東大王が語る“クイズと卓球”の共通点とは?【水上颯:後編】


現在TBSで放送されている「東大王」で超絶頭脳を披露する水上颯。実は卓球部出身だという。小学校から卓球を始め、甲府市で優勝したこともある水上は開成高等学校入学時に単身上京する。日本屈指の「クイズ王」誕生の軌跡を追うインタビュー後編。

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卓球とクイズ、意外な共通点とは

開成高校に入学後、卓球とは距離を置いた水上だが、その理由を「開成卓球部が強く感じました」という。そこでフラっと足を運んだのがクイズ研究会、通称「クイ研」だ。ここで水上はクイズの魅力に取り憑かれていく。「クイズは努力した分が絶対目に見えて力になる。覚えた問題はまた自分の役に立つのも魅力でした」。こうして“クイズの甲子園”と名高い「高校生クイズ」では日本一の称号を手にする。

卓球とクイズ、まったく異なる競技にも思えるが、卓球は「100m走をしながらチェスをするスポーツ」と言われ、知力も重要な要素を占める。クイズと卓球、何か共通点はあるのだろうか?「自分の攻め方を考えるのが共通点かもしれません」と水上。「クイズはやっぱり『この問題は取っとけ』みたいなのがあるんですよね。例えば勝負どころ、お互いにあと1問正解したら勝ち抜けの場面だったら、もちろん勝負にいくじゃないすか。その局面で“甘い球”、つまり自分に得意な問題がきたらやっぱ攻めるべき。逆に自分が苦手な問題、僕だと芸能関係ですが、そういうのがきたら、攻めないほうが勝率が高い。いわゆる“選球眼”は卓球にもクイズにもあります」。事実、『東大王』でも水上が相手にプレッシャーをかけながら苦手なジャンルの問題を見送り、失策を静かに待つ場面をしばしば見かける。

クイズで「日本一」を獲った水上は東大医学部を志す。幼い頃は働き詰めの医師だった両親を見て医者は嫌だと思っていたが、親の背中を見るにつれ憧れを抱くようになった。とは言え、東大医学部は入りたいと思って入れるほど簡単ではない。「1日5時間くらい勉強した」と当時を振り返る。正直「5時間で東大医学部に??」とも思うが、「僕の飽き性が一番強いのは多分勉強。飽きちゃってあんま長い時間できないんですよ。それに当時麻雀にハマっちゃって…」と意外な一面を明かす。

膨大な知識を頭に叩き込むうえで、何か特殊な方法でもあるのだろうか。「例えば英単語を覚えるにしても2つの言葉の結び付きで成り立っている単語が多い。そういう語源を調べて、『ああ、これ面白いな』って感じて覚えていきます。とはいえ、どんなに要領を良くしても最終的には時間と熱意がモノをいう。『どれだけ楽しんでいられるか』です」と明かす。

東大王の抱える、卓球での課題

こうして進学した東大では再び卓球と出会う。高校3年の間、離れていた卓球を「新入生歓迎会で卓球やってみると、久しぶりにやるとやっぱ面白いなあって思って。で、部活はある程度緩い部活だったんで、また始めてみようかなって」。改めて感じた卓球の魅力について「僕あんまり、多分運動神経がいいほうでは決してないと思うんですけど、自分が、それでも続けられて、ほどほどに勝てるみたいなスポーツって珍しい」と語る。

水上さんが好きな選手であるティモ・ボル選手(ドイツ)のレシーブ時の構えを真似してもらったものだ。
写真:伊藤圭

現在は週2回の卓球練習に精を出すクイズ王も、卓球では課題を抱えている。「今まで我流でやり過ぎててフォームとかめちゃくちゃで(笑)。そこは苦労してます。握りがちょっと僕、フォアとバックでだいぶ違って、だから切り返しが下手くそなんすよね」という。

水上と話していて驚かされるのが「飄々としている」ということだ。開成、東大、クイズ王どの話をしていても「勝負どころでは結構何とかなってきたほうではあるんですよ」とあっけらかんとしている。「ちょっと実力が劣ってても勝負どころではなんか運が良くて勝てちゃうみたいな感じなんでしょうね、割と」と本気なのか謙遜なのかわからない。とらえどころのない水上だが、好きな選手の話になると「ボルです。渋い卓球をしますよね。僕が子供の頃から世界一の選手で、また最近世界一に返り咲くなんてすごいですよ」。そう語る眼差しは卓球少年のようだ。

クイズ王、水上。彼の今を形作ったのは案外卓球なのかもしれない。

取材・文:武田鼎(ラリーズ編集部)
写真:伊藤圭
撮影地:中目卓球ラウンジ

水上颯さんのインタビューはこちらから

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