文:ラリーズ編集部
今回は、2016年のリオ五輪でアフリカ勢初のベスト8に輝き、30歳を超えた現在も世界トップレベルで活躍を続けるクアドリ・アルナ(ナイジェリア)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れます。
このページの目次
クアドリ・アルナとは
アルナは2014年のワールドカップで、松平健太、シバエフ(ロシア)、唐鵬(タイパン・中国香港)と世界ランキング上位の選手に勝ち、準々決勝で当時の五輪・世界チャンピオンの張継科(チャンジーカ・中国)と大熱戦を繰り広げ世界から注目を浴びました。2016年のリオ五輪ではアフリカ勢初のベスト8に輝き、アフリカの星として躍進しています。
クアドリ・アルナのプロフィール
クアドリ・アルナは1988年8月9日生まれの35歳(2023年9月時点)で、ナイジェリアのオヨ州出身です。
8人兄弟の6番目として生まれ、7歳で卓球を始めた。しかし、アルナが卓球に出会ったのは「路上」でした。ナイジェリアでは、「室内」で卓球をプレーできるのは才能のある子どもだけで、卓球を始めたばかりのアルナには、そのチャンスを掴むことは容易ではありませんでした。
しかし、アルナが9歳のある日、ストリートで卓球をプレーしているアルナを見た卓球の指導者が、自身が所有する卓球場にアルナを招いたことで、アルナは生まれてはじめて「室内」での卓球を経験します。
その後、本格的に卓球の練習に打ち込むようになったアルナは、町の大会で優勝したのち、オヨ州の代表として試合に出場します。その後、ナショナルチームの合宿にも何度か呼ばれるようになり、19歳のときに出場した世界選手権ザグレブ大会で、ナイジェリア代表として国際大会デビューを果たしました。
その後実力を伸ばし、2014年のワールドカップではベスト8まで勝ち進み世界を驚愕させました。その活躍から、同年の『ITTFスターアワード』に選出され、世界ランキング30位以内に入った初めてのアフリカ人選手となりました。
輝かしい活躍を見せたアルナは、2016年のリオ五輪ではドイツの絶対的エースであるティモ・ボルに勝利し、アフリカ人初の男子シングルスベスト8に輝きました。
アルナはこれまで、ポルトガルやフランス、ドイツなど、数多の国のリーグでプレーしてきましたが、現在はインドリーグの「UTT」でプレーしています。
強豪選手を飲み込むような爆発力に加え、台上などの練習を重ねることでワールドツアーでも優勝するなど成績を残しています。
クアドリ・アルナのプレースタイル
アルナの戦型は、右シェーク裏裏ドライブ型で、アフリカ人特有のバネで、オールフォアでコートを駆け回る攻撃型です。独特のスイングから放たれるドライブと常人離れしたフットワークで点数を重ねる場面がみられます。
バックの強打はほとんど見られず、ブロックなど安定感を重視しているように思えます。バックでコースをつき、得意なフォア強打に持ち込む展開が多いです。
純粋な下回転のサーブやバックサーブを使い、台上のプレーがあまり得意ではないためか出るかで出ないかのサーブから相手が持ち上げてきたボールをカウンターするなどの展開もみられます。
クアドリ・アルナの使用用具
クアドリ・アルナはラケットはGEWOの『Aruna Hinoki Carbon OFF』、ラバーは両面ともにGEWOの『Nexxus EL Pro 53 Hard SuperSelect』を使用しているようです。
クアドリ・アルナの世界ランキング
クアドリ・アルナの世界ランキングは16位(2023年9月時点)で、最高ランキングは10位(2022年5月)です。
2014年2月時点では237位でしたが、ワールドカップを経てランキングは30位(2014年11月時点)まで上昇しました。その後波はあるものの上位を維持しています。
クアドリ・アルナの主な戦績
2014年 | ワールドカップ | 男子シングルス:ベスト8 |
2016年 | リオ五輪 | 男子シングルス:ベスト8 |
2017年 | ブルガリアオープン | 男子シングルス:ベスト4 |
ポーランドオープン | 男子シングルス:優勝 | |
2018年 | ナイジェリアオープン | 男子シングルス:優勝 |
2019年 | ナイジェリアオープン | 男子シングルス:優勝 |
ブルガリアオープン | 男子シングルス:ベスト4 | |
アフリカ競技大会 | 男子シングルス:準優勝、男子団体:準優勝 | |
2021年 | 世界選手権ヒューストン大会 | 男子シングルス:ベスト8 |
WTTカップファイナルシンガポール | 男子シングルス:ベスト8 | |
2022年 | アフリカ選手権 | 男子シングルス:金メダル |
アフリカカップ | 男子シングルス:準優勝 | |
WTTスターコンテンダードーハ | 男子シングルス:ベスト4 | |
2023年 | WTTシンガポールスマッシュ | 男子シングルス:ベスト8 |
アフリカカップ | 男子シングルス:準優勝 | |
アフリカ選手権 | 男子シングルス:金メダル、男子団体:銀メダル |
まとめ
ワールドカップの衝撃的デビューから、リオ五輪でのアフリカ人初の快挙を達成するなどアフリカのスーパースターとなったアルナ。まだまだこれからの活躍が期待されるアルナの今後の戦いにも注目です。