文:ラリーズ編集部
今回は、2013年の世界選手権男子ダブルスで金メダルを獲得し、40歳を超えた今もなお第一線で活躍している荘智淵(チュアンチーユエン)について紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても詳しく紹介します。
荘智淵とは?
荘智淵は、これまで台湾を支えてきたベテランプレーヤーで、1月末に行われたITTFワールドツアー・ドイツオープンでは、張本智和に勝利するなどまだまだ衰えを感じさせない選手です。
また、荘智淵は会場や対戦相手によって用具を使い分けることがあり、2013年の世界選手権時には大会途中でラバーを変更して、見事男子ダブルスで優勝を掴み取りました。
荘智淵のプロフィール
荘智淵(チュアンチーユエン/CHUANG Chih-Yuan)は1981年4月2日生まれの43歳(2024年7月時点)で、台湾の高雄市出身です。2002年の釜山アジア競技大会で男子シングルス銀メダル、男子団体銅メダルを獲得して注目を集めると、同年のプロツアーファイナルを21歳の若さで制して、世界にその名を轟かせました。
2003年にはブラジルオープンで優勝を果たし、2004年のアテネ五輪ではシングルスベスト8に進出するなど、着実にステップアップを遂げていた荘智淵ですが、以降は期待されていたほどの活躍ができず、長らく低迷時代に突入します。
写真:ロンドン五輪男子シングルス銅メダル決定戦での荘智淵(チュアンチーユエン・チャイニーズタイペイ)/提供:AP/アフロ
しかし、2012年に出場したロンドン五輪では並みいる強敵を次々と撃破し、男子シングルスで準決勝に進出します。準決勝では王皓(ワンハオ・中国)に敗れ、銅メダル決定戦でもドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)に敗れてメダル獲得とはなりませんでしたが、それまでの不調が嘘のような迫力のあるプレーを披露し、復活を印象付けました。
写真:荘智淵(チュアンチーユエン)と陳建安(チェンジェンアン)/提供:ittfworld
そして、翌年に開催された世界選手権パリ大会では、陳建安(チェンジェンアン・チャイニーズタイペイ)と組んだダブルスで金メダルを獲得し、自身初の世界選手権のメダルを獲得しました。
写真:荘智淵(チュアンチーユエン・チャイニーズタイペイ)/撮影:ラリーズ編集部
荘智淵はその後もコンスタントに国際大会に出場を続け、2014年の仁川アジア競技大会では男子シングルス銅メダルを獲得するなど、30歳を超えても衰え知らずの活躍を続けます。
写真:荘智淵(チュアンチーユエン・チャイニーズタイペイ)/撮影:ラリーズ編集部
そして、2018年からはTリーグに琉球アスティーダから参戦。2シーズンプレーして、通算でシングルス19勝、ダブルス3勝の成績を残しています。
また、荘智淵は2019年には台湾代表からの引退と、東京五輪への出場見送りを表明しましたが、40歳を超えた現在でも台湾代表として活動し、2022年の世界選手権成都大会にも出場しました。さらに、同年のWTTフィーダーウェストチェスターでは準決勝で戸上隼輔を破って優勝を飾るなど、未だに世界のトップレベルの選手として活躍しています。
荘智淵のプレースタイル
荘智淵の戦型は、右シェーク裏裏のドライブ型です。小柄ながらも体格を生かした早い打点でコースをついたレシーブからのカウンターや早い打点での両ハンドの連打が持ち味です。早い打点での攻撃やブロックで相手を中陣や後陣まで下げてから前陣で相手を振り回し、ラリーの主導権を握って得点を重ねる場面が見られます。
また、中陣や後陣でのラリーも強く、長年の経験や読みから、積極的に回り込んで攻めていく場面が多く見られます。このような思い切りの良さと小柄ながらもフットワークを生かしたプレーで得点を重ねています。
フォアハンドドライブだけでなくバックハンドドライブも得意としており、前陣では早い打点でクロスやストレートと様々なコースに巧みに打ち分けることができます。また、後陣では打点を少し落として回転重視の安定感のあるバックハンドドライブを使っています。特に、相手が前陣でブロックで中陣や後陣に下がってしまった時に使用している場面が良く見られます。
そして、サービスは順回転サービスや、巻き込みサービス、YGサービスなど様々なサービスを得意としております。またレシーブでは、ストップやチキータなど様々なレシーブで的を絞らせず、相手サービスが2バウンドせずに出るサービスであれば、自分からドライブで積極的に攻めていく場面も見られます。
荘智淵の使用用具
バタフライの契約選手である荘智淵は、ラケットはバタフライのラケット、ラバーは両面に『ディグ二クス05』を使用しているようです。
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荘智淵の世界ランキング
荘智淵の世界ランキングは40位(2024年7月時点)で、最高ランキングは3位(2003年12月)です。
荘智淵の主な戦績
2002年 | プロツアーファイナル | 男子シングルス:優勝 |
釜山アジア競技大会 | 男子シングルス:銀メダル、男子団体:銅メダル | |
2003年 | ブラジルオープン | 男子シングルス:優勝 |
2004年 | アテネ五輪 | 男子シングルス:ベスト8 |
2006年 | ドーハアジア競技大会 | 男子ダブルス:銅メダル、男子団体:銅メダル |
2008年 | グランドファイナル | 男子ダブルス:準優勝 |
2012年 | ロンドン五輪 | 男子シングルス:4位 |
スペインオープン | 男子シングルス:優勝 | |
2013年 | 世界選手権パリ大会 | 男子ダブルス:金メダル(ペア:陳建安) |
2014年 | 世界選手権東京大会 | 男子団体:銅メダル |
仁川アジア競技大会 | 男子シングルス:銅メダル、男子団体:銅メダル | |
2016年 | リオ五輪 | 男子シングルス:ベスト32 |
2021年 | WTTコンテンダードーハ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:陳建安) |
WTTスターコンテンダードーハ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:陳建安) | |
東京五輪 | 男子シングルス:ベスト16 | |
アジア選手権 | 男子シングルス:銀メダル、男子団体:銀メダル | |
2022年 | WTTフィーダーウェストチェスター | 男子シングルス:優勝 |
WTTフィーダーチャンピオンズブダペスト | 男子シングルス:ベスト4 | |
アジアカップ | 男子シングルス:ベスト4 | |
2023年 | WTTシンガポールスマッシュ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:林昀儒) |
アジア選手権 | 男子団体:銀メダル | |
杭州アジア競技大会 | 男子ダブルス:銅メダル(ペア:林昀儒)、男子団体:銅メダル | |
WTTフィーダービエッラ | 男子シングルス:ベスト4 | |
2024年 | WTTスターコンテンダーゴア | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:荘智淵) |
世界選手権釜山大会 | 男子団体:銅メダル | |
WTTフィーダーベイルート | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTフィーダーベイルートⅡ | 男子シングルス:優勝 | |
WTTスターコンテンダーバンコク | 男子ダブルス:準優勝(ペア:荘智淵) |
まとめ
これまでに多くの国際大会に出場し、熱戦を繰り広げてきた台湾のレジェンド・荘智淵。長年、日本人選手の前に立ちふさがってきた強敵で、今後も衰えを感じさせないプレーと経験を生かした戦術で、多くの選手を脅かす存在となり続けるでしょう。
また、3月に行われるTリーグのプレーオフに琉球アスティーダが見事に進出したので、荘智淵のチームを牽引する姿や白熱した試合に注目です。