文:ラリーズ編集部
2011年の世界選手権でシングルス初出場ながら優勝し、その後ワールドカップ、ロンドンオリンピックを次々と制し、わずか15か月という史上最速での大満貫を達成した、中国のスター選手である張継科(チャンジーカ・中国)について紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても紹介します。
張継科とは?
2008年全中国選手権大会男子シングルスで、当時の中国チームの代表格であった王皓(ワンハオ)、馬琳(マリン)、王励勤(ワンリーチン)を連破し、優勝して頭角を現しました。
その後、2010年の世界卓球モスクワ大会で団体戦に初出場で活躍し、翌年の2011年に世界卓球ロッテルダム大会でシングルス初出場ながら、王励勤、ドイツのボル、王皓を連破し初優勝に輝きました。
その年のワールドカップパリ大会でも優勝、2012年のロンドンオリンピックでも圧倒的な強さで制覇し、わずか15か月で世界選手権、ワールドカップ、オリンピックのシングルスでのタイトルをすべて獲得する「大満貫」を達成し、中国の卓球史に名を残すトップ選手となりました。
2013年の世界卓球パリ大会も制覇し、2連覇を達成。その後もリオデジャネイロオリンピックで銀メダルを獲得しました。チキータレシーブとYGサーブをいち早く取り入れ、一時代を確立しました。
張継科のプロフィール
張継科(チャンジーカ/Zhang Jike)は1988年2月16日生まれの36歳(2024年2月現在)で、中国の青島市山東省出身です。当初は父親の影響でサッカー選手を目指していましたが、1993年のワールドカップ最終予選での中国代表の惨敗により、5歳で卓球を本格的に始めたと言われています。
ちなみに名前のジーカは、当時サッカーのブラジル代表のジーコからつけられた名前であると言われています。父親の指導もあり、12歳で山東魯能のプロチーム、14歳で国家2軍チーム、そして15歳で国家1軍チーム入りを果たしました。
2007年の世界卓球ザグレブ大会では、混合ダブルスで初の世界代表入りを果たし、2008年全中国選手権で20歳ながら優勝した大会を機にシニアでも頭角を現し始めました。
そして2010年世界卓球モスクワ大会で初めて団体戦の代表に選出され、中国代表の優勝に貢献。2011年にはロッテルダム大会で個人戦の代表に選出され、世界卓球初出場で初優勝に輝きました。
同年のワールドカップも制し、1年間で主要タイトル2タイトルを獲得する快挙を成し遂げました。その勢いのまま、ロンドンオリンピックのシングルス代表に選出され、金メダルを獲得。わずか15か月のうちに史上最速で「大満貫」を達成し、中国では3人目の達成者となりました。
その後2013年の世界卓球パリ大会では男子シングルス2連覇、2014年のワールドカップでは長年のライバル馬龍をフルゲームの末破り、2回目の大満貫に王手をかけました。
3連覇を目指して臨んだ2015年の世界卓球蘇州大会ではシングルスは3位に終わりましたが、許昕(シュシン)と組んだダブルスでは初優勝に輝きました。
2016年リオデジャネイロ五輪でも2回目の代表に選出され、馬龍との決勝では敗れましたが銀メダルを獲得しました。
リオオリンピックを機に一時国際大会から身を引いていましたが、2018年に再び戦列復帰し、ジャパンオープンでは張本智和との激闘も話題になりました。しかし、2018年の韓国オープン以降、国際大会には出場しておらず、引退を明言していないものの第一線からは退いています。
張継科のプレースタイル
張継科の戦型は右シェーク裏裏ドライブ型です。馬龍や多くの中国選手は粘着ラバーから放たれるフォアハンドが武器となっています。
一方で張継科の場合、最大の武器はバックハンドです。その中でもレシーブにおけるチキータは世界で一番強力と言われ、チキータを武器に世界のトップ選手に駆け上がりました。
チキータからバック対バックの高速ラリーに持ち込む展開や、バックハンドドライブで一撃で仕留める攻撃など多彩な技術で、その地位を確立しました。
また、サーブも特徴的であり、特にYGサーブは彼の代名詞ともいえるサーブです。振り子式のYGサーブを多用し、通常のYGサーブよりも回転量が多く、回転の分かりづらさがこのサーブの特徴となっています。その他にも横上回転サーブからバックハンドのラリーに持ち込む展開や投げ上げサーブからフォアハンドで攻める展開など、様々なサーブを用いています。
張継科の使用用具
張継科は、ラケットはバタフライの『ビスカリア』、ラバーはフォア面には紅双喜の『キョウヒョウNEO3ブルースポンジ』、バック面にはバタフライの『テナジー80』を用いているようです。
張継科の世界ランキング
張継科は2024年2月時点で世界ランキングを持っていません。最高ランキングは1位(2012年12月)です。
張継科の主な戦績
2009年 | 世界選手権横浜大会 | 男子ダブルス:銅メダル(ペア:郝帥)、混合ダブルス:銀メダル(ペア:木子) |
チームワールドカップ | 男子団体:優勝 | |
アジア選手権 | 男子シングルス:銀メダル、男子ダブルス:銀メダル(ペア:王励勤)、混合ダブルス:銀メダル(ペア:丁寧)、男子団体:金メダル | |
アジアカップ | 男子シングルス:ベスト4 | |
グランドファイナル | 男子シングルス:ベスト4 | |
2010年 | ワールドカップ | 男子シングルス:準優勝 |
チームワールドカップ | 男子団体:優勝 | |
アジアカップ | 男子シングルス:優勝 | |
世界選手権モスクワ大会 | 男子団体:金メダル | |
広州アジア競技大会 | 男子ダブルス:金メダル(ペア:王皓)、男子団体:金メダル | |
2011年 | 世界選手権ロッテルダム大会 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:銅メダル(ペア:王皓) |
ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
チームワールドカップ | 男子団体:優勝 | |
グランドファイナル | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:馬琳) | |
2012年 | ロンドン五輪 | 男子シングルス:金メダル、男子団体:金メダル |
アジア選手権 | 男子シングルス:銀メダル、男子団体:金メダル | |
2013年 | 世界選手権パリ大会 | 男子シングルス:金メダル |
チームワールドカップ | 男子団体:優勝 | |
2014年 | ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 |
仁川アジア競技大会 | 男子ダブルス:金メダル(ペア:馬龍)、男子団体:金メダル | |
2015年 | 世界選手権蘇州大会 | 男子シングルス:銅メダル、男子ダブルス:金メダル(ペア:許昕) |
チームワールドカップ | 男子団体:優勝 | |
アジア選手権 | 男子団体:金メダル | |
グランドファイナル | 男子シングルス:ベスト4 | |
2016年 | リオデジャネイロ五輪 | 男子シングルス:銀メダル、男子団体:金メダル |
アジアカップ | 男子シングルス:準優勝 | |
2017年 | アジア選手権 | 男子シングルス:銅メダル、男子団体:金メダル |
2018年 | ジャパンオープン | 男子シングルス:準優勝 |
まとめ
史上最速で大満貫を達成するなど馬龍と並び現代卓球の象徴ともいえる張継科。現在は国際大会への出場はないが、チキータとYGサーブで一時代を築いた名選手の試合は今も語り継がれています。バックハンドの技術やサーブを学びたいという選手は是非とも参考にしてほしい選手です。