リモートマッチでT開幕へ 卓球の応援に人生懸ける男は何を思うか | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:Mr.J(撮影場所協力:T.T彩たま)/提供:おたけさん

卓球インタビュー リモートマッチでT開幕へ 卓球の応援に人生懸ける男は何を思うか

2020.06.27 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

卓球Tリーグ3rdシーズンは、11月開幕から年内はリモートマッチ(無観客試合)で行うことが発表されている。

一方、1st、2ndシーズン、南は沖縄、北は北海道まで“推し”チームT.T彩たまの試合に足を運び、観客席から声を枯らして応援し続けた一人の男がいた。

彼はトレードマークである侍JAPANの野球帽からこう呼ばれる。「Mr.J」と。

Mr.Jは、もちろん選手ではない。いわゆる熱狂的ファンだ。2ndシーズン21試合中、現地で声援を送ったのはなんと20試合を数えた。T.T彩たまの応援に自分の人生を賭して身を投じていると言っても過言ではない。

大学を卒業したばかりの23歳の青年は、卓球の応援のどこに魅了され、そして今、何を思うのだろうか。

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T.T彩たま応援団長・Mr.J、誕生秘話

――Tリーグを代表するファンの1人であるMr.Jさんですが、卓球を応援するきっかけは?
Mr.J:
最初は暇つぶしに行っただけなんです(笑)。10年以上阪神ファンをやっていて、12月はプロ野球がオフシーズン。2月のキャンプ始まるまで暇なので、Tリーグを観に行ったらハマちゃった感じですね。

4年前、僕が通ってた早稲田大学で『トップスポーツビジネスの最前線』という講義があり、松下浩二さんが来てそこで「Tリーグ」という言葉を初めて聞きました。元々中高で卓球をやっていたこともあり、「卓球もリーグができるんだ」と記憶にはあって、一回は行ってみたいなとは思ってました。


写真:勝利した瞬間ファンを指差し感謝を示す、彩たまキャプテンの神巧也/撮影:ラリーズ編集部

――ということは、両国国技館の開幕戦からガッツリ追いかけていたわけではないんですね。意外でした。
Mr.J:
12月の平日に立川でやってた試合が初めてですね。

卓球観戦自体は、張本くんが優勝した全日本で初めて生で観て面白いとは思っていました。野球メインだったので行く機会がなくて、本当にちゃんと見始めたのはTリーグが始まってからです。

――どうしてT.T彩たまを応援しようと思ったんですか?
Mr.J:
埼玉に住んでいながらずっと阪神ファンやってるんで、卓球ぐらい地元のチーム応援してやってもいいかな、と見たらハマりました(笑)。

感情を表に出してプレーする選手が好きで、当時、平野友樹さんが必死に叫んでプレーしてる姿見て、気迫に心打たれて思い入れが勝手にできた。それが入り口ですね。

あと卓球は距離感がすごく近いので選手やプレーを近くで見れるし、一人の応援の声が届くじゃないですか。その魅力もありましたね。


写真:Tリーグの試合会場。選手との距離感が近く1台で行われる/提供:©T.LEAGUE

――そこからのめり込んで試合を追っていくようになったんですね。
Mr.J:
そうです。いろんな会場行く際に侍JAPANの帽子を被っていたら、T.T彩たまの柏原(哲郎)社長に勝手に「Mr.J」と名付けられまして、気づいたらファンの方にも浸透しちゃってました(笑)。

21試合中20試合現地応援の裏には“家族の支え”

――2ndシーズンではレギュラーシーズン21試合中20試合を現地で応援したと伺いました。
Mr.J:
昨シーズン一番の後悔は、1試合だけ行かなかったこと。もったいなかったな、と。

行かなかったのは9月の鳴門の試合です。9月はプロ野球が天王山。以前から9月の試合のチケットを取っていて、阪神が広島とクライマックスシリーズを争う大事な試合でした。あの時は、21試合中20試合も行くと思ってなかったので、阪神の方に浮気しちゃいましたね(笑)。

ただ、サードシーズンからは彩たま最優先でやろうと心に決めています。


写真:試合会場でのMr.J/提供:Mr.J

――プロ野球もそうですが、各地で行われる試合に遠征は大変じゃないですか?
Mr.J:
でも遠征で勝つと一番嬉しいですよ。自分で交通費含むお金、時間をかけているわけで、どうしても応援に気合が入る。

