【頭で勝つ!卓球戦術】あなたがピンチから逆転する為の3つの方法 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ 【頭で勝つ!卓球戦術】あなたがピンチから逆転する為の3つの方法

2017.11.19

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球は流れのスポーツ

卓球の試合には流れがある。たとえ実力が拮抗した相手であろうとも、圧倒的に点差が開くこともある。あるいは、デュースまでもつれ込む接戦を繰り返した末の最終ゲームで11-3で決着がつく、といったこともごく普通にある。

またあるいは、10-5で誰もが勝敗が決まったと思った途端、大逆転で試合がひっくり返る、ということもよくある。読者のあなたもそういった経験はあるのではないだろうか。

これらは卓球というスポーツにおいて「試合の流れ」という要素が非常に強いことが要因として考えられる。

以前の記事でも伝えたように、卓球とは心理戦である。ほんの2.7mほどの卓球台に向かいあい、わずか数グラムの重さしかないボールを、強烈な回転を交えて激しく打ち合う。

少しの心の乱れがボールに影響し、試合の流れをもがらりと変えてしまうのだ。

なので、大きく点数が離れて終わるゲームがあるかと思えば、逆に目を見張る大逆転劇も多く起こる、というのが卓球の面白いところである。

2017年ワールドカップの準々決勝、ボルvs林高遠の一戦。ボルはゲームカウント1-3と大きく離される。そこから得意のラリー戦に持ち込み、なんとか3-3まで追いつくも、最終ゲーム4-10とされ絶体絶命。誰もが林高遠の勝ちを確信したが、なんとここからボルが大逆転で勝利を収める。

こんな世界のトップレベルの試合であっても大逆転劇は起こりうるのだ。

わたしたちも、たとえ大きく点差を離され絶対絶命の状況であっても、逆転のチャンスは必ずある。決してあきらめてはならない。

今回は、劣勢の状況から逆転するための心得と方法について、考えてみよう。

>>【頭で勝つ!卓球戦術】リードしてから逆転されずに勝ちきる為の3つの方法

逆転するための3つの方法

1.開き直って強気で攻める

劣勢のときの心得として、大前提として絶対に欠かしてはならないことがある。それは、「開き直って強気で攻める」ということだ。

点差を離されている時点で、弱気な気持ちになるのは当然のことだ。しかし、弱気な姿勢のままで逆転できるわけがない。

相手は流れに乗っているのだから、今度はこちら側に流れを引き寄せなければならない。そうなると、強気でいくことは大前提となる。「もうこのゲームは取られたもんだと思って、開き直って攻める」くらいの気持ちが大切だ。

ここでひとつ気をつけたいのが、「強気で攻める」というのは、なにも「すべてのボールを強打する」ということではない。多少のリスクは冒しながらも、 その時々でベストな選択をポジティブに行う、ということである。

ブロックをするなら、ラケット位置を高く保ち強気でブロック。

ストップをするなら、安全に入れにいくのではなく、相手に触らせないくらいネット前ギリギリの位置に強気でストップ。そういった積極的なプレーが逆転につながっていくのだ。

2.今までの失点パターンを考える

さて、強気で攻めることを大前提としたうえで、しなければならないことがある。それは、「これまでどうやって失点してきたのかを考える」ことだ。そしてその答えに対して適切に対処していく必要がある。たとえば、

・相手のサーブを浮かしてしまい、3球目を叩きこまれて点数を離されてしまった
→ラケット角度をしっかり立てて、フリック・チキータ系のレシーブをしていく

・自分の打ちミスを繰り返して点数を離されてしまった
→威力を落として確実に台に入れて、ラリー戦にもっていく

・ラリー戦になるとどうしても点数を取られてしまい、離されてしまった
→なるべくラリー戦にならないよう、3球目、4球目の早い段階で決めるボールを打つ

という具合だ。
劣勢のときは戦術の整理がつかず、頭が混乱しがちであるが、落ち着いてこういった現状を分析することが、逆転するためには必要である。

3.逆転のきっかけをつくる

上記の分析ができれば良いのだが、絶体絶命のピンチの状態で、常に平静を保って分析ができるとは限らない。タイムアウトを取ってベンチにアドバイスを求めることができない状況も多い。
そういったときにも有効なのが、逆転のきっかけをつくるプレーである。

・レシーブから思いっ切り払う
・3球目で、ドライブではなくスマッシュを思い切り叩き込む
・普段出さないような相手があっと驚くサーブを出す

こういったプレーで、相手を一瞬でもひるませるて、相手のメンタルを崩していくのだ。

もちろんこういったプレーがその後もずっとできるわけではないので、あくまで「きっかけ」としてだけ使って、その後は最初に述べたように、強気に攻めることを心掛けよう。これで2,3点連続で得点できれば、相手も「もしかしたら逆転されるかもしれない」という心理がよぎるはずだ。そうなればこっちのものである。

相手を少しでも弱気にさせて、流れを引き寄せる。そのためにはなにか「きっかけ」となるような、相手があっと驚くプレーが必要だ。

>>【頭で勝つ!卓球戦術】格上の相手に勝つために有効な考え方とは

試合の流れが変わる際の心理的変化

リードしている側は気が緩んでいるので逆転のチャンスは必ずある

9点目,10点目を取っていると、選手は必ずひと息つきたくなるものだ。

「ふう。10点取ったぞ。あと1点取れば勝ちだ」

という落ち着きが、少なからず見て取れるだろう。そこを突かない手はない。

その相手のほんの一瞬の気の緩みを見逃さず、ガンガン強気で攻めていこう。8-10で負けているけど、こちらの方が強気で相手は弱気、といった状況に持っていくことができれば、逆転はもう目の前である。

追いついたところで安心してはいけない

逆転を果たすうえでひとつ注意をしておきたい。上で説明してきた逆転の方法で、大きく点差を離されていたところから、やっとの思いで追いついたとしよう。

しかしここで、「ふう、やっと同点まで追いついた」などとひと息ついてはいけない。絶対にいけない。

気持ちは分かる。だが言うまでもなく、目的は同点に追いつくことではなく、勝つことである。「追いついた」ということは意識はせず、そのままの勢いで追い抜いてそのゲームをもぎ取るところまで突っ走らなければいけない。

>>上回転サーブに効果的なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座

まとめ

1.開き直って強気で攻める
2.失点パターンをしっかりと分析
3.逆転するきっかけを作る

以上のことが逆転するために必要な要素である。

そして何よりも、「絶対にあきらめない強い心」が一番大事である。スポーツは最後まで何が起こるか分からない。最後の最後の瞬間まで、一瞬たりとも気を抜かずに、貪欲に勝利を求める者だけに、栄光は与えられるのだ。

試合の中で劣勢に立たされ、窮地に追い込まれようともこの内容を思い出して、あなたが華麗なる大逆転劇を果たすことを切に願う。

若槻軸足が書いた記事はこちらから

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