卓球動画 【卓球動画解説】|五十嵐 史弥(早稲田大)vs 村田 聖(筑波大)|今日の1試合
2020.03.27
文:ラリーズ編集部 解説:板垣孝司
福原愛、水谷隼、丹羽孝希ら日本のトップ選手を輩出し一時代を築いた青森山田中・高を14年間に渡って指導した名将・板垣孝司氏。
その板垣氏がトップ選手から年代別、ジュニア選手まで幅広い試合動画について両選手の特徴、勝敗を分けたポイントを語る。
今回は2019年秋季関東学生卓球リーグ戦 男子1部の「五十嵐 史弥(早稲田大)vs 村田 聖(筑波大)」。
両選手の特徴
青森山田中〜遊学館高校〜早稲田大学と日本トップチームの主力として活躍し続けている五十嵐選手。令和元年の関東学生卓球選手権男子シングルスを制し、2019年ユニバーシアード日本代表にも選ばれた現在最も勢いのある学生の一人です。
両ハンドのカウンタープレーを中心にしながら恵まれた体格から放たれるフォアドライブは破壊力があります。
弾道の低いフォアサーブから癖のあるフォアドライブを放つ村田選手。一発のフォアハンドではありませんが、「確実に相手の待っていないところ」に打つことができる懐の広いフォアハンドは得点能力があります。
台上プレーも派手さはありませんが確実性があり「チャンスを作ってフォアで仕留めるプレー」は「相手を見て守りながら攻める」ことのできるプレーだと思います。
見どころ
同じ遊学館高校出身の両選手の試合は「気迫溢れる試合」になること間違いないと思います。日本一を目指したチーム出身者ならわかる「コートに立ったら絶対に勝つ!」という信念を学んできた両選手。
戦術、技術ももちろんですが、その「気迫」が楽しみな試合でもあります。
勝負を分けたこの一本
※ページトップと同一の試合動画について、再生開始箇所を調整してお送りします。
第5ゲーム1対2の村田選手の3球目バックドライブから5球目フォアドライブをミドルに放った場面です。
村田選手は得意のフォアハンドの回り込みに頼りすぎて、五十嵐選手のブロックに振り回されたり、ストレートへのチキータで逆を突かれたりすると展開が悪くなります。この場面、一本前はストレートへのチキータで失点した村田選手。
ここでは無理せずバックからの展開でフォアハンドに結びつけ「バックハンドからの展開もあるぞ!」と五十嵐選手にプレッシャーをかけました。次のレシーブは一本目はバックハンドから、二本目はすぐに回り込みからと「バックサイドの技術の幅の広さ」を発揮した試合だったと思います。
板垣’s EYE
お互いの卓球スタイルを熟知している選手同士の試合は「相手にさせてから」の展開で得点することができる選手が圧倒的に有利です。
五十嵐選手は「チキータで先手を取り高速ラリーで得点を狙う」タイプの選手ですが「さあ仕掛けてこい!」と一本守ってから試合を組み立てられる村田選手の「どっしり感」にうまくハメられた感じを受けました。それが焦りとなったのが第5ゲームスタートの回り込み強ドライブのミスだったと思います。
高速卓球はハマれば圧倒的に強いですが「外された時」にもろさを見せてしまう場合もあります。ただ努力家の五十嵐選手がこのままで終わるはずはないでしょう。このパターンを乗り越える打開策がわかれば日本のトッププレーヤに成長できる可能性があると思います。
試合情報
大会名:2019年 秋季 関東学生卓球リーグ戦 男子1部 第3戦
選手名:五十嵐 史弥(早稲田大)vs 村田 聖(筑波大)
試合結果:五十嵐 2-3 村田