文:ラリーズ編集部
今回は、元世界選手権王者で現代ペンホルダーの先駆者である王皓(ワンハオ・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
王皓とは?
王皓は、2009年の世界選手権王者で、五輪のシングルスでも3大会連続で銀メダルを獲得している選手です。ペンホルダーながら裏面打法を本格的に使用し、両ハンド攻撃型を確立した選手でもあります。
王皓のプロフィール
王皓(ワンハオ/Wang Hao)は1983年12月1日生まれの40歳(2023年12月時点)で、中国の吉林省出身です。
2000年代から国際大会での入賞が増え始め、2004年にはアテネ五輪に出場します。決勝で敗れはしたものの準優勝を飾ることができました。その後も北京五輪、ロンドン五輪でも男子シングルスで決勝に進出し、3大会連続でのシングルス銀メダリストとなりました。
2009年の世界選手権でも決勝に進出すると、王励勤(ワンリキン・中国)に勝利を挙げシングルス初制覇を成し遂げています。2011年、2013年の世界選手権でも決勝に進出しますが、いずれも張継科(チャンジーカ・中国)に敗れ準優勝に終わっています。
2014年に現役を引退。同年に引退した馬琳(マリン・中国)は女子代表チームの監督、そして王皓は男子代表チームの監督に就任しています。
王皓のSNS
王皓のプレースタイル
王皓の戦型は右ペン裏裏の攻撃型で、バックハンドのほぼすべてを裏面打法で処理する近代的なペンホルダーの選手のパイオニアです。
それまでは、馬琳のようなフォア主戦型で時折裏面打法を使用する選手はいましたが、王皓は幼いころからバックハンドをすべて裏面打法で対応してきたため、ペンホルダーでありながら両ハンド攻撃型という新たな戦い方を生み出しました。
王皓の裏面打法の安定感は高く、台上のチキータから後陣からの引き合いまで全てにおいて精度高く打ち返すことができます。無論フォアハンドも安定感があり、両ハンドのレベルが高いバランス型の選手といえるでしょう。
王皓のような裏面打法を本格的に使用する選手は増えてきていて、邱党(キュウダン・ドイツ)や黄鎮廷(ウォンチュンティン・中国香港)、フェリックス・ルブラン(フランス)らが現代のペンホルダーとして世界の舞台で活躍しています。
王皓の使用用具
王皓の使用用具は、ラケットは自信が監修した「キョウヒョウ皓」シリーズ、ラバーはフォア面に紅双喜の『天極NEO3』、バック面には紅双喜の『キョウヒョウNEO3』の硬度が柔らかいラバーを使用していたそうです。かつてはバック面に、BUTTERFLYの『ブライススピード』の特注ラバーを使用していたそうです。
フォア面の『天極NEO3』は、中国代表選手の中でペンホルダーの選手に特に使用されていたラバーです。「キョウヒョウ」シリーズよりも直線的で、スピードが出やすいラバーです。また、王皓がかつてバック面に使用していた『ブライススピード』は、市販の『スレイバー』のシートに、『ブライススピード』のスポンジを組み合わせたものです。
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王皓の世界ランキング
2023年12月時点で、王皓は世界ランキングを持っていません。2014年に現役を引退し、中国男子代表チームの監督を務めています。最高ランキングは1位(2007年10月)です。
王皓の主な成績
2002年 | エジプトオープン | 男子シングルス:優勝 |
オランダオープン | 男子シングルス:優勝 | |
2003年 | クロアチアオープン | 男子シングルス:優勝 |
中国オープン | 男子シングルス:準優勝 | |
スウェーデンオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
世界選手権パリ大会 | 男子ダブルス:銀メダル | |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2004年 | 韓国オープン | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝 |
アテネ五輪 | 男子シングルス:銀メダル | |
中国オープン | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝 | |
ギリシャオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝 | |
2005年 | 中国オープン | 男子シングルス:準優勝 |
ワールドカップ | 男子シングルス:準優勝 | |
カタールオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
2006年 | ジャパンオープン | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝 |
クロアチアオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
カタールオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
ワールドカップ | 男子シングルス:準優勝 | |
2007年 | スロベニアオープン | 男子シングルス:優勝 |
ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
フランスオープン | 男子シングルス:準優勝 | |
パナソニックオープン(中国) | 男子シングルス:優勝 | |
ジャパンオープン | 男子シングルス:優勝 | |
フォルクスワーゲンオープン(中国) | 男子シングルス:準優勝 | |
スウェーデンオープン | 男子シングルス:優勝 | |
グランドファイナル | 男子シングルス:準優勝 | |
世界選手権ザグレブ大会 | 男子ダブルス:銀メダル | |
ドイツオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
2008年 | 北京五輪 | 男子シングルス:銀メダル |
中国オープン | 男子シングルス:優勝 | |
ジャパンオープン | 男子シングルス:準優勝 | |
パナソニックオープン(中国) | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:準優勝 | |
グランドファイナル | 男子シングルス:準優勝 | |
ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
カタールオープン | 男子シングルス:準優勝 | |
クウェートオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
韓国オープン | 男子ダブルス:優勝 | |
2009年 | 世界選手権横浜大会 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:金メダル |
中国オープン | 男子シングルス:優勝 | |
クウェートオープン | 男子シングルス:準優勝 | |
韓国オープン | 男子ダブルス:優勝 | |
2010年 | ドイツオープン | 男子シングルス:準優勝 |
ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
広州アジア競技大会 | 男子シングルス:銀メダル | |
2011年 | ドバイオープン | 男子シングルス:準優勝 |
フォルクスワーゲンオープン(中国) | 男子シングルス:優勝 | |
世界選手権ロッテルダム大会 | 男子シングルス:銀メダル | |
スウェーデンオープン | 男子シングルス:準優勝 | |
ワールドカップ | 男子シングルス:準優勝 | |
イギリスオープン | 男子ダブルス:準優勝 | |
ドイツオープン | 男子ダブルス:準優勝 | |
スロベニアオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
2012年 | カタールオープン | 男子シングルス:優勝 |
ロンドン五輪 | 男子シングルス:銀メダル | |
ポーランドオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:準優勝 | |
グランドファイナル | 男子シングルス:準優勝 | |
スロベニアオープン | 男子ダブルス:準優勝 | |
韓国オープン | 男子ダブルス:準優勝 | |
2013年 | 世界選手権パリ大会 | 男子シングルス:銀メダル |
中国オープン | 男子シングルス:準優勝 | |
カタールオープン | 男子ダブルス:準優勝 | |
2014年 | ドイツオープン | 男子ダブルス:優勝 |
スウェーデンオープン | 男子ダブルス:優勝 |
まとめ
世界選手権を制し、五輪でも表彰台に上がり続けた現代ペンホルダーの先駆者が、中国卓球界にどんな影響を与えていくのか。今後の彼の動向に目が離せません。