ミドルを意識している選手は少ないように思われる。男子選手は特に顕著だ。ミドル攻めは、特に難しい技術を必要とするものではない。普段打っているボールを、ほんの少し台の真ん中寄りに打てばいいだけである。社会人だろうが初心者だろうが、誰でも出来る。

とはいえ、試合でとっさに出来ることはないので、ぜひとも普段の練習の段階から意識していって欲しい。的確に「ミドル攻め」を身に付けられれば、あなたの勝率がアップすることは間違いない。

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