文:ラリーズ編集部
今回は、東京五輪男子シングルス銀メダリストの樊振東(ファンジェンドン・中国)について紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても紹介します。
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樊振東とは
樊振東は、2015年の世界選手権蘇州大会で3位に入ると、同年のアジア選手権では中国や日本の強豪を破り、団体、男子シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスの4冠の偉業を達成し、頭角を現しました。
その後、数多くのワールドツアーで優勝し、世界のトップ選手として活躍している樊振東。2017年の世界選手権では決勝で馬龍と対戦し、卓球史に残る壮絶な試合を演じました。惜しくもその試合には敗れ準優勝に終わりましたが、2018年の4月には自身初の世界ランキング1位の座に輝きました。
樊振東のプロフィール
樊振東(ファンジェンドン/Fan Zhendong)は1997年1月22日生まれの27歳(2024年6月現在)で、中国の広東省広州市出身です。6歳で卓球を始めると、11歳で名門・人民解放軍チームの一員に選出されました。
2012年には全中国選手権でベスト8に入り、中国の国家一軍チームに召集されました。2013年には、4年に一度開催される中国版オリンピック「全中国運動会」で男子シングルス準優勝を果たし、中国の次世代のエースと呼ばれるまでになりました。
写真:樊振東(中国)/提供:ittfworld
翌年の2014年には弱冠17歳の若さで、世界選手権中国代表に選出され、団体メンバーの一人として自身初の世界選手権金メダルを獲得。そして、2015年の世界選手権蘇州大会では男子シングルス銅メダルを獲得すると、同年のアジア選手権では団体を含めて4冠を達成し、一気に中国トップレベルの選手へと成長を遂げました。
写真:樊振東(中国)/提供:ittfworld
しかし、2016年のリオデジャネイロ五輪は惜しくも代表の座を逃し、団体の補欠メンバーとしてチームに帯同するも出番は訪れませんでした。
この悔しさを晴らすかのように、その後も樊振東は活躍を続けます。2017年世界選手権デュッセルドルフ大会では男子シングルス銀メダル、男子ダブルス金メダルを獲得。ワールドカップでは2018年パリ大会から2020年威海大会まで男子シングルス3連覇を果たしました。
写真:左から樊振東(ファンジェンドン)、馬龍(マロン)、ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)/提供:ITTF
そして、2021年には東京五輪中国代表に選出され、悲願の五輪初出場を果たします。男子シングルスでは決勝で馬龍に敗れ、惜しくも銀メダルに終わりますが、男子団体では金メダルを獲得し、自身初の五輪金メダルを獲得しました。
写真:樊振東(ファンジェンドン)/撮影:ラリーズ編集部
このように、世界選手権、五輪、ワールドカップと、主要国際大会で輝かしい成績を残してきた樊振東ですが、五輪と世界選手権のシングルス制覇には至っていませんでした。しかし、2021年世界選手権ヒューストン大会男子シングルスで、同大会で快進撃を続けていたトルルス・モーレゴード(スウェーデン)を決勝で撃破し、自身初の世界選手権シングルス金メダルを獲得しました。
また、2021年11月にはバタフライとアドバイザリー契約を締結し、大きなサプライズを与えました。
樊振東のプレースタイル
樊振東の戦型は「右シェーク裏裏ドライブ型」です。その鍛え抜かれた肉体から繰り出される両ハンドドライブの威力は世界トップクラスです。
まさに現代卓球の最先端をいく樊振東の最大の武器はその世界一とも言われるバックハンドです。多彩なチキータからのバック対バックの展開の強さは世界でも群を抜いています。前陣でのバックハンドの強さは勿論のこと、下がってからのバックハンドの威力も非常に強力で後陣から一発でブロックを打ち抜くことも多く見られます。
写真:樊振東(中国)/提供:ittfworld
また樊振東の強さを支える要素として、その圧倒的なフィジカルの強さが挙げられます。鍛え抜かれた肉体から放たれる両ハンド攻撃の威力はすさまじく、不十分な体勢や、崩れた体勢からでも十分な威力をもったドライブを打つことができます。
そして、樊振東のプレーを語るときに外せないのは、カウンターです。どんな姿勢からでも常にブロックではなくカウンターを打ち込み、相手の決め球のような強打に対してもカウンターで返球する樊振東のプレーは見る者を圧倒します。
樊振東の使用用具
バタフライの契約選手である樊振東は、ラケットはバタフライの「樊振東 ALC」、ラバーはフォア面に紅双喜の「キョウヒョウ3国狂ブルー」、バック面にバタフライの「ディグニクス09C」を使用しているようです。
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樊振東の世界ランキング
樊振東の世界ランキングは4位(2024年6月時点)で、最高ランキングは1位(2023年8月)です。
樊振東の主な戦績
2013年 | アジア選手権 | 男子団体:金メダル |
全中国運動会 | 男子シングルス:準優勝 | |
2014年 | 世界選手権東京大会 | 男子シングルス:金メダル |
仁川アジア競技大会 | 男子シングルス:銀メダル、男子ダブルス:銀メダル、男子団体:金メダル | |
2015年 | 世界選手権蘇州大会 | 男子シングルス:銅メダル、男子ダブルス:銀メダル |
アジア選手権 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:金メダル、混合ダブルス:金メダル、男子団体:金メダル | |
2016年 | ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 |
世界選手権クアラルンプール大会 | 男子団体:金メダル | |
2017年 | 世界選手権デュッセルドルフ大会 | 男子シングルス:銀メダル、男子ダブルス:金メダル |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2018年 | ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 |
アジアカップ | 男子シングルス:優勝 | |
2019年 | ドイツオープン | 男子シングルス:優勝 |
アジアカップ | 男子シングルス:優勝 | |
世界選手権デュッセルドルフ大会 | 混合ダブルス:銅メダル | |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2020年 | カタールオープン | 男子シングルス:優勝 |
ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
2021年 | 世界選手権ヒューストン大会 | 男子シングルス:金メダル |
東京五輪 | 男子シングルス:銀メダル、男子団体:金メダル | |
WTTカップファイナルズ | 男子シングルス:優勝 | |
2022年 | WTTシンガポールスマッシュ | 男子シングルス:優勝 |
世界選手権成都大会 | 男子団体:金メダル | |
2023年 | WTTシンガポールスマッシュ | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:王楚欽)、混合ダブルス:ベスト4(ペア:王曼昱) |
WTTチャンピオンズ新郷 | 男子シングルス:優勝 | |
世界選手権ダーバン大会 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:金メダル | |
WTTスターコンテンダーリュブリャナ | 男子シングルス:優勝 | |
アジア選手権 | 男子シングルス:銀メダル、男子ダブルス:金メダル(ペア:林高遠)、男子団体:金メダル | |
杭州アジア競技大会 | 男子シングルス:銀メダル、男子ダブルス:金メダル(ペア:王楚欽)、男子団体:金メダル | |
ITTF混合ワールドカップ | 混合団体:金メダル | |
2024年 | WTTファイナルズドーハ | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:ベスト4(ペア:王楚欽) |
世界選手権釜山大会 | 男子団体:金メダル | |
WTTシンガポールスマッシュ | 男子ダブルス:準優勝(ペア:王楚欽) | |
WTTチャンピオンズ重慶 | 男子シングルス:優勝 |
まとめ
数々のタイトルを手にし、若くして世界ランキング1位の座に位置する樊振東。今後も長く日本人選手の前に立ちはだかる高い壁となることは間違いありません。東京五輪シングルス準優勝の樊振東が五輪の団体戦でどのような活躍を見せるのか、今後も目が離せません。