文:ラリーズ編集部
今回は、女子団体で中国超えを達成した経歴を持ち、Tリーグ・日本ペイントマレッツでも活躍している馮天薇(フォンティエンウェイ・シンガポール)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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馮天薇とは?
馮天薇は、2008年から世界のトップ層に入り込み次々と入賞していました。2010年には世界選手権モスクワ大会の女子団体決勝で当時8連覇を成し遂げていた中国と対決し、負け知らずと言われていた劉詩雯(リュウスーウェン・中国)と丁寧(ディンニン・中国)から勝利してシンガポール代表の金メダル獲得の立役者となりました。この事は、後々メディアにより「モスクワの奇跡」と呼ばれることになります。これから分かるように彼女は中国代表が警戒する他国の選手ともいえます。
そして、日本のトップ選手とも互角以上に渡り合うため日本代表からみても要注意と言える選手です。逆を言えば、それだけ安定して高い実力を持つ選手であるということも言えます。
プロフィール
馮天薇は、1986年8月31日生まれの33歳(2020年3月時点)です。中国の黒龍江省にあるハルビン市出身で、2003年には中国女子ナショナルチームに所属、2007年にシンガポールに渡り国籍を取得しました。
また、日本とのかかわりも深く2005年にはサンリツに所属し日本卓球リーグに参戦していました。現在はTリーグ・日本ペイントマレッツに所属し、シングルスで多くの試合に勝利するなどチームに大きく貢献しています。
馮天薇を応援するファンも多く、公式のファンクラブが運営しているというInstagramには試合の真剣な様子から、他国の選手との写真が多く投稿されています。
公式ファンクラブのInstagramはこちら
プレースタイル
馮天薇の戦型は右シェーク裏裏の攻撃型で、前陣でのラリーを得意としています。フォアハンドと同等の威力を持ったバックハンドを駆使して体勢を崩しながらも相手コート目がけて放つことが出来る両ハンドドライブが武器です。
裏裏の攻撃型の選手は一度ラリーになると基本的にコースの打ち分けで点を取ることが多いですが、回転の変化がつけづらいために相手に慣れられてしまうと不利に働いてしまいます。そのため、多くの選手はラリーになる前の段階、サーブやサーブに対するレシーブの中で回転やコースを利用した変化で相手のミスを誘っています。これが卓球において頭を使うという場面の1つです。
馮天薇はこの頭脳戦に長けていて、サーブやレシーブはもちろんのこと、ラリーの中でも自身の打球の強弱をつけて相手のミスを誘うことが多いです。また、両ハンドドライブは中国選手に引けを取らない威力を持ち、2010年の世界選手権ではそのプレーによって中国の主力2人に勝利してシンガポール女子を優勝に導いています。
使用用具
馮天薇の使用用具はラケットが紅双喜の「キョウヒョウ龍5」、ラバーはフォア面に同じく紅双喜の「キョウヒョウ3」の特注ブルースポンジ、バック面に同ラバーの普通のスポンジを使用しているそうです。
アジアのトップ選手にブルースポンジが好まれているのは、通常のスポンジに比べて弾みが良いため、普通であればあまり弾まない粘着性のラバーでも弾みを活かしたプレーができるようになるからです。
世界ランキング
馮天薇の世界ランキングは9位(2020年3月時点)です。2010年には最高位を更新しながら1桁ランクをキープ、その後は10位台前半に落ち着いていましたがこの数ヵ月で再び1桁へ上昇しています。最高ランクは2010年代と2011年8月の2位です。
国際大会での主な成績
2008年 | 世界選手権 | 団体準優勝 |
北京五輪 | 団体準優勝 | |
ワールドカップ | 女子シングルス3位 | |
2009年 | ワールドカップ | 女子団体準優勝 |
2010年 | 世界選手権 | 女子団体優勝 |
ワールドカップ | 女子団体準優勝 | |
アジア選手権 | 女子団体準優勝 | |
グランドファイナル | 女子シングルス優勝 | |
2011年 | ワールドカップ | 女子団体3位 |
2012年 | ロンドン五輪 | 女子シングルス3位、女子団体3位 |
世界選手権 | 女子団体準優勝 | |
2013年 | 世界選手権 | 女子ダブルス3位 |
ワールドカップ | 女子シングルス3位、女子団体3位 | |
2014年 | 世界選手権 | 女子団体3位 |
2015年 | 世界選手権 | 女子シングルス3位 |
2017年 | 世界選手権 | 女子ダブルス3位 |
韓国オープン | 女子シングルス優勝 | |
2019年 | 女子ワールドカップ | 女子シングルス3位 |
まとめ
シンガポールの主砲にして、中国超えに近い位置にいる彼女がどのような活躍を見せるのか。今後の彼女の活躍に注目です。