卓球人のこだわりグッズを紹介する「俺の卓球ギア」。
第90回となる今回は、2020年全日本学生選抜強化大会女子シングルスで優勝した黒野葵衣(早稲田大学)の卓球ギアを紹介する。
>>国公立大学からプロ選手まで!用具や愛用品を紹介する企画「俺の卓球ギア」はこちら
黒野葵衣の卓球ギア
写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
戦型
右シェーク裏粒カット主戦型
ラケット
剛力スーパーカット(FL・ニッタク)
ラバー
フォア:VS>401(2.0・VICTAS)
バック:カール P-4(薄・VICTAS)
ユニフォーム
早稲田大学のユニフォーム
こだわりのもの
ヘアピン
亀のゼッケンピン
※ギアは2020年12月時点のもの
小学校の挫折から立ち直り大学卓球界を代表する選手に
地元愛知県の小中学生に卓球を教えていた父親のもとで、ボール拾いをし始めたのがきっかけでラケットを握った黒野。小学6年で全日本カデットの愛知県予選を1位通過するなど着々と力をつけていた。
写真:全日学選抜での黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
しかし黒野は、予選1位通過した全日本カデット本戦で1回戦負けを喫したことから卓球を辞めようと考えていた。「卓球はもうやらずに地元の中学校に進学しようと思っていました。部活何にしようかなと思ったぐらいです(笑)」。
写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
転機となったのは、岐阜県高富中学への進学だ。「ご縁もあって、当時高富中顧問だった横谷先生(現・中京学院大学監督)のところで卓球を頑張ろうと思い直しました。高富中に行っていなかったら、武蔵野高校にも進学していなかっただろうし、早稲田大学で卓球もしていなかったと思います」。
小学校での挫折から立ち直り、卓球を続けた黒野は、今や大学卓球界を代表する選手の1人となった。
11月28,29日に行われた全日本学生選抜強化大会の女子シングルスで優勝を果たした。
写真:優勝した黒野葵衣(早稲田大・写真右)、写真左は準優勝の上田真実(愛工大)/撮影:ラリーズ編集部
「優勝できるとは思っていなかった。まずは予選リーグを抜けるところが目標だった。まさかここまで来れるとは」と驚きながらも、準決勝ではTリーグで大ブレイク中の木村香純(専修大学)、決勝では上田真実(愛知工業大学)をともにフルゲームで破っての栄冠となった。
ラケットは徐々に重く
カットマンである黒野の使用用具は、剛力スーパーカット(FL)にフォア・VS>401(2.0)、バック・カール P-4(薄)だ。
写真:反転してのカットも多用する/撮影:ラリーズ編集部
ラケットに関しては「ずっとビオンセロ(ニッタク)を使っていましたが、高校で松下浩二(VICTAS)に。大学で今の剛力スーパーカットにしました。周りの選手のボールの質が上がってきたため、だんだんラケット重量を重くしました」と変遷を明かした。
「ラバーは小1でカットをしたときから粒高ラバーでした。1週間だけ表にした時期があったのですが、できなさ過ぎてやめました(笑)。ラバー自体は中学生から変わっていませんが、厚さだけ変えています」。
写真:黒野葵衣(早稲田大学)の卓球ギア/提供:本人
こだわりの愛用品には、「亀のゼッケンピン」と「ヘアピン」をあげた。
「ゼッケンピンは、早稲田の同期のお母さんが作ってくれたもので、同期4人で色違い。去年から大切に使っています。ヘアピンは、去年の2月ぐらいから使い始め、その月の関東学連強化遠征であるサフィールOPで2種目優勝できました。その後、ヘアピンを違うのに変えると結果があまりよくなく、今回の選抜前に戻したら優勝しました(笑)」。ヘアピンは勝利のゲン担ぎに欠かせないギアとなりそうだ。
高1の関東選抜が転機に
黒野に思い出の試合を尋ねると、「高校1年の関東選抜での横浜隼人高校との決勝」と返ってきた。
「2番でゲームカウント0-2からひっくり返して勝って、ダブルスも鈴木理彩先輩(現・神戸松蔭女子学院大学)と組ませていただいて勝ち、5番で鈴木先輩が勝利し、関東選抜で優勝しました。表彰式のあと、太田先生(武蔵野高校監督)が泣いているのを初めて見ました」。
写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
そこから自信をつけた武蔵野高校は、その年の全国選抜、翌年のインターハイ、黒野が3年時のインターハイと続けて団体ベスト8に入賞した。「高1の頃はなかなか団体で結果が出なかったので、関東選抜優勝してなかったらこんなにも結果が出なかったと思います」と黒野も振り返った。
目指すは王座奪還
武蔵野高校で実力をつけ、早稲田大学に進学した黒野。今はレギュラーとしてチームを支えている。
写真:早稲田大学のゼッケンを背負い戦う/撮影:ラリーズ編集部
直近の目標は、12月中旬に予定されている関東学生選手権での好成績だ。「関東学生で全日学選抜のときのような、自分が納得できる試合をすることです」。
そして黒野はもう1つ大きな目標を抱いている。リーグ戦での王座奪還だ。
「1年生の秋リーグ、青山学院大との試合で、最後の7番で私が石川(梨良)さんに負けて、4シーズン続いてきた優勝を手放しました。この1年はコロナでリーグ戦が中止になり、当たり前にできていたリーグ戦のありがたさも感じました。もう早稲田大学を関東2番目にしたくはないので、次の春リーグでは必ず優勝します!」。
そう力強く宣言した黒野は、早稲田の王座奪還に向け、これからも努力を続ける。
写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部