世界のトップ選手が使用するラケットのほとんどに特殊素材が入っています。特殊素材の中でも、フォア面に適している素材とバック面に適している素材が異なりラケット選びに困るプレーヤーも少なからず存在します。そんな中、XIOMから発売されたのが『アイスクリームAZX』及び『アイスクリームAZX i』です。
今回は、『アイスクリームAZX』と『アイスクリームAZX i』について徹底分析し、異なる素材を組み合わせたラケットの特徴や、適しているプレーヤーについて紹介していきます。
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『アイスクリーム』シリーズとは?
写真:鄭栄植(チョンヨンシク・韓国)/提供:ITTF
『アイスクリームAZX』と『アイスクリームAZX i』はともに2020年の夏にXIOMから発売された特殊素材入りのラケットです。表面と裏面で異なる特殊素材を搭載した珍しいラケットで、『アイスクリームAZX』がアウター、『アイスクリームAZX i』がインナータイプのカーボンラケットとなっています。
トップ選手では、男子の鄭栄植(チョンヨンシク・韓国)が『アイスクリームAZX i』を使用していることで有名です。もともと鄭栄植のフォアハンドの補完とバックハンドの威力の共存を目指して開発されたラケットであるため、鄭栄植の卓球に適した性能を持っていると言えます。
『アイスクリーム』シリーズの重量/厚み
「アイスクリーム」シリーズの重量と厚みは、アウタータイプの『アイスクリームAZX』とインナータイプの『アイスクリームAZX i』で変わりません。重量が85g前後、ブレードの厚みは5.7mmです。
『アイスクリーム』シリーズの特徴
異なる2つの特殊素材
「アイスクリーム」シリーズ最大の特徴は、なんといっても2種類の異なる特殊素材が1つのラケット内に搭載されている事です。従来のラケットは両面に同じ特殊素材を搭載していました。異なる特殊素材を組み合わせると、ラケットの個体によって変化が大きくなってしまうとともに、打球感が大きく変わってしまいます。
そのため多くのプレーヤーが、同じ特殊素材を搭載したラケットにフォア面とバック面で異なるラバーを貼り、自分の打球感を調整していました。XIOMはラケットに着目し、この「アイスクリーム」シリーズの製品化に成功しました。
オレンジ側(AZX iではレッド側)にアクシリウムカーボン、パープル側(AZX iでも同じ)にゼフィリウムカーボンが搭載されている/提供:XIOM JAPAN
「アイスクリーム」シリーズでは、弾きのいい「アクシリウムカーボン」と、球持ちの良い「ゼフィリウムカーボン」の2種類が搭載されていて、ラケットのグリップの色もそれぞれに対応して区別できるようになっています。
アウターとインナーそれぞれの良さを引き出す木材
アウタータイプの『アイスクリームAZX』では、球離れの早い木材を使用しているのに対して、インナータイプの『アイスクリームAZX i』には粘り気のある木材を使用することで球持ちの良さを発揮しています。
『アイスクリーム』シリーズに向いているプレーヤー
フォアハンドとバックハンドで求める性能が異なるプレーヤー
「アイスクリーム」シリーズの特徴である2種類の特殊素材を活かして、フォアハンドとバックハンドの両方で最適な打球感を見つけたい選手にお勧めです。
両面に同じラバーを使用したい選手
従来の特殊素材ラケットでは、両面に同じ素材を使用しているため同じラバーではフォアハンドとバックハンドで球質が変わることがほとんどありません。しかし、「アイスクリーム」シリーズなら、同じラバーでも組み合わさる特殊素材が異なるため、異なった球質のボールを打つことができます。
高速両ハンドならAZX、安定と粘りならAZX i
球離れの早さを活かして、早いラリーの中でも主導権を握りたい選手にはアウタータイプの『アイスクリームAZX』が、ドライブや引き合いの場面で安定して威力のあるボールを送り続けたい選手にはインナータイプの『アイスクリームAZX i』が適していると言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。異なる特殊素材を搭載したラケットとして注目される「アイスクリーム」シリーズですが、その性能の高さも五輪に出場した選手によって証明されています。この機会に、新感覚のカーボンラケットを手にしてみてはいかがでしょうか。