文:ラリーズ編集部
今回は、世界のトップを走るラリーの名手で、世界最強ペンドラの許昕(シュシン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
>>英ピッチフォードに聞く「最強中国の倒し方」と「Tリーグ参戦のワケ」
許昕とは?
許昕は、世界ランキングトップを幾度も経験、国際大会では何度も優勝している中国の主力選手の一人です。同じく中国代表にはリオ五輪王者の馬龍(マロン・中国)や樊振東(ファンジェンドン・中国)、梁靖崑(リャンジンクン・中国)等多くのトップ選手がいる中で何度も世界選手権や五輪の代表に選出されていて確かな実力を持っています。
シングルスに限らず、男子ダブルスや劉詩雯(リュウスーウェン・中国)と組んだ混合ダブルスでも世界選手権を制し、国際大会でも負け知らずと、ダブルスの天才と呼べる選手です。また対外選手にも強く、シングルスでは中国代表選手の中で唯一張本智和(木下グループ)に負けたことがない選手で、中国男子団体メンバーの中での信頼も高いです。
プロフィール
許昕は、1990年1月8日生まれの30歳(2020年3月時点)です。中国出身で、ジュニアの時代から国際大会で多くの優勝を収めてきました。2個上にはともに五輪シングルス王者の経歴を持つ馬龍や張継科(チャンジーカ・中国)といったレベルの高い環境の中で実力を上げ、現在は中国の主力選手の一人になっています。
時折投稿するInstagramには、オフの時の写真や奥さんと仲睦まじい様子の写真があげられています。
プレースタイル
許昕の戦型は左の中国式ペン攻撃型で、世界最強の左利きにして世界最強のペンドラという2つの看板を背負っています。リーチの長さを活かした強烈なフォアドライブと、縦横無尽に素早く動く人間離れしたフットワークが特徴です。そのフットワークから、海外メディアから“cloud walker”と称されることもあります。また、最近では裏面打法の精度を高めていて、フォアドライブと同様に威力あるボールを放ちます。
ペンホルダーの裏面打法が大きく広まったのは、中国の元選手で現在コーチを務めている王皓(ワンハオ)や馬琳(マリン)の活躍が影響していると考えられます。特に王皓はバック側のボールを基本的に裏面でレシーブすることが多く、当時のペンでは珍しいペンの両ハンドドライブ型という戦型を確立させた選手ともいえます。元々ペンホルダーはバック側のボールに対してもラケットの表面でレシーブすることが多かったのですが、この2人の活躍で一気に裏面打法が広まりました。
許昕も裏面を振ることがありましたが、つなぎの場面での使用が多く威力は今ほどはありませんでした。そこから裏面打法の精度を上げ、今では裏面のバックハンドドライブで得点を取ることも多くなりました。また、異次元のフットワークは年齢を重ねても健在で、後陣に下がっても、左右に揺さぶられても追いつくことができるため、相手が苦戦する選手といえます。
使用用具
許昕はSTIGAと契約していて、ラケットは元々特注品として作り出し現在は商品化されている「ダイナスティーカーボン Xu Xinエディション」を使用しています。
ラバーはフォア面に紅双喜の「天極2 国チーム用」の特注品、バック面に同じく紅双喜の「キョウヒョウ3 国チーム用」を使用しているそうです。中国のトップ選手の中には、このように両面に粘着性ラバーを使用する人もいます。
紅双喜が出している「キョウヒョウ」シリーズと「天極」シリーズにはそれぞれ階級が存在していて、階級が上がるごとにラバーの質が良くなっています。国チーム用がその中では最も質が良いということでトップ選手に好まれています。
また、トップ選手は特注品として既製品のラバーのスポンジやシートを自分好みに改良したものを使うことが多いです。
世界ランキング
許昕の世界ランキングは1位(2020年3月時点)です。2011年から1桁ランクで安定していて、2013年から2015年の間でランキング1位を維持していたこともあります。2019年から再び1位に返り咲く機会も多く、現在もその好調を維持しています。
直近の国際大会での主な成績
2017年 | 世界選手権 | 男子シングルス3位、男子ダブルス優勝(樊振東と) |
ジャパンオープン | 男子ダブルス優勝(馬龍と) | |
スウェーデンオープン | 男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝(樊振東と) | |
2018年 | カタールオープン | 男子ダブルス優勝(樊振東と) |
ドイツオープン | 男子ダブルス優勝(馬龍と) | |
世界選手権 | 男子団体優勝 | |
チームワールドカップ | 男子団体優勝 | |
ブルガリアオープン | 男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝(樊振東と) | |
オーストラリアオープン | 男子シングルス優勝 | |
2019年 | チームワールドカップ | 男子団体優勝 |
アジア選手権 | 男子シングルス優勝、男子ダブルス準優勝(樊振東と)、混合ダブルス優勝(劉詩雯と) | |
ハンガリーオープン | 男子ダブルス優勝(梁靖崑と) | |
ジャパンオープン | 男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝(樊振東と) | |
韓国オープン | 男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝(樊振東と) | |
オーストラリアオープン | 男子シングルス優勝、男子ダブルス準優勝(樊振東と) | |
スウェーデンオープン | 男子ダブルス優勝(樊振東と)、混合ダブルス優勝(劉詩雯と) | |
ドイツオープン | 男子ダブルス優勝(梁靖崑と) | |
T2ダイアモンド | 男子シングルス優勝 | |
グランドファイナル | 混合ダブルス優勝(劉詩雯と) | |
2020年 | ドイツオープン | 男子シングルス優勝、混合ダブルス優勝(劉詩雯と) |
カタールオープン | 男子ダブルス優勝(馬龍と) |
まとめ
中国代表の看板を背負う主砲が五輪や世界選手権で新たなタイトルを獲得するのか。今後の彼の活躍に目が離せません。