卓球場経営で知っておいたほうが良い幾つかのこと | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:YOYO TAKKYUのジュニアチームの子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー [PR] 卓球場経営で知っておいたほうが良い幾つかのこと

2022.12.26

この記事を書いた人
1979年生まれ。テレビ/映画業界を離れ2020年からRallys編集長/2023年から金沢ポート取締役兼任。
軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏

卓球場が増えている。

卓球経験者にとって“いつかは自分の卓球場を”というのは夢のひとつだろう。
草プレーヤーにとっても嬉しいことだが、一方で卓球場経営の難しさもよく耳にする。

東京の東中野と西日暮里で卓球場を経営するYOYO TAKKYUの川口陽陽さんに、卓球場を経営する上で知っておいたほうが良いことについて話を聞いた。


写真:YOYO TAKKYUのジュニアチームの子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

卓球場3つのタイプ

――卓球場を作るとき、何が大切ですか?
――まず、どんな卓球場をご自身がイメージされるかを明確にすることが大事かなと。
卓球場経営自体は大きく3つに分けられると思います。

1つ目は、夫婦だけでやるような「家族経営型」
メリットは、比較的リスクが少ないこと、卓球場を経営しながらも自分の時間が作りやすいことなどです。反面、事業規模を大きくするのは難しいことはデメリットだと思います。

――伝統的なスタイルですよね。
――2つ目は「会社型」で、社員も雇い事業拡大を目指す企業として経営する方法です。YOYO TAKKYUはこのタイプですね。

法人組織として実績を積んでいくことで結果的に社会的信用も得られ、自治体からのお仕事を始め仕事の幅も広がりやすいです。反面、社員の皆さんの生活に対する責任や社会保険料、税金などの経費もかかってきます。

――なるほど。
――3つ目は、個人事業主の集まりとして卓球場を経営する「個人事業主集合型」です。

経営者にとっては、販管費や諸経費を押さえながら効率的な事業運営ができて、個人事業主側にとっても、コーチが人気の場合は短期間で収入は上がる可能性がありますよね。反面、会社としては長期的な人の育成がしづらい側面もあると思います。

もちろん、卓球場は商圏ビジネスなので、都市部と地方でも取り組みは大きく違うと思います。
僕は都市部での個人事業主集合型を経て、現在は「会社型」の卓球場を経営していますので、そのモデルについてお話しさせて頂きます。


写真:YOYO TAKKYU/撮影:ラリーズ編集部

――ちなみに、なぜYOYOさんは「会社型」を?
――チームとしてやっていくことが好きだということ、個人でやっていくことに限界を感じたのが理由です。

会社のビジョンの下で、自身も社員の皆さんも一緒に成長できれば、ひとりでは到底できない仕事が可能になります。そのほうがワクワクするんです。

人間関係のマネジメント

――実際に卓球場を運営していくときに、どんなことが大切ですか。
――正直に言えば、人間関係のマネジメントだと思います。
――いきなり直球(笑)。
――美容師さんたちと同じく、直接お客さんたちと接する商売なので、お客さんとの距離感やルールを常に気をつけておく必要があります。

プライベートと仕事はきちんと一線を引く。接客商売にはよくある話ですが、コーチの引き抜きなんかもやっぱりある世界なので。

――どう解決するんですか。
――自分の場合は、PLや経費の中身などを社員と共有するようにしました。

実際の状況をオープンにすることで、みんなが自分ごととして考えてくれる“チーム意識”が生まれてきた気がしますね。

個人と会社のビジョンをすり合わせることで、長く働く自身の将来図とその広がりをイメージできればいいと思っています。


写真:YOYO TAKKYUのジュニアチームの子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

社員の仕事の幅を広げる

――「社員の仕事の幅を広げる」ということも大切にしています。卓球場で、いろんな人材が働ける場所になるのが僕の理想なので。

“レッスンは苦手だけど事務作業が得意”というコーチがいたっていいと思っています。

――仕事の幅ってどういうことですか。
――例えば、僕らは「みんなのおもいで.com」に、ジュニアチームの日常の写真を定期的にアップしています。同じようにスマホで軽く撮るだけなのに、すごくいい表情を撮るコーチがいるんです。

あれ、不思議ですよね(笑)。


写真:YOYO TAKKYUのジュニアチームの子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

――忙しいのに、アップロードするの大変じゃないですか?
――いや、普段の事務作業の合間に、スマホからPCに転送してアップロードするだけなので。

卓球場経営は、事務作業もすごく多いんです。全体が10だとしたら、レッスンは3くらいです。


写真:みんなのおもいで.comに写真をアップする川口陽陽さん/撮影:ラリーズ編集部

――なるほど。
――コーチを始めて最初からお客さんがつくことはありません。でも、受付に座っているだけでは成長がない。

会社型の卓球場だからこそ、いろんな仕事を用意することによって、それぞれが成長する機会を作りたいんです。


写真:YOYO TAKKYUのジュニアチームの子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

卓球場を、楽しく

――これから卓球場経営を始めようという方に、他になにかアドバイスはありますか。
――「卓球場の経営を始めると、自分が卓球する時間はない」ということです(笑)。

自分も卓球場を出して2年くらいは試合には出られませんでした。少し自分の練習時間を取れるようになったのはここ数年、YOYO TAKKYUとして実業団に挑戦するようになってからです。

――なるほど。
――社長と言っても、作ったばかりの小さな会社ですし、自身が現場に立たないと社員もついて来ませんし、経営的にも成り立ちません。最初は、経理、人事、営業、新規事業、ほぼすべてを社長が行わなければいけませんので。

卓球場にいても、自身が卓球をする時間は作れませんし、あと、何より気持ちの面で卓球に没頭するのは相当の切り替えがなければ難しくなります。

――そうですよね。
――一方で、ジュニア選手を日本一にするという目標のために、常にしっかり指導の時間を取る必要があります。

経営者と指導者目線の日々なんですが、ふっと子どもたちのオフショット写真を見ると、卓球場にいること、友だちといることを楽しんでるなあと思うんです。


写真:YOYO TAKKYUのジュニアチームの子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

――確かに。
――僕は、卓球の楽しさを広く深く伝えたくて、自分で卓球場を始めたのだから、お客さんが卓球場にいる時間を楽しいものにすることを忘れないように、と思っています。
――ありがとうございました。


写真:YOYO TAKKYUのジュニアチームの子どもたち/撮影:ラリーズ編集部

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