卓球インタビュー 開成→東大医学部、超絶頭脳の「東大王」が語る卓球の魅力【水上颯:前編】
2018.06.10
取材・文:武田鼎(ラリーズ編集部)
TBSで放送中の人気番組『東大王』。一般人には到底手に負えない難問奇問と対峙し、解き明かしていく様子はまさに「頭脳の総合格闘技」と呼ぶにふさわしい。同番組で人気を博しているのが実際に登場する「東大生」たちだ。日本最高峰のエリートたちが登場し、視聴者にキレッキレの頭脳を見せつけていく。中でも「東大王」の一人、水上颯(みずかみそう)は開成高等学校から東京大学医学部という華麗な経歴の持ち主だ。日本イチの頭脳もさることながら、クールな眼差しと淡々と難問を解いていく姿は女性ファンの心を鷲掴みにしている。
「卓球、関係ないじゃん」と思った読者の方。ご安心を。実はイケメン東大生は卓球部出身なのだ。それも中学校3年のときには甲府市で優勝した経験も持つという。これは卓球専門メディアとして取材に行かねばなるまい。5月のある夜、中目卓球ラウンジに「東大王」がやってきた。
「どうもすみません、ちょっと道に迷って遅れちゃって」。5分遅れで現れたジャケット姿の水上はテレビで映るクールな様子とは違い、人懐っこい笑みを浮かべる。日本屈指の頭脳の持ち主はこれまでどんな軌跡を歩んできたのか。
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なぜ卓球を選んだのか
もともと中学1年のときから、山梨大学附属中学校の卓球部に所属していた水上だが、卓球との出会いは小学校時代に遡る。「小学校の頃に遊びで卓球やってて、児童館とかあるじゃないですか。で、よく卓球やってて、それで楽しいなあって。その友達と一緒に流れで卓球部に入ったって感じですね」。
1995年生まれの水上が小学校の頃と言えば、2002年日韓ワールドカップが開催され、日本のサッカー熱が最高潮に達していた時期だ。その上スーパースター・中田英寿は山梨県の韮崎高校出身だ。サッカーを選ぶのが「王道」ではなかったのだろうか。
「簡単に言うと、僕、サッカーが全然下手くそで、ボールがなんでみんなあんな威力持って飛ばせんのかなって感じでした(笑)。人並みにできたっていうか、結構得意だったのがラケットスポーツだったんです」と明かす。
消極的な理由で卓球を選んだものの、のめりこむのは早かった。「みんな中学から卓球を始めたんで、同じくらいの実力でした。その中でやればやるだけ伸びたんで面白く感じました。負けず嫌いな部員が多かった。毎日練習して競い合ってました」。
仲間たちと切磋琢磨しながらレギュラーを獲得、1番か2番のエースとして出場することが多かった。戦型は一貫して左シェーク裏裏のドライブマンだ。「中3のときに市で優勝したんです。でも一番最後の市総体があって、そんときに僕が負けたせいで3位になっちゃったのは悔いが残ります…。そのときの相手は、明らかに勝てるとこと明らかに勝てないとこで、僕のとこが一番微妙なとこだったんで、ちょっとね、緊張しちゃって負けちゃいました」。水上のクイズ王としてのプレッシャーの強さは中学卓球で培われたのかもしれない。
中学卒業後、水上は日本屈指の進学校、開成高等学校へ進む。在籍していた山梨大学附属中学校から都内の高校へ進む生徒はほとんどいなかった。やはり自分の頭脳を試したいという思いからだったのだろうか。「実は開成に進んだのは親の勧めでした。名前を知ってるくらいでした。“なんかクイズで出てくる学校で、頭がいいんだよな”くらいの認識で」。現役医師である両親から「力試しに受験してみたら?」との言葉を受け、「ちょっと勉強してみるか」とトライしたところ合格したのだという。
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高校で卓球と離れた水上
凡人として聞きたい。「ちょっと勉強するか」で開成へと進めるものなのだろうか。「英語とかあるいは歴史とかの勉強は、やっぱ筋トレとかと同じようなもんなんじゃないっすかね、割と」とあっけらかんと語る。「なんか筋トレにハマる人と同じような感覚で勉強面白いなあって思うものだと思いますよね」。
開成に入学した水上、居並ぶ同級生たちも幼少期から「神童」と讃えられてきた秀才ばかりだ。「同級生の頭の良さよりも驚いたのは開成の学校が変わっている人が多かったことです。入学初日に上級生がドア蹴破ってきて怒鳴られたんです。山梨からすごいところに来ちゃったなぁって思いました」。開成は意外と体育会系で有名な学校だったのだという。
だが、高校へ進学後、水上は卓球と距離を置いてしまう。なぜ水上は卓球部に所属しなかったのだろうか。そして東大進学後、再び卓球を始めるのか。後篇で水上と卓球の邂逅を探る。
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写真:伊藤圭撮影地:中目卓球ラウンジ