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2017.12.03

【頭で勝つ!卓球戦術】ヤマを張って攻めろ!

文:若槻軸足(卓球ライター)

卓球は予測のスポーツである。

相手が打ってきたボールに対していかに速く反応するか」ももちろん大事であるが、それ以上に大事なのは、「相手が打つボールをいかに予測出来るか」である。

自分が打ったボールの回転やコース、相手のくせ、これまでのプレーから、「おそらく次はここに返ってくるだろう」と予測をし、そのボールに備える。卓球選手はそういったことを繰り返し行っている。

この、「予測」や「待ち」といったものが優れている選手ほど、試合を優位に進められる。卓球で重要なのは体格やパワーではない。小学生や中学生の選手が、格上のベテラン選手を破ったりするのも、卓球の中でこういった要素が大きく占めているからに他ならない。

そしてこのコースの予測というものには、大きく分けて「クロスかストレート」の2つに分けられるだろう。

一般的には、「クロスに7割、ストレートに3割」といった7:3の割合で待つことが多い。なぜならクロスよりもストレートの方が卓球台の範囲が短く、ミスにつながりやすく、狙うのが難しいからだ。

「7割の確率でクロスに返ってくるだろうけど、ストレートに来る可能性も3割ほどあるな」という意識。これが基本となる。

しかし今回は、「ヤマを張る」、つまり7:3ではなく、10:0で待つ、ということについて考えていきたい。

>>【頭で勝つ!卓球戦術】格上の相手に勝つために有効な考え方とは

ヤマを張るからには一発で仕留める

「ヤマを張る」と聞いて筆者が最初に思いつく選手は、元五輪チャンピオンの馬琳選手だ。

彼のプレーを見ていると、相手が打つよりも先にバック側に回り込んで、強烈なフォアドライブを打ち込むシーンが数多くあるのが分かるだろう。しかし逆に、ガラ空きになったフォア側にボールを送られて、一切拾う気もなく見送るシーンもある。

「100%バック側に来ると信じて待つ。もしフォア側に来たら諦めよう。その代わり、バック側に来たら全力で打って必ず仕留めるぞ」
という意思が表れたプレーである。

これが、ヤマを張るということだ。

>>下回転サーブの最適なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座

ヤマを張ることのメリット

相手にプレッシャーを与えることが出来る

絶妙にいいボールを返球したかと思ったら、「待ってました」といわんばかりに思いっきり打ち込まれる。もしあなたもそんなプレーをお見舞いされたら、精神的なショックを感じずにはいられないであろう。

卓球はどんなスーパープレーをしようとも、相手のサーブミスであろうとも、すべて同じ「1点」である。だが、「ただの1点」もあれば、「精神的なダメージを与える1点」もあれば、「試合の流れを変える1点」もある。

ヤマを張っての得点は、間違いなく「精神的なダメージを与える1点」になるだろう。

得点を重ねるだけでなく、相手の気力をもじわじわと奪っていこう。

また、その意味で言えば、フォア側にヤマを張り、フォアに回り込んでバックハンドで仕留めるというプレーも効果的だ。

今は映画『ミックス。』が話題だが、かつての卓球映画と言えば『ピンポン』。その劇中でも、フォア側のボールをバックハンドで決めるシーンがある。

相手に与える精神的なダメージは絶大だ。

次のプレーでの返球を待ちやすくなる

もうひとつのメリットが、「ヤマを張ったプレーが決まれば、その次に来るボールをある程度限定出来る」という点だ。

具体的な展開で見ていこう。

たとえばあなたがサーバーのとき。それまで出していなかったスピードのあるロングサーブを、咄嗟に相手のバック側深くに放つ。あなたは相手のレシーブコースをバック側にヤマを張って回り込んで待つ。それが見事に的中し、バック側に返ってきたレシーブを、思い切り叩きこんで1点を取る。ヤマ張り作戦成功だ。

そしてその次のサーブで、もう一度同じようにバック側深くへロングサーブを打つ。そうすると相手は、先ほどの記憶が残っているので、同じ轍は踏むまいと、フォア側へ返球してくるだろう。それを逆にあなたも予測し、フォア側にヤマを張って、3球目攻撃を叩き込む。

ここまでいけば相手としては「打つところがない」といった非常に困った状況になるはずだ。その後も心理的にかなり優位に試合を進められるであろう。

もし相手がうまく対応してきて、効かなくなってくれば、また一からヤマを張ったり、別のサーブからの展開で始めたりすればいい。

この戦術を続けられれば、たとえ点数は競っていても、一貫して試合の主導権を握ってプレーが出来るであろう。

>>【頭で勝つ!卓球戦術】必ず身に付けたい鉄則のコース取りとは(前編)

ヤマを張るリスクを恐れない

この戦術にはもちろんリスクがある。つまり、「ヤマが外れた」ときには、確実に1点を失う可能性が高いのだ。

しかし、以前の記事でもお伝えしたように、11点目を取りさえすればいいのが卓球だ。11-9で勝てればそれでいいので、その目的を達成する為に1点や2点を献上するのはどうってことない。

さらには、格上の選手に勝とうと思えば、そういった考え方がさらに重要になってくる。水谷選手も、「中国選手に勝つためにはヤマを張ったプレーをもっともっと増やしていかなければならない」と語っている。

>>【頭で勝つ!卓球戦術】フルゲーム11-9で勝つ為に「見せ球」の使い方

まとめ

今回は「ヤマを張る」という戦術について考えてみた。

補足として、「ヤマがはまれば確実に1点が取れるエースボールを打てる」というのが大前提としてある。

しかし、例えそれをミスしたとしても、相手にとって与えるプレッシャーは変わらない。

「コースを読まれている…」という不安を与えられることには変わりないので、その後の展開を優位に進められるであろう。

実力を上げるにあたって、この「ヤマを張る」というプレーは必須だ。もちろん全てのプレーでヤマを張る必要はないが、今後あなたが試合を勝ち抜いていくためには、随所に織り込むことは必ず必要になってくる。

ぜひ今日からあなたも、試合や練習の中で早速取り入れてみることをおすすめする。

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