文:ラリーズ編集部
個人競技である卓球ですが、オリンピックや世界選手権、Tリーグなどでは団体戦も非常に盛り上がります。ダブルスの有無や試合数など、団体戦のルールは試合によって大きく異なり、戦略も変わってきます。今回はそんな団体戦の形式の種類について、大会ごとに詳しくご紹介します。
オリンピックの団体戦
写真:リオ五輪での水谷隼/提供:ittfworld
まずご紹介するのはオリンピックの団体戦です。オリンピックでは1チーム3人で、シングルス4試合とダブルス1試合の計5試合を行います。3人のうち1人がシングルス2試合に、残りの2人がダブルスとシングルス1試合ずつに出場することになります。
オーダーの組み方はABC-XYZ方式と呼ばれるルールが採用されています。コイントスで両チームを「ABC」と「XYZ」の二つに割り当て、チーム内でABC(またはXYZ)のアルファベットに対応する選手を決めます。試合は以下のような組み合わせで行われます。
第1試合 B/Cペア 対 Y/Zペア
第2試合 A 対 X
第3試合 C 対 Z
第4試合 A 対 Y
第5試合 B 対 X
AとXにあたる選手がシングルスに2試合出場することになります。また、シングルスで同じ選手同士が2度対戦することがないように組まれています。注目すべきポイントは、第2試合でAとXが戦う、つまりシングルス2点起用のエース格同士が必ずぶつかるという点です。組み合わせがほぼ決まっている第1試合のダブルスも含め、前半の2試合が大きな鍵を握ると言えるでしょう。
世界選手権の団体戦
写真:2018年世界選手権での伊藤美誠/提供:ittfworld
続いては隔年で開催されている世界選手権団体戦です。こちらは1チーム5人まで登録が可能で、1つの試合に出ることができるのは3人です。オーダーの組み方はABC-XYZ方式を採用していますが、オリンピックとは異なり5試合全てシングルスで行われます。組み合わせは以下のようになっています。
第1試合 A 対 X
第2試合 B 対 Y
第3試合 C 対 Z
第4試合 A 対 Y
第5試合 B 対 X
3人のうち2人(A、BまたはX、Yにあたる選手)が2試合に出場し、1人(CまたはZにあたる選手)が1試合に出場します。オーダーのパターンとしてはシンプルで、前半と後半で対戦順が入れ替わるだけのようにも見えます。しかし、団体戦は勢いや流れといった要素の影響が大きいので、試合順が非常に重要になってきます。そのため、どのタイミングでどの対戦カードを実現するか、両チーム間での駆け引きが行われます。
Tリーグの団体戦
写真:Tリーグでの早田ひな/撮影:ラリーズ編集部
続いては2018年よりスタートしたTリーグです。「3シングルス1ダブルス(+ビクトリーマッチ)」という独自のルールが採用されています。これにより、スピーディかつスリリングな展開が演出される、観戦を意識した試合形態になっています。
第1試合はダブルスですが、2ゲーム先取の3ゲームマッチで行われます。短期決戦のため番狂わせが起こりやすく、試合全体の流れを大きく左右する重要なポジションです。
第2試合から第4試合はシングルスが行われます。第3試合までで勝利チームが決まった場合でも第4試合が行われ、勝ち点に影響を与えるため、最後まで気が抜けません。
第4試合まで終えて、両チーム2勝2敗となった場合はビクトリーマッチを行います。1ゲームマッチのシングルスで、ビクトリーマッチに勝ったチームが全体の勝者となります。チームを背負った両者によって行われる1ゲームはとても緊張感があり、多くのドラマを演出してきました。出場する選手はビクトリーマッチの実施が確定してから選出するため、どの選手が対戦するかは直前までわかりません。
これらに加え、「ビクトリーマッチ以外は最終ゲームは6-6から行う」、「各マッチの最終ゲームおよびビクトリーマッチ以外はデュースなし」というルールも存在し、選手たちは独特の試合運びが要求されます。
ドイツブンデスリーガの団体戦
ドイツブンデスリーガの団体戦は、4シングルス1ダブルスで勝敗を争います。メンバーは3選手で構成され、両チームとも、一番手の選手がシングルスに2回出場し、二番手、三番手はシングルスとダブルスに1回ずつ出場します。
第1試合 ホームチームの1番手 vs アウェイチームの2番手
第2試合 ホームチームの2番手 vs アウェイチームの1番手
第3試合 ホームチームの3番手 vs アウェイチームの3番手
第4試合 ホームチームの1番手 vs アウェイチームの1番手
第5試合 ダブルス vs ダブルス
試合は3マッチを先取したチームが勝利となり、第3試合までで試合が終了すれば、第4試合は行われません。
関東学生リーグの団体戦
写真:梅村優香(中央大学)/撮影:ラリーズ編集部
最後にご紹介するのは関東学生リーグです。男子は1部〜6部、女子は1部〜5部からなる規模の大きなリーグ戦です。
男子の1〜3部では6シングルス1ダブルス、女子の1、2部では5シングルス2ダブルスと、4試合先取・全7試合で行われます。他の卓球の団体戦と比べて、試合数の多さが特徴です。体力があり、チームの人数が多い学生ならではの形式と言えるでしょう。男子の形式では最低6人、女子の形式では最低5人が出場する必要があるため、選手層の厚さも重要になってきます。
まとめ
今回は卓球の様々な団体戦の形式について紹介してきました。団体戦は起用する選手や順番などの戦略も大きな醍醐味です。観戦の際は試合方式をチェックし、オーダーにも注目してみてはいかがでしょうか。