文:ラリーズ編集部
今回は、2023年の世界ユース選手権で4冠を達成した中国の新星・林詩棟(リンシドン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
林詩棟とは
林詩棟は2022年頃から国際大会に現れ始めた中国の新星にして、主にダブルスで多くの優勝を飾っている、成長が著しい選手です。2022年のU19世界ユース選手権大会にて4冠を遂げており、若手ながら世界のトップレベルに着実に近づいている選手であると言えます。
林詩棟のプロフィール
林詩棟(リンシドン/Lin Shidong)は2005年4月18日生まれの19歳(2024年6月時点)で、中国の海南省三亜市出身です。卓球が趣味だった父親と一緒に小さい頃から卓球場に行きはじめ、4歳のときに母親に初めてラケットを買ってもらいました。
7歳から三亜南燕卓球倶楽部で本格的に卓球を始め、2015年4月にはチーム最年少となる10歳で、海南省卓球チームのメンバーに選ばれました。そして、翌年には全中国選手権に11歳で出場し、最年少出場の記録を作るなど、林詩棟は幼いころからその才能を如何なく発揮していました。
2020年には全中国ジュニア選手権を15歳で制して、海南省出身の選手として初の国家2軍チーム入りを果たします。さらに、翌年5月に開催された「直通WTT大満貫・世界選手権」エキシビションマッチでは、16歳ながら許昕(シュシン)、林高遠(リンガオユエン)を破る金星を挙げて話題を集めた。
ジュニアの大会では、2018年のジュニアサーキット・クロアチアオープン(ゴールデン)のU15男子シングルスで優勝をはじめ、2019年のジュニアサーキットでも複数回の優勝を果たしています。また、2020年の全中国カデット、ジュニア選手権ともに男子シングルスで優勝しており、ジュニアの大会でも輝かしい結果を残しています。
最近のシニアの大会では、男子ダブルス、混合ダブルスで優勝することが多く、2023年のWTTコンテンダーの大会で複数回の優勝を飾っています。男子ダブルスでは、WTTスターコンテンダーバンコクでは林高遠(リンガオユエン・中国)とペアを組んで優勝し、混合ダブルスでは、蒯曼(クワイマン・中国)といつも組んでおり、複数回優勝しています。
ダブルス巧者の林詩棟ですが、世界卓球2023ダーバン大会の男子ダブルス、混合ダブルスの中国代表選手に選ばれており、男子ダブルスは林高遠、混合ダブルスは蒯曼とのペアリングで出場します。
林詩棟のプレースタイル
林詩棟の戦型は、右シェーク裏裏のドライブ型です。中陣から威力のある綺麗な両ハンドを放ちます。特にバックハンドがうまい選手ではありますが、チキータだけでなく、ストップを多用している印象もあります。得点パターンとしてはラリーの展開が多く、下げられたとしても安定して引き返すことができるのが特徴的です。また、無理に打ちにいくことは少なく、ブロックでつないだり、質の高いループドライブを放ったりなど、きれいな卓球をすることも魅力の一つです。
林詩棟の使用用具
バタフライの契約選手である林詩棟は、ラケットはバタフライの特注ラケット、フォア面のラバーは現在調査中ですが、バック面のラバーはバタフライの『ディグニクス09c』を使用しているようです。
>>【卓球】ディグニクス09Cの性能を徹底レビュー 粘着愛好家にもってこいの最先端ラバー
林詩棟の世界ランキング
林詩棟の世界ランキングは10位(2024年6月時点)で、最高ランキングは9位(2024年1月)です。
2023年に入ってから急激にランキングを上げており、現在男子中国選手の中では6番手の位置につけています。世界卓球の出場などで、さらに順位を上げてくることも期待されます。
林詩棟の主な成績
2019年 | ジュニアサーキット・イタリアオープン(プレミアム) | U15男子シングルス:優勝 |
2020年 | 全中国カデット選手権 | 男子シングルス:優勝 |
全中国ジュニア選手権 | 男子シングルス:優勝 | |
2021年 | 世界ユース選手権 | U19男子団体:金メダル |
2022年 | 世界ユース選手権 | U19男子シングルス:金メダル、U19男子ダブルス:金メダル、U19混合ダブルス:金メダル、U19男子団体:金メダル |
WTTフィーダーブダペスト | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:準優勝、混合ダブルス:優勝 | |
2023年 | WTTコンテンダードーハ | 男子シングルス:ベスト4、混合ダブルス:優勝(ペア:蒯曼) |
WTTコンテンダーダーバン | 男子ダブルス:優勝(ペア:CHEN Yuanyu)、混合ダブルス:優勝(ペア:蒯曼) | |
WTTコンテンダーアンマン | 男子シングルス:優勝、混合ダブルス:優勝(ペア:蒯曼) | |
WTTスターコンテンダーゴア | 男子シングルス:準優勝 | |
WTTスターコンテンダーバンコク | 男子ダブルス:優勝(ペア:林高遠) | |
世界選手権ダーバン大会 | 混合ダブルス:銅メダル(ペア:蒯曼) | |
WTTコンテンダーザグレブ | 男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:優勝(ペア:袁励岑)、混合ダブルス:準優勝(ペア:蒯曼) | |
WTTスターコンテンダーリュブリャナ | 男子ダブルス:優勝(ペア:向鵬) | |
WTTコンテンダーアルマトイ | 男子ダブルス:優勝(ペア:徐瑛彬) | |
WTTスターコンテンダー蘭州 | 男子ダブルス:準優勝(ペア:徐瑛彬)、混合ダブルス:優勝(ペア:蒯曼) | |
WTTコンテンダー太原 | 男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:優勝(ペア:林高遠)、混合ダブルス:優勝(ペア:蒯曼) | |
世界ユース選手権 | U19男子シングルス:金メダル、U19男子ダブルス:金メダル(ペア:温瑞博)、U19混合ダブルス:金メダル(ペア:蒯曼)、U19男子団体:金メダル | |
2024年 | WTTファイナルズドーハ | 男子ダブルス:準優勝(ペア:林高遠) |
WTTスターコンテンダードーハ | 男子シングルス:準優勝、混合ダブルス:準優勝(ペア:蒯曼) | |
WTTサウジスマッシュ | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTコンテンダー太原 | 混合ダブルス:優勝(ペア:蒯曼) |
まとめ
強豪国中国の代表選手としてジュニア時代から多くの実績を残している林詩棟。最近ではダブルスで多くの好成績を残し、次期エース候補として活躍の幅を広げている林詩棟は、今後も日本選手にとって強力なライバルとなるでしょう。成長を続ける彼は今後の世界卓球などではどのような活躍を見せるのか。期待が高まります。