また、アウェーはファンの数が減るので、自分の声はより一層試合の勝敗につながる気がしていて楽しさを感じます。

試合を観てからプラスアルファで観光や食、お酒を楽しんで、が遠征の最高の醍醐味です。

――ちなみに遠征費用はどうやって捻出されてるんですか…?
Mr.J:
アルバイトです。当然お金すごいかかるんで、学生時代は空いた時間でひたすらバイトをしてそのお金は応援に、という感じでした。

親には「何が良くてこんだけやってるの?バカじゃないの?」と今でも言われます。なんで僕がこんなバカみたいに応援してるかは理解してもらえてないです。ただ、子がバカみたいに応援行ってるものだから、しょうがないなという感じで諦めな部分もあると思います。

自分がやってることに対してはすごく協力的で本当にありがたい限りなので、そろそろ家族に恩を返さないとなと思ってます。

リモートマッチにおける“新しい観戦様式”を提案

――T.T彩たまと言えば、プレーオフ進出を懸けた最終戦が印象的です。ファンとしてどうでしたか?
Mr.J:
最終戦は、勝敗関係なしに応援してて一番印象的でした。

卓球の試合であれだけ声量が出ているのは初めて見たし、僕も応援をリードしてて後ろからすごい声が聞こえてくる。数は1000人くらいですけど、卓球であれだけ盛り上がるんだなと。ファイナル行けなくて悔しい思いはありましたけど、今までで一番良い応援ができたのでやりきった充実感はありましたよ。

――まるで選手のようなコメントですね(笑)。
Mr.J:
多分応援してる時に関しては、気持ちは選手だと思います(笑)。


写真:大熱戦となったTリーグ最終戦。彩たまは惜しくも琉球に敗れた/提供:©T.LEAGUE

――では選手の方に聞くような質問ですが(笑)。2ndシーズン振り返ってみていかがでしたか?
Mr.J:
2ndシーズン、T.T彩たまがリーグ随一の応援だというありがたい意見を結構いただいたんですけど、僕としては、応援はようやくスタートラインに立ったかなくらいです。

やりたいことが色々あって、要するに卓球の応援文化をT.T彩たまが率先して作り上げよう、というコンセプトでやっていこうと思ってます。

卓球で今まではチームを応援することがなかった。五輪で日本代表を応援するぐらい。Tリーグができた一番の意味は、卓球がチームを応援するスポーツになったという部分だと思ってます。

応援文化を作り上げる、卓球を見るスポーツに変えていく部分で、応援を盛り上げてお客さんを楽しませるところをやっていく必要があるんじゃないかなと思ってます。


写真:試合後、ファンに挨拶するT.T彩たまメンバー/提供:©T.LEAGUE

――具体的な応援方法も検討されてるのでしょうか?
Mr.J:
めちゃくちゃ今考えています。実は3rdシーズンから、正式にT.T彩たまの応援団を作ろうと思っています。

新型コロナウイルスの影響で難しいですが、応援歌を作って試合中にみんなで歌うだったり、横断幕を作って、選手にファンの思いを視覚的に届けようだったり考えてたんですよ。

ファンの思いを常時伝えられるようにしようと考えて、やりたいことがいろいろありますね。


写真:Mr.J(撮影場所:T.T彩たま卓球ステーション浦和美園店)/提供:おたけさん

――ただ、サードシーズンはリモートマッチ、つまり無観客での開幕が想定されています。そこはどう考えていますか?
Mr.J:
無観客試合=応援できない試合というネガティブな側面が強くなってしまうことは、プロのスポーツリーグとしてあってはならないと常に感じています。

そこで、現在チームに「リモートライブ応援」ができないかを提案しています。我々ファンが“リアルタイムで”アリーナにいるようないつもの爆援スタイルで、選手に“声援”を届けようというものです。

実行するには様々な問題は出てくると思いますが、5Gと呼ばれる昨今の先進技術や、開幕予定の11月まで5ヶ月あることを考えれば、リーグとチームの皆さんが最大限手を尽くしていただければ不可能ではないと思っています。実際にJリーグのジュビロ磐田は、ヤマハと連携してアプリを用いたリモート応援の実証実験を実際の試合で行っています。

投げ銭制度などTリーグ側も様々な施策を打ってくると思いますが、我々ファンとしては生活をかけて戦っているプロ卓球選手に対して、自分のできる最大級の“声援”を届けたいと誰もが思っているはずです。

だから“声援”をライブで届けさせて欲しい。

そうすれば我々ファンもアリーナにいるような当事者感覚で試合にのめり込めると思うし、その声援が届くことで選手の100%以上のパフォーマンスの後押しができると確信しています。

「自分の声が試合を変える」 卓球ファン代表Mr.Jが語る“応援の醍醐味” に続く)

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