卓球人のこだわりグッズを紹介する「俺の卓球ギア」。
第89回となる今回は、2020年度後期日本卓球リーグ熊本大会女子2部で新人賞を受賞した原田杏菜(豊田自動織機)の卓球ギアを紹介する。
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原田杏菜の卓球ギア
戦型
右シェーク両面表ソフト
ラケット
フォルティウスFT(FL・ミズノ)
ラバー
フォア:388C-1(中・DAWEI)
バック:モリストSP AX(中・Nittaku)
ユニフォーム
豊田自動織機のユニフォーム
こだわりのもの
ピンクのシューズ
※ギアは2020年11月時点のもの
高校時代、全国選抜団体準優勝
卓球をしていた母親の影響を受け、原田は6歳から愛知県の名門クラブチーム『ピンテック』に入会した。中学3年までの9年間腕を磨き、Tリーグ前チェアマン松下浩二氏を輩出した桜丘高校へ入学した。
写真:後期日本リーグ熊本大会でプレーする原田杏菜(豊田自動織機)/撮影:ラリーズ編集部
原田は、桜丘高校で数々の実績を残している。全日本選手権にはジュニア、一般の部ともに出場しており、2019年のジュニア女子シングルスではべスト32まで勝ち進んでいる。高2で挑んだインターハイでは、浅井一恵(現・エクセディ)と組んだダブルスでベスト8に入った。
また、第46回全国高等学校選抜卓球大会では、団体準優勝を果たし、決勝で王者・四天王寺高校をマッチカウント2-3まで追い詰めている。
写真:後期日本リーグ熊本大会での原田杏菜(豊田自動織機)/撮影:ラリーズ編集部
原田本人も全国選抜がこれまでの卓球人生で一番思い出深いと笑顔で振り返る。
「当時、主将を務めベスト4を目標に大会に挑みました。準決勝の遊学館戦、2-2のラストでの試合を制し、決勝まで勝ち上がれた事が一番の思い出です。あの時は完全にゾーンに入っていました(笑)」。
高校卒業後は、日本卓球リーグ2部に所属する豊田自動織機へ入社し、先日行われた後期日本リーグ熊本大会ではシングルス5勝1敗で新人賞に輝いた。
写真:女子2部で新人賞を獲得した原田杏菜(豊田自動織機、写真左)、松澤帆乃果(百十四銀行、写真右)/撮影:ラリーズ編集部
高校時代に表ソフトを操れるようになり躍進
原田に自身の卓球人生の転機を聞くと「高校に入ってからです」と答えが返ってきた。
「表ソフトラバーは相手が嫌がるボールを打てますが、自分が使いこなすのも一苦労です。ただ、ピンテックでの下積み時代もあり、高校に入ってから表ソフトラバーの使い方をものにし、一気に成績が出せるようになりました。研究熱心な桜丘高校の野木森先生の指導のもと、これまで勝てなかった選手にもどんどん勝てるようになっていきました」。
写真:原田杏菜(豊田自動織機)/撮影:ラリーズ編集部
両面表ソフトラバーを操る原田は、フォルティウスFT(FL)に、フォアには変化系の表ソフトである388C-1(中)を、バックには回転重視の表ソフトであるモリストSP AX(中)を貼り、両面で異なる表ソフトを使用している。
用具のこだわりについては、ピンテックでコーチを務め、原田の用具を卓球を始めた頃から選んできたという村瀬卓也氏が回答してくれた。
村瀬氏が語る原田の用具のこだわり
まず、原田の両面表ソフトという戦型については「異質型はフォア面裏ソフトバック面表ソフトが主流ですが、回転をかけるよりも持ち前の瞬発力を活かして弾く動きの方が得意だったので、長所を殺さないために両面表ソフトという選択をしました」と村瀬氏は語る。
写真:日本リーグでも5勝と活躍した原田杏菜(豊田自動織機)/撮影:ラリーズ編集部
異なる表ソフトを使う理由としては、球質の変化をポイントにあげる。「フォアとバックで特性の違う表ソフトを使用することにより、フォア面の変化系表ソフトの変化に加え、フォアとバックの球質の違いでも相手を翻弄し、攻撃で点を取りながら変化でも点を貰う事ができます」。
また、使用ラケットについては「ラケットは硬さ、重量、グリップの形を総合的に見て決めました。グリップは形により力の入れやすさが違うので特に重視し、戦型的に弾きと変化が中心なのでしなりが少なく強く攻撃できるラケットを選択しました」と木材7枚合板のフォルティウスFTを選んだ理由を明かした。
写真:原田杏菜(豊田自動織機)/撮影:ラリーズ編集部
そして、両面の表ソフトについては「フォア面はナックル性の変化が大きい中で一番強く攻撃できるという強く打てる中でも変化を優先し、388C-1に。一方、バック面は回転のかけやすいモリストSP AXを選択しました。これはラリー時の球質の違いと、サービス時に反転することにより同じスイングでも回転量の変化がつけられるという事も考慮しています」とそれぞれの理由を明かしてくれた。
恩師・村瀬氏の選んだ“ギア”が、日本リーグ新人賞に輝いた原田のプレーを支えている。
祖母のために 日本リーグでの活躍誓う
原田に愛用品を聞くと「特にないのですが…」と少し考えた後、「ピンクのシューズですかね」と返ってきた。
「これまで色々なメーカーのシューズを履かせて頂きましたが、カラーはピンクと決めています。特に桜色が好きなので、今使用しているシューズは特に気に入っていて二代目です!好きな色の用品だと、テンションが上がりますよね。ラバーもピンクがあればいいのに、と思います(笑)」。
写真:原田杏菜(豊田自動織機)の卓球ギア/提供:本人
2019年のT2ダイヤモンドマレーシア大会でベルナデッタ・スッチ(ルーマニア)がピンク色のラバーを使用していたが、赤、黒以外の色のラバーが解禁されればピンクのラバーでプレーする原田の姿が見られるかもしれない。
写真:原田杏菜(豊田自動織機)/撮影:ラリーズ編集部
今後の目標としては「日本リーグ1部昇格してファイナル4に出場したいです。また、病気で遠出が出来ない祖母にホームマッチでプレーする姿を見せてあげたいです。全日本社会人ではベスト8を目指して、頑張りたいと思います」と語った原田。両面表ソフトという珍しい戦型で、1年目から日本リーグ2部で躍動した原田の今後の活躍が楽しみだ。
写真:女子2部2位の豊田自動織機 左端が原田/撮影:ラリーズ編集部