インハイランク入り、元日本代表に勝利 熊本の少女が卓球から与えられた"希望"と"絶望"【高橋尚子インタビュー|前編】 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:2011年の全日本選手権に出場した高橋尚子さん/提供:本人

卓球×インタビュー インハイランク入り、元日本代表に勝利 熊本の少女が卓球から与えられた“希望”と“絶望”【高橋尚子インタビュー|前編】

2026.04.21

この記事を書いた人
インタビューから報道記事、選手・用具紹介記事まで幅広く担当。2019年の全日本で見た出澤杏佳選手のプレーに衝撃を受けて以降、粒高バックハンドドライブの習得に心血を注いでいる。
戦型:右シェーク裏粒

2011年1月の全日本選手権は、卓球界の歴史が大きく動いた大会であった。


写真:2011年度全日本選手権での水谷隼/提供:築田純/アフロスポーツ

男子シングルスでは、高校時代から4連覇を続けていた水谷隼さんが張一博さんを撃破し、前人未到の全日本5連覇を成し遂げた。


写真:2011年度全日本選手権での石川佳純/提供:築田純/アフロスポーツ

女子シングルスでは、幼少期から“天才少女”として注目を集めていた当時17歳の石川佳純さんが藤沼亜衣さんを破り、22年ぶりに高校生での全日本制覇を果たした。

水谷さんと石川さんはこの後、五輪でメダルを獲得し、卓球界の枠を超えた国民的選手となった。その伝説の第一章となったのが、この年の全日本だったのかもしれない。

そういった意味でも、水谷さんと石川さんの優勝は長い全日本選手権の歴史の1ページに、しかと刻まれた記憶となったのだ。

そして、それはある一人の少女にとっても同様であった。

小学校時代は「1回勝てばいいほう」

熊本県出身の高橋尚子(たかはししょうこ)さんが卓球を始めたのは、小学1年生のとき。

「2つ上に姉がいて、姉の卓球のお迎えについて行く形で自然と卓球を始めました」


写真:幼少期の高橋さん/提供:本人

地元熊本のクラブチームで卓球を始め、中学生までそのクラブで腕を磨いた。ただ、小学生時代は全日本ホカバなどの全国大会に出場するも、「1回勝てばいいほう」だったという。

そんな高橋さんが選手としての飛躍を遂げたのが、高校進学後だった。

「高校は熊本の慶誠高校に進学しました。中学時代から何度か練習に行かせていただいていたので、その縁でそのまま進学しましたね」


写真:2025年の全日本選手権混合ダブルスを制した安藤みなみさん(写真右)/撮影:ラリーズ編集部

慶誠高校は、熊本県屈指の強豪校。男女ともに、インターハイや全国選抜などの全国大会の常連で、2025年の全日本選手権混合ダブルス王者の安藤みなみさんの出身校でもある。

そんな強豪校の環境は、入学直後の高橋さんにとってはかなり厳しいものだったという。

「高校時代は寮生活だったんですけど、朝練をして学校に行って、授業終わってから夜まで練習して、土日は一日中練習して。とにかくずっと練習していました」

中学までとは比べ物にならないほど練習はハードだったが、大好きな卓球に打ち込める環境は高橋さんにとって、「これ以上ない幸せな日常だった」という。

だが、厳しい環境で努力を続けた高橋さんはメキメキと実力をつけていった。1年生こそ目立った結果は出せなかったものの、2年生のインターハイではシングルスでランク入り。3年生のインターハイでもランク決定戦まで勝ち上がるなど、一気に「全国レベルの選手」となった。

「昔から卓球は好きだったんですけど、高2でインターハイのランクに入ってからは卓球がもっと楽しくなって。練習にもより身が入るようになりましたね」

元日本代表から奪った金星

高校時代に躍進を遂げた高橋さんは、卒業後は専修大学に進学も決まった。そして、高校生活の集大成として2011年の全日本選手権に挑んだ。

同大会で高橋さんは一般女子シングルスに出場。一般の部には2年生だった2010年に初出場し、2勝して3回戦まで勝ち上がっていた。

そのため3年生ではそれ以上の成績を狙っていたが、2回戦で元日本代表の四元奈生美さんと対戦することとなった。


写真:2011年度全日本選手権での四元奈生美さん/提供:アフロ

「四元さんは私にとって格上も格上の選手だったので、組み合わせを見たときは、逆に変に気負わず『もう向かっていくだけだな』って思いましたね」

相手は日本代表として世界の舞台で戦ってきた選手。高校生の高橋さんにとって失うものは何もない。

1回戦で大学生に勝利した高橋さんは、予定通り2回戦で四元さんと対戦。フルゲームにもつれる激戦となるも、最終ゲームは序盤から流れを掴んだ高橋さんが11-2で取り切り、ゲームカウント3-2で勝利。元日本代表相手に金星を挙げた。


写真:全日本選手権で四元さんから金星を挙げた/提供:本人

「『向かっていくだけ』とは思っていたんですけど、先に2ゲームを取ってからは少し勝ちを意識してしまって。なので、最後勝てたときはものすごくほっとしました(笑)」

その後、高橋さんは3回戦でインターハイダブルス優勝の実績を持つ森まりなさんに敗れ、3回戦敗退となった。結果としては2年生の全日本と同じだが、四元さんに勝利できたことは、高橋さん自身に確かな成長と手応えを感じさせた。

奪われた未来

全日本後、高橋さんