「自分が見て面白くなかったらそもそもダメ」卓球YouTuber・卓キチが語る面白い企画の作り方 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:動画ネタはスマホのメモ帳に保存しているという卓球YouTuber卓キチさん/撮影:槌谷昭人

卓球インタビュー 「自分が見て面白くなかったらそもそもダメ」卓球YouTuber・卓キチが語る面白い企画の作り方

2021.07.08

この記事を書いた人
Rallys副編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

「卓キチちゃんねる」を運営する卓キチさんは、卓球YouTuberというニッチな市場で登録者数10万人超えを果たした。

チャンネルの特徴は、試合動画や技術動画などの卓球コアファンに向けたものだけではなく、卓球あるあるやゴムシート卓球など一般層も視聴する多種多様なエンタメ企画だ。

卓キチさんはどのようにして企画を作り上げているのか。


【卓キチ/中西淳(たくきち/なかにしじゅん)】1992年11月18日生まれ。岡山県出身。右シェーク裏裏ドライブ型。チャンネル登録者数10万人超えの「卓キチちゃんねる」を運営する卓球YouTuber。卓球の試合動画だけでなくあるある集などエンタメ系動画を数多くアップしている。また、卓球のプレー面でも、2019年には東京選手権東京予選を突破し、本大会出場を果たした実力者。

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いろんな視点で見ることが大事


写真:動画ネタはスマホのメモ帳に保存しているという卓球YouTuber卓キチさん/撮影:槌谷昭人

――卓キチさんは、試合動画だけでなく、卓球あるあるやゴムシート卓球、超粘着ラバー卓球など多くの企画動画を公開しています。

この企画力も成功の要因かと思うのですが、何か企画時に意識されている点はありますか?

卓キチさん:卓球というジャンルはすごいニッチで、技術、用具、試合の動画は、卓球をやっている人しかおそらく見ないです。

僕は、卓球初心者の方や、卓球を知らない一般層をメインターゲットとしてるので、一般の方が見ても面白いような動画を作ることを心掛けています。


写真:約70万回再生されている「【世界初】超次元卓球!?ゴムシートを卓球台に貼って試合してみたw」/提供:卓キチちゃんねる

――確かに卓キチさんの動画には「卓球をやってないけど見てます」というコメントも寄せられています。卓球界の外も意識した動画作りなんですね。
卓キチさん:動画を作ったときは、自分の主観だけではなくて、いろんな視点から見るように心掛けています。自分以外の卓球部の目線や卓球を知らない前提の目線で見直しています。

そうしたときに「これ身内ネタになってるな」とか「卓球部から見ると面白いけど一般から見るとこのノリは面白くないな」とかもだいたい分かってきます。

卓キチさん:ただ、僕自身毎日動画を投稿しているので、仮に一時期エンタメ系に偏っても、たまに試合動画を出すなどして、必ずいろんな動画を出すようにしています。

そうすることで卓球ファンも含めた視聴者が飽きないようにしてるつもりです。

――企画ごとにターゲットとする視聴者がいるんですね。
卓キチさん:ざっくり言うと、エンタメ系は一般層をターゲットとしていて、試合や技術動画は卓球をやっている人をターゲットにしていますね。

エンタメ系の動画の中でも、テナジー、ディグニクスなどのワードを入れて卓球をやっている人しかわからないネタも混ぜて、楽しめるようにはしてます。

あと、自分目線も大事です。自分が作った動画を自分で見て面白くなかったら、もうその動画は基本的にダメです(笑)

卓球と何かの掛け合わせから生まれる企画

――卓キチさんは多くの企画をどのように作っているんでしょうか?
卓キチさん:YouTubeでスポーツ系に限らずエンタメ系の動画を結構見てます。

例えば、英語を話したら罰ゲームという企画を見て、これは卓球でやったら面白いんじゃないかと考えます。基本的には一般的に出回っているエンタメ企画と卓球を掛け合わせると面白い企画が生まれるんですよね。

僕の企画もたぶん8割くらいは卓球と何かの掛け合わせから出てると思います。でもゴムシート卓球とか粘着シート卓球とかは完全に謎の思い付きですね(笑)。


写真:70万回以上再生されている人気企画「超超超粘着ラバーで試合したらカオスになったwww」/提供:卓キチちゃんねるより引用

――「卓球あるある」などは卓キチさんの鉄板企画になっています。やはり多くの企画を出すことが重要なのでしょうか?
卓キチさん:基本的にはたくさん出していきますが、闇雲に出すのではありません。他の動画などを見て「これは絶対当たらないだろうな」というものは出さないですし、なんとなく「これいけそうだな」という動画はどんどん出しています。

企画を思いついた段階で、なんとなくこれは伸びるんじゃないかとわかるので、企画がすごく大事です。企画さえしっかりとやっておけば、あとはそれに沿ってやるだけです。


スマホのメモ帳には無数の卓球動画ネタが記載されていました

卓キチさん:それにたくさん動画を出すことでデータはたくさん取れる。今は秒単位でどのシーンが見られてるかがしっかりわかるので、その伸びてる部分を詰め合わせた動画を作れば伸びる、という風にも分析ができます。

卓球を知らない人が興味を持つというコンテンツが一番大事

――今はプロ卓球選手や卓球コーチもみんなYouTubeを始めていて、差別化していかないと埋もれると思っています。

卓キチさんはどういう差別化を考えられていますか?

卓キチさん:そもそもエンタメというジャンルで結構差別化できているとは思っています。ただ、その中でもなるべく毎回出す動画の味を変えることを意識しています。

いろんな人と撮影するとか、同じ人と撮影する中でも撮影する場所を変えたりとか、編集時にたまに拡大してずっと同じような絵面を見させないようにするとかですね。


写真:卓球YouTuber卓キチさん/撮影:槌谷昭人

卓キチさん:でも、結局は卓球を知らない人が興味を持つという企画が一番大事な気はしています。
――なるほど。
卓キチさん:これは勝手な僕の考えですが、卓球界は内輪だけで盛り上がるケースがすごく多いと感じていて、盛り上げるためには卓球をやっていない人を卓球に取り込む必要があると思うんですよ。

卓球人口が増えたら卓球場も増えるし、メディアも報道が増えて盛り上がると思います。

まずは卓球人口を増やすことが、今後の卓球界を考えると一番大事じゃないかなと思ってます。そのために、少しでも卓球界以外の人が興味を持つ企画を出していきたいですね。

エンターテイナーとして見せる動画内での顔とは違い、今後の卓球界についても考える。その広い視野が多彩な企画力の源となっていた。

第3話では、毎日投稿を続ける卓キチさんの継続力について聞く。

「続けるコツは諦めること」総再生数1億回超えの卓球YouTuber・卓キチの継続力 に続く)

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