卓球プレーヤー向け 男子選手が女子選手に勝つための戦術|頭で勝つ!卓球戦術
2022.02.15
戦型:右ペン表裏
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は、「男子選手が女子選手に勝つための戦術」というテーマでお話していく。
公式な大会でこそ機会はないが、オープン戦やチーム内など男子選手と女子選手が対峙する場面はときたまあるはずだ。普段から同性の選手と練習する機会の多い選手であれば、そういったときに慣れておらず自分のプレーが出せないまま負けてしまうことも多いだろう。そうならないためにも、異性の選手の特徴をしっかりと抑えて戦術を練る必要がある。
今回は、男子選手が女子選手に勝つための戦い方について考えてみよう。
このページの目次
女子選手の特徴
まずは相手の特徴を知ることからだ。
まず女子と男子とでは当然体格差がある。リーチが女子の方が短いため、なるべくは中後陣ではなく前陣、つまり卓球台の近くでプレーをしないとコート全体をカバーできなくなるわけだ。さらに後ろに下がった位置からではボールの球威も落ちるので、筋力に劣る女子ではここでもかなり苦戦を強いられることになる。よって基本的に女子選手は卓球台に近い前陣が主なプレー領域となる。
そして威力のあるパワーボールではなく、返球するタイミングを早くすることで得点を重ねていく戦い方が得意なのも女子選手の特徴だ。いわゆる「ピッチが早い」というプレースタイルだ。ここが男子選手と最も異なる点であり、戦い方が違う部分になるので注意が必要だ。
女子選手に勝つための戦術
ラリーではなく一発勝負に持ち込む
男子が女子と試合をして最もよくあるパターンが、前陣でブロックをする女子に男子が中後陣で振り回されるという展開だ。こうなるといくら筋力で勝る男子でもかなり苦しい戦況となるだろう。なのでその展開は絶対に避けなければならない。ラリーの展開に持ち込むのではなく、3球目、4球目で得点を重ねていくのがベストなやり方だ。
そのためにはまず、出すサービスは短い下回転系がよいだろう。そしてストップあるいはツッツキをさせて、打てるボールをガツンと打ち抜く。これが最もシンプルなやり方だ。
もちろん全てがフルスイングできるボールではないだろう。その場合は無理にループドライブで持ち上げようとせず、もう一度ツッツキをしてチャンスを伺った方がよいだろう。こちらが持ち上げてしまうとそれを早い打点で返されるので、どうしても展開的に苦しくなることが多い。
ツッツキ合いでチャンスを待つか、あるいはフォアへツッツいて、相手に持ち上げさせたところを上からドカンと打ち抜くのが賢いやり方だ。
狙うコースは基本はフォア
そしてこういった決めにいくボールを打つコースとしては、基本的にはフォアサイドがよいだろう。極力体から遠いコースを狙う方が、リーチの短い選手にとっては有効だ。仮に返球されたとしても、フォアを狙うことによって台から下げられることもある。相手を少しでも台から下げさせられればこっちのものである。
このような戦い方で、できるだけ早い段階で得点してしまうのが必勝パターンである。ただしやむをえずラリー戦に持ち込まれてしまった場合は、しっかりと相手のミドルを狙うことも意識しよう。
女子同士のラリー戦では、いかにミドルを上手く突けるかが勝敗を分ける。なのでこちらが狙うコースがフォアかバックかの2コースしかなければ、女子側にとってはかなり余裕を持って対応されてしまうだろう。やはりどんな相手であってもミドルを攻める意識は非常に大切だと言える。
触れる機会の少ない技術を使う
これらの手段を尽くした上で効果的な作戦は、シンプルに女子選手が普段あまり経験しないボールを出すということだ。
たとえば女子選手ではYGサービスを出す選手は極端に少ない。理由は定かではないが、出す選手が少ないということは当然YGサービスを取り慣れていないということになるので、それだけで非常に効果的なわけだ。
あるいはロビングなども同じだ。基本的に女子選手は前陣での打ち合いになるので、ロビングの攻防になることも比較的少ないだろう。体格的にも小柄な女子は、高く上げられたボールを打つのは非常に難しい。
これらYGサービスやロビングなど、普段あなたがメインの武器として使っていないとしても、相手が苦手ならばどんどん積極的に使っていくと良いだろう。自分が得意なことよりも相手が苦手なことを優先するという考え方がここで生きてくるのだ。
まとめ
今回は男子選手が女子選手と対戦するときの戦術について考えてみた。卓球は男女での対戦でも競技として成り立つ、非常に稀で面白いスポーツである。ただ、男性の卓球と女性の卓球はそれぞれの特徴が異なったものであり、そうであるが故に男女の対戦が成り立つとも考えられる。
今回の記事を参考に、男女の攻防がより白熱したものになることを期待している。
若槻軸足インタビュー記事
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