文:ラリーズ編集部
今回は、中国からドイツへ渡り、クラブチームとドイツ代表の両方で活躍中のベテラン、シャン・シャオナ(ドイツ)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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シャン・シャオナとは?
シャン・シャオナは、2014年のドイツオープン女子シングルスで優勝、ペトリッサ・ゾルヤ(ドイツ)と組んだ女子ダブルスで2016年のヨーロッパ選手権準優勝、翌年の韓国オープンで優勝とマルチな才能を発揮できる選手です。
トップ選手の中では珍しい戦型のため、世界ランキングが格上の選手にも勝つことがあり番狂わせができる選手として各国が注目している選手でもあります。日本の選手にも勝利した経歴が数多くあり、日本の女子チームも警戒しています。
プロフィール
シャン・シャオナは、1983年1月18日生まれの37歳(2020年4月時点)です。中国の遼寧省出身で、現在はドイツに国籍を移しています。また、ドイツのクラブチーム、ベルリン・イーストサイドに所属して2019/2020シーズンのヨーロッパチャンピオンズリーグに参戦していました。当シーズンではベルナデッタ・スッチ(ルーマニア)やユ・フ(ポルトガル)ら各国のトップ選手とともに、チームの準決勝進出に貢献しました。
ドイツ代表としても、2016年のリオ五輪に出場して団体準優勝を果たしたり、国際大会でもドイツオープンで優勝と群を抜く才能を評価されています。その戦型からカットマンに強い傾向があります。特に、日本屈指のカットマンである佐藤瞳(ミキハウス)とは相性が良く、国際大会でも勝ち越しています。
プレースタイル
シャン・シャオナの戦型は右ペン表の前陣速攻型で、片面にのみラバーを貼る希少な戦型です。表ソフトでのドライブやスマッシュはもちろん、バックハンドショートでのナックル性ブロックもミスなく決めることができます。
片面でのペン表ソフトのトップ選手と言えば、日本では“カミカゼ速攻”を武器とするレジェンド、田崎俊雄さんや男子ナショナルチームのコーチを務めている田勢邦史さんらが挙げられます。トップ選手で片面のみで戦うのはとても難しく、相応の技術とコートを動き回る体力が必要になります。一旦相手に対応され始めると、ラリーで得点するしかなくなり、両面を振れる選手よりもラリーが比較的不利になる傾向があります。
シャン・シャオナは、ドライブを駆使することでラリーにおいても相手に打ち負けることがなく、ドライブとスマッシュとの緩急を駆使して相手のミスを誘うことができます。また、バックハンドの精度も高くミスが少ないため相手にして見ればやりづらい選手だと言えます。
使用用具
シャン・シャオナはBUTTERFLYの契約選手で、ラケットがZLカーボンを搭載した特注品で、ラバーは表ソフトの「インパーシャルXS」を使用しています。ラバーは片面にしか貼られていません。
「インパーシャルXS」は横目の表ソフトで、BUTTERFLYの「ハイテンション技術」を搭載しつつ回転をかけやすい粒形状にすることで、スピードのあるスマッシュに加えて、回転量のあるドライブを打つことができるラバーです。同じシリーズの「インパーシャルXB」は縦目の表ソフトで、前陣での台上技術やスマッシュを、威力を持たせつつコントロールしやすくしたラバーです。
世界ランキング
シャン・シャオナの世界ランキングは43位(2020年4月時点)です。2013年から2桁ランク前半で安定していましたが、2018年の終わりから2019年初めにかけて一時的にランクが300位台まで急降下しました。2019年には再び2桁ランクに返り咲き、上昇を見せています。最高ランクは2017年3月の12位です。
国際大会での主な成績
2014年 | ドイツオープン | 女子シングルス優勝 |
ロシアオープン | 女子シングルスベスト4 | |
2015年 | 韓国オープン | 女子シングルスベスト4 |
2016年 | ヨーロッパ選手権 | 女子シングルスベスト16、女子ダブルス準優勝 |
リオ五輪 | 女子団体準優勝 | |
2017年 | 韓国オープン | 女子ダブルス優勝 |
カタールオープン | 女子シングルスベスト4 | |
2020年 | スペインオープン | 女子シングルスベスト4、女子ダブルスベスト4 |
まとめ
その希少性を活かして、各国のトップ選手を次々と打ち破るドイツの実力派が国際大会で番狂わせを起こせるか。今後の彼女の活躍に注目です。
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