東京都新宿区にある卓球広場Linkは、クラウドファンディングを利用して2019年に開業した卓球場だ。
2020年のコロナ禍以前の当時、クラウドファンディングで卓球場の開業資金を集めることは珍しく、成功例として卓球界でも大きな話題を呼んだ。
開業から6年目を迎え、生徒数は100人を超えた。ジュニアの中には個人戦で全国大会出場を掴み取った選手もおり、現在、チームとしても全国大会を目指して日々活動中だ。
今回は、卓球広場Linkの店長を務める関口裕太さんに開業のきっかけや指導に対する思いを伺った。
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クラウドファンディングで卓球場を開業
写真:卓球広場Linkの練習風景/提供:卓球広場Link


そんな中、練習会に参加していて、今は共同代表をしている宇佐美さんが「卓球場を作った方がいいんじゃないか」と話を持ち出し、私はそれに乗っかったという感じです。
当時は「とんでもないことを言ってるな」とも思いましたが(笑)。とりあえず挑戦してみようと始めたのがきっかけです。
開業資金は、当時まだ一般的でなかった「クラウドファンディング」の活用を考えました。


結果、80名の方に約170万円を支援いただき、そこに私と宇佐美さんが仕事を掛け持ちして貯めたお金を足して、開業することができました。
都内最安値クラスで台貸しを続ける理由


なので、台貸しの料金は、オープン時から都内最安値クラスで提供しています。
また、ジュニアから大人まで合わせて100人ぐらい生徒がいるのですが、和気あいあいとした雰囲気や賑やかにレッスンをしているところも大きな特徴です。


これは私の過去の経験が原体験にあります。当時、クラブチームで指導のお手伝いをしていたのですが、「卓球がつまらない」と辞めていく子を何人も見てきました。
卓球は楽しくなくなったら上達もしないし、長続きもしない。まずは生徒さんが楽しめることを最優先に指導しています。
写真:卓球広場Linkで練習するジュニア選手/提供:卓球広場Link


1週ごとにテーマを決めて重点的に練習すると、上達を実感しやすいからです。小さな“成功体験”を積み重ねることで、自分の成長を楽しんでもらいたいと思っています。
特に始めたばかりの選手には、できるだけ練習であることを忘れるようなゲーム感覚のメニューを多く取り入れています。


弧線を意識させるときには「箱の上部を狙おう」、直線的なボールやスピードを意識させるときには「箱の前面に当ててみよう」と、わかりやすいゲームのような内容です。
箱の的をどんどん小さくしていくことで、自然とコントロール感覚を身につけてもらうようにもしています。
写真:卓球広場Linkの練習風景/提供:卓球広場Link
一生忘れない勝利 敗者復活から代表権を手にした生徒


小学4年生の生徒が代表権を獲得したのですが、その試合がとても印象的でした。
写真:代表権を獲得した生徒と関口さん(写真左)/提供:卓球広場Link

今回も、代表決定戦で強豪クラブの選手に負け、敗者復活戦に回りました。敗者復活は、準々決勝で敗れた4人で総当たりをして、一番上のひとりだけが代表に入れます。
3人との試合のうち、1試合目に今まで負けたことのない相手に負けてしまい、正直もう代表獲得は厳しいかなと思いました。もちろん「残り2試合、諦めずにがんばろう」と声をかけましたが、残った2人は初対戦で、勝てるかどうかわからない相手だったからです。
でも、その2試合どちらも接戦を制し、その子が代表権を獲得したとき、私のほうが泣き崩れました。
その子は、諦めてなかった。
あの喜びは一生忘れないと思います。今話していても泣けてくる、嬉しい思い出ですね。


資金繰りが厳しく、卓球場を維持するために寝る間も惜しんで副業でいろんな仕事をして踏ん張った、あの時期はとても苦しかったですね。
卓球を始める入口になりたい




卓球はしっかりやると「ハードだ」「お金がかかる」というイメージを持つ人もいます。
気軽に卓球を始められて、誰でも卓球を楽しめて、ここならずっと卓球を続けられそうと思ってもらえる、そんな卓球場を目指していきます。
そして、通っていただく生徒さんたちには、ジュニア・大人関わらず、昨年よりも良い成績を残してもらえるように指導していきたいと思っています。
いつか2号店を出したいですね。