文:ラリーズ編集部
2021年8月、新型コロナウイルスの影響を受けての1年間の延期を乗り越え、東京五輪が開催された。卓球日本代表は、水谷隼(木下グループ)/伊藤美誠(スターツ)ペアの混合ダブルス金メダル獲得を始め、女子団体で銀メダル、女子シングルスと男子団体で銅メダルと4つのメダルを獲得した。
日本代表の活躍により、日本卓球界は一躍注目を浴びた。そこで今回、これまでの五輪の個人戦、および団体戦での歴代優勝国、そして日本選手の活躍を振り返り、一覧にまとめた。
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男女シングルス 歴代優勝者
写真:馬龍(中国)/提供:ittfworld
開催年 | 男子シングルス | 女子シングルス |
1988年 | 劉南奎(韓国) | 陳静(中国) |
1992年 | ワルドナー(スウェーデン) | 鄧亞萍(中国) |
1996年 | 劉国梁(中国) | 鄧亞萍(中国) |
2000年 | 孔令輝(中国) | 王楠(中国) |
2004年 | 柳承敏(韓国) | 張怡寧(中国) |
2008年 | 馬琳(中国) | 張怡寧(中国) |
2012年 | 張継科(中国) | 李暁霞(中国) |
2016年 | 馬龍(中国) | 丁寧(中国) |
2021年 | 馬龍(中国) | 陳夢(中国) |
五輪における卓球の歴史は意外にもあまり深くはない。約30年前の1988年ソウル大会から正式種目となり、迎えた第1回大会。男子シングルスの優勝は韓国の劉南奎(ユ・ナムギュ)。そして驚くべきことに中国男子はメダルを1枚も獲得していない。
中国男子が初めて五輪シングルスでメダルを獲得したのは、1992年バルセロナ大会で、馬文革(中国)が銅メダルという成績だ。しかし、その次の1996年アトランタ大会で、中国卓球のカリスマ指導者ともいわれる劉国梁(リュウグオーリャン)が優勝して以降、2004年を除いて中国が表彰台のトップに君臨し続けている。
日本男子の成績は、1996年にTリーグ・チェアマンを務める松下浩二が初めて本戦へと進むも、1回戦敗退。その後は右肩上がりに成績を上げていき、2012年ロンドン大会では岸川聖也がベスト8、2016年リオデジャネイロ大会では水谷隼が銅メダルを獲得し、日本卓球史に新たな偉業を残した。
2021年の東京大会では、日本代表として丹羽孝希、張本智和が出場したが、両選手ともベスト16という結果に終わった。
写真:陳夢(中国)/提供:ittfworld
一方女子シングルスでは1988年以降中国が優勝を死守してきている。特に男子では見られない連覇を成し遂げた鄧亞萍(デンヤーピン・中国)や張怡寧(チャンイーニン・中国)の強さは今なお語り継がれている。
そんな中、日本女子は、1996年,2000年で中国から帰化した小山ちれがベスト8に食い込むと、当時15歳にしてアテネ五輪に出場した福原愛が4回戦まで勝ち進む。また2012年には石川佳純(全農)が、2016年には福原愛がベスト4まで勝ち残り、メダル獲得まであと一歩のところまで迫っている。
東京五輪では、伊藤美誠がシングルスで日本女子初となる銅メダルを獲得した。
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男女ダブルス 歴代優勝ペア
写真:陳玘(写真左)・馬琳(写真右)/提供:ittfworld
開催年 | 男子ダブルス | 女子ダブルス |
1988年 | 陳龍燦・韋晴光(中国) | 玄静和・梁英子(韓国) |
1992年 | 呂林・王涛(中国) | 鄧亞萍・喬紅(中国) |
1996年 | 劉国梁・孔令輝(中国) | 鄧亞萍・喬紅(中国) |
2000年 | 王励勤・閻森(中国) | 李菊・王楠(中国) |
2004年 | 陳玘・馬琳(中国) | 王楠・張怡寧(中国) |
ダブルスは、卓球が正式種目になった1988年から2004年まで実施され、1988年女子ダブルスの優勝以外、全てのメダルを中国が獲得している。後に全日本社会人卓球選手権で優勝する陳龍燦・韋晴光(中国)はダブルスで世界の頂点に立っている。1996年には男子シングルスでも優勝していた劉国梁が、2000年男子シングルスチャンピオンになる孔令輝(コンリンホイ・中国)と組んだダブルスでも優勝し、2冠という快挙を達成している。
日本の最高成績は、男子が1996年アトランタ大会での渋谷浩・松下浩二ペアのベスト8、女子が1988年ソウル大会での星野美香・石田清美の4位となっている。
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混合ダブルス 歴代優勝ペア
写真:水谷隼(木下グループ)と伊藤美誠(スターツ)/提供:ITTF
開催年 | 混合ダブルス |
2021年 | 水谷隼・伊藤美誠 |
混合ダブルスは、2021年の東京五輪から正式種目となった。東京五輪の混合ダブルスでは、水谷隼/伊藤美誠ペアが優勝し、初代王者となった。
男女団体 歴代優勝国
写真:日本女子/提供:ittfworld
開催年 | 男子団体 | 女子団体 |
2008年 | 中国(馬琳・王皓・王励勤) | 中国(郭躍・王楠・張怡寧) |
2012年 | 中国(張継科・王皓・馬龍) | 中国(丁寧・郭躍・李暁霞) |
2016年 | 中国(張継科・馬龍・許昕) | 中国(劉詩雯・丁寧・李暁霞) |
2021年 | 中国(樊振東・馬龍・許昕) | 中国(王曼昱・陳夢・孫穎莎) |
2008年北京大会から、ダブルスが実施されなくなった代わりに行われるようになった団体戦。そのトロフィーはすべて中国が独占している。団体戦が採用された最初の北京大会では、日本男子は準々決勝でドイツに敗れると、銅メダル決定トーナメントに臨んだ。しかし、銅メダル決定トーナメントでは2003年世界選手権チャンピオンのシュラガー率いるオーストリアに敗れ、5位に終わった。
写真:水谷隼(木下グループ)/提供:ittfworld
続く2012年ロンドン大会では準々決勝で中国香港に敗れ、2大会連続で5位に終わった。しかし2016年リオデジャネイロ大会では同じく準々決勝で中国香港にリベンジを果たすと、ティモ・ボルとドミトリ・オフチャロフを擁するドイツを下し、決勝へと進む。決勝では水谷が許昕(シュシン)をフルゲームで下すなど、中国に敗れはしたものの堂々の準優勝を果たした。
2021年の東京大会では、日本代表は3位決定戦で韓国に勝利し、銅メダルを獲得した。
一方女子では、北京大会の銅メダル決定戦で韓国に敗れ、惜しくも4位。続くロンドン大会ではシンガポールを準決勝で下して中国に挑んだ。敗れはしたものの過去最高の銀メダルを獲得し、リオデジャネイロ大会では3位に入った。
東京五輪では決勝で中国に敗れたものの、銀メダルを獲得。3大会連続のメダル獲得となった。