文:ラリーズ編集部
今回は、USオープン女子シングルスで優勝を果たし、女子ワールドカップでは平野美宇(日本生命)にも勝利している、北米の期待の若手のチャン・リリー(アメリカ)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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チャン・リリーとは?
チャン・リリーは、2019年のアメリカ大陸選手権女子シングルスで優勝、女子ワールドカップでは平野に4-3で勝利しベスト4、2020年の同選手権でも準優勝と南北アメリカだけでなく国際大会で活躍する実力を積み重ねてきた選手です。
また、ジュニア時代の2013年からアメリカ選手権女子シングルスで優勝することが多く、若くして才能が開花した選手です。
プロフィール
チャン・リリーは、1996年6月6日生まれの23歳(2020年2月時点)です。アメリカのカリフォルニア州出身で現在はクラブのインドコミュニティーセンターに所属し、日々練習を行っています。
また、アメリカ代表としても、ロンドン五輪やリオデジャネイロ五輪と2大会連続で出場を果たしています。国際大会でもシングルス、ダブルス問わず勝利を重ねることが多い選手です。特に、USオープンでは2017年から毎年決勝に進出しており、アメリカ国内では1、2を争う実力者です。
プレースタイル
チャン・リリーの戦型は右シェーク裏裏の攻撃型で、前陣に張り付いて積極的に攻撃を仕掛けるのが得意です。また、後ろに下げられたとしても後陣からも振り抜くことができるのが彼女の強みです。
ここ数年で女子卓球にも大きく二つの変化がみられます。
1つは、チキータやフリックなど台上での攻撃を仕掛けることが多くなりました。以前なら、ストップやツッツキ等の台上技術でラリーに持ち込みながらドライブを打てるタイミングを待つのが女子選手に多くみられました。
しかし、現代の女子卓球では相手のサーブに対してチキータやフリックを駆使して上回転系のラリーに持ち込み、両ハンドで振り抜くのが主流になりつつあります。日本でいえば、伊藤美誠(スターツ)や石川佳純(全農)、平野に早田ひな(日本生命)らトップ選手はこの型に当てはまります。
もう1つは、中後陣でもラリーをすることが多くなったということです。最近では、中国の選手や日本の早田が試合の中で中陣や後陣から威力のあるフォアドライブを打つことがみられます。女子卓球の中でもより威力のある攻撃を求める傾向がみられます。
チャン・リリーはまさに現代女子卓球を吸収した戦型であると言えます。相手のサーブに対してフリックを多用して相手のレシーブの時間をなくし、自分のレシーブのミスを減らしていくのが彼女の卓球の持ち味です。
使用用具
チャン・リリーの用具はJOOLAのものを使っており、ラケットが「NOBILIS PBO-C」で、ラバーがフォア面、バック面ともに「RHYZER PRO 50」を使用しているそうです。ラバーが硬いため、相手の回転に負けずにレシーブをすることができます。
世界ランキング
チャン・リリーの世界ランキングは28位(2020年2月時点)で、2019年10月からは50位以上をキープしています。最高ランクは2019年12月と2020年1月の26位です。ジュニア時代の2012年ごろから100位台前半をキープしていて、順調に順位を上げてきています。
アメリカ国内大会での主な成績
2012年 | アメリカ国内選手権 | 女子シングルス優勝 |
2014年 | アメリカ国内選手権 | 女子シングルス優勝 |
2016年 | アメリカ国内選手権 | 女子シングルス優勝 |
2017年 | アメリカ国内選手権 | 女子シングルス優勝 |
2019年 | アメリカ国内選手権 | 女子シングルス優勝 |
国際大会での主な成績
2014年 | ユースオリンピック | 女子シングルス3位 |
2018年 | USオープン | 女子シングルス準優勝 |
2019年 | 女子ワールドカップ | シングルス4位 |
パン・アメリカン選手権 | 女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝、混合ダブルス優勝、女子団体優勝 | |
USオープン | 女子シングルス優勝 | |
アメリカ大陸選手権 | 女子シングルス優勝 | |
2020年 | アメリカ大陸選手権 | 女子シングルス準優勝 |
まとめ
南北アメリカを制した女王が、東京オリンピックでもその実力を発揮してくるのか。今後の彼女の活躍に注目です。