選手、コーチ、審判、メディアなど、卓球に関わる職業はいくつかある。
まったく新しい卓球YouTuberというジャンルを切り拓いているのが、「卓キチちゃんねる」で人気を博している卓球YouTuber卓キチさんだ。
チャンネル登録者数は10万人を超え、吉村真晴(愛知ダイハツ)や神巧也(T.T彩たま)らプロ選手ともコラボをしている。
現在はYouTuberを職業とし、YouTube1本で生計を立てている裏には、卓キチさんを支える3つの力があった。全3話でお届けする今回の特集の第1話では、卓キチさんの分析力について聞いた。
【卓キチ/中西淳(たくきち/なかにしじゅん)】1992年11月18日生まれ。岡山県出身。右シェーク裏裏ドライブ型。チャンネル登録者数10万人超えの「卓キチちゃんねる」を運営する卓球YouTuber。卓球の試合動画だけでなくあるある集などエンタメ系動画を数多くアップしている。また、卓球のプレー面でも、2019年には東京選手権東京予選を突破し、本大会出場を果たした実力者。
このページの目次
小学生時代は卓球よりもソフトボール
写真:卓球YouTuber卓キチさん/撮影:槌谷昭人
まず簡単に卓キチさんがYouTuberになるまでの経歴をお伺いしたいです。
当時は他のスポーツもやっていて、実は小学校の頃、ソフトボールにめちゃくちゃハマってました(笑)。中学では野球部に入ろうかなと思ってたんですよ。
その動画の再生数が1,000、2,000と伸びていくのを見て、「やっぱりYouTubeは面白い。動画撮影は自分もしてるしやってみよう」と思い、2018年2月から試合動画をアップするようになって今に至ります。
退職しYouTube1本でやっていく決断ができた分析力
そこまで稼げる状態ではない中で、約2ヶ月後に退職して、YouTube1本で食っていく決断ができたのはなぜですか?
写真:2018年9月30日に卓キチちゃんねる1000人突破の動画があげられている/提供:卓キチちゃんねるより
卓球のYouTube動画については、需要に対して供給が少ないジャンルなので勝てるかもしれないと思いましたし、2018年12月時点では、卓球YouTuberと呼ばれる存在がまだほとんどおらず、登録者1,000人でも結構上の方だったこともあり、決断できました。
結局、伸びてる動画は面白いんですよね。
卓球×エンタメ系動画は今でも卓球芸人ぴんぽんさんぐらいしか出してませんし、需要はあると前々から思っていました。
予想通りいけるぞと思い、似たような動画をたくさん作って、エンタメ系主体に移行しました。
写真:2019年5月に公開された「地域によって違う卓球」 25万回以上再生されている/提供:卓キチちゃんねるより
「YouTubeだけで稼いでいくのは現実的じゃない」
写真:卓球YouTuber卓キチさん/撮影:槌谷昭人
思い切って聞いてみました。
多くの人はコーチ業など、他の収益源があると思います。他の人のチャンネルを分析することもあるんですが、YouTubeだけの収益で見るとたぶん厳しいですね。
自慢とかではなく、今、YouTubeだけの収益だと僕と卓球芸人ぴんぽんさんしか生きていけないと思います。
副業でも良いし、卓球場の経営しながらYouTube発信するのも良いです。ただ、お金を稼ごうとすると失敗します。
ところが、卓球はすごくニッチな世界で、今は卓球に関する動画投稿者も増えてきて、ほぼジャンルが出尽くしています。新しいジャンルを切り拓いていくのは難しいです。僕が今からYouTubeを始めてYouTube一本でやっていくのは絶対できないです。タイミングもやっぱり大事なので。
それでも仕事としてやるつもりなら、それこそ本当に人生懸けるつもりでやるしかないと思います。
会社員を辞め、卓球YouTuberという新しい職業に就き、卓球×エンタメ系動画という新しいジャンルを切り拓いた卓キチさん。
そこには細かな分析に裏付けられた確かな勝算があった。
第2話では、卓球あるある、ゴムシート卓球、超粘着ラバー卓球など卓キチさんの多彩な企画力の源を聞いた。
(「自分が見て面白くなかったらそもそもダメ」卓球YouTuber・卓キチが語る面白い企画の作り方 に続く)