卓球プレーヤー向け 【今日の1試合】板垣GM解説。田添響が関東学生決勝で逆転するきっかけになった意外なサーブとは??|卓球動画
2017.09.01
監修:板垣孝司(TSVクニックスホーフェン ヘッドコーチ、シェークハンズGM)
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見どころ
同じ右シェーク両ハンド攻撃選手同士の決勝戦。
高い打球点で攻める三浦選手と、距離をとって豪快なバックドライブを打ち込む田添選手のプレー領域の違いに注目です。
両選手の特徴
田添選手は台から少し出るハーフロングボールに対し、やや打球点を落として処理し、台から距離を取ってプレーします。その分、中陣に下げられてからのバックハンドドライブは一撃必中の得点率を持っています。前陣でもブロックやカウンタープレーで狙っていくこともできるため、プレー領域の広い選手と言えます。
三浦選手はとても判断力の高い選手です。サーブレシーブが台から出るか否かの判断や、すべてのボールをフルスイングするのではなく、難しいと判断したボールに対しては打球点を落とさずにコースをつくプレーからの両ハンドに結びつけるプレーに優れています。プレー領域は田添選手よりも前陣となります。
勝負を分けたこの1本
※ページトップと同一の試合動画について、再生開始箇所を調整してお送りします。
3ゲーム目の6対6。田添選手がサーブからの展開で2本連取した場面。
ここまで右横回転サーブやYGサーブを混ぜながら相手を崩そうとしていた田添選手ですが、多彩なサーブを出せば出すほど、三浦選手のレシーブも多彩になり(回転を利用しながらのストップや、ほんの少し長くなったサーブへのドライブレシーブなど)、3球目の待ちで的を絞れなくなっていました。
6対6で出した2本のサーブはフォアミドル前への縦回転系のナックルサーブです。
このサーブは変化幅は少ないものの、
1)確実にツーバウンドするため、ドライブレシーブがなくなる
2)回転を利用したストップレシーブがなくなるため、ストップ処理が簡単になる、そしてストップレシーブが崩れた時に攻撃しやすい
3)チキータをあえてさせてからバックを潰す作戦の時に、チキータを待ちやすい
という利点があります。
ここで2ポイント連取してからは、6ゲーム目の中盤まではサーブを変えず、同じサーブからの展開で自分の技術を十分に発揮し逆転勝ちを収めました。
多彩なサーブは自分の武器にもなりますが、サーブの種類の数ほど、返ってくるレシーブの種類も増えるということを覚えておく必要があります。
試合の流れを読んで、「複雑なサーブで勝負するのか」「あえてシンプルなサーブを出して、相手のレシーブを単純化させるのか」を判断しましょう。
試合情報
大会名:2017関東学生卓球選手権 男子シングルス決勝
選手名:田添響(専修大)vs三浦健太郎(筑波大)
大会種別:個人戦、シングルス、国内
試合結果:田添4-2三浦
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