文:石丸眼鏡
Tリーグの公式サイトを見たことはあるだろうか。Tリーグの公式サイトには試合日程・結果、チケット情報、選手プロフィールなど様々な情報が掲載されているが、試合や選手のデータページも充実している。
チームの順位は勿論、各選手の細かな成績までチェックすることが可能だ。例えば、各選手のマッチ勝率・サービスエース数・ゲーム平均失点数など、卓球ファンならば見ているだけでも楽しめるデータが豊富に掲載されている。
今回は、Tリーグ公式サイトに掲載されているデータ項目から「サーブ時ポイント獲得率」に注目、独自の集計を交えて紹介する。
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「サーブ時ポイント獲得率」とは
「サーブ時ポイント獲得率」とは、その言葉の通り、「自分のサーブから始まったラリーで自分が得点した割合」を示すものだ。勿論、サービスエースを決めた場合も含まれる。
卓球においては、シングルスに限っていえば、「サーブ側が有利」というのが定説だ。
写真:水谷隼/撮影:ラリーズ編集部
回転やコースを自分の意思で決定し、その後のラリーで有利な展開を作りやすいことが主な理由だと言われている。セルロイドボールからプラスチックボールへの変更、攻撃的なレシーブ技術であるチキータの浸透などが影響し、一昔前と比べてサーブ側の優位性は失われたとみる向きもあるが、やはりレシーブ時よりサーブ時の方が自信があるというプレーヤーが多数派のように感じられる。
トップ選手が集結するTリーグにおいては、どのような傾向がみられるのだろうか。
「サーブ時ポイント獲得率」1位は神巧也と森さくら
Tリーグ2019-2020シーズンのランキングページを確認すると、「サーブ時ポイント獲得率」第1位は、男子・神巧也(T.T彩たま)、女子・森さくら(日本生命レッドエルフ)となっている。(注:ランキングはチーム試合数×0.6以上出場選手のみ掲載 集計対象はリーグ戦シングルスマッチ、VMは集計対象外)
写真:神巧也(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
このランキングによると、神は57.7%、森は55.5%を記録している。対照的なデータであるレシーブ時ポイント獲得率が神:46.5%、森:50.3%という点を踏まえると、この差は非常に大きい。
「サーブ側が有利」を数字で検証
では、「サーブ時ポイント獲得率」を全選手の平均でみてみるとどのような結果になるだろうか。
ランキングに載らない選手も、個人スタッツページを確認すると「サーブ時ポイント獲得率」を参照することができる。そこで、Tリーグ2019-2020シーズンでリーグ戦シングルスに出場した全選手の「サーブ時ポイント獲得率」の平均を算出した。
写真:早田ひな(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部
算出に際しては、①各選手の得点数・失点数・サーブ時ポイント獲得率からサーブ時ポイント獲得数を概算、②全選手のサーブ時ポイント獲得数合計を得点数・失点数の合計で除算する方法を取った。
その結果、全選手の平均値は53.0%となった。逆にいえば、レシーブ時ポイント獲得率の平均は47.0%といえる。この結果から、サーブとレシーブでのポイント獲得率の差分は6.0%と導くことができた。
やはり、サーブ側が有利という定説はTリーグのデータにも当てはまっているようだ。今回はTリーグ2019-2020シーズンのデータを基にして集計を実施した、他団体・別シーズンなど条件を変えれば異なる結果が得られる可能性もある。数あるデータ内の1つの結果として参考にしていただきたい。
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参考 出場マッチ数を考慮しない「サーブ時ポイント獲得率」ランキング
※所属は2ndシーズン時
男子
1位:林昀儒(岡山リベッツ)64.9%
2位:趙大成(岡山リベッツ)60.6%
3位:宇田幸矢(木下マイスター東京)60.3%
女子
1位:平野美宇(日本生命レッドエルフ)64.9%
2位:赤江夏星(日本生命レッドエルフ)62.5%
3位:馮天薇(日本ペイントマレッツ)60.3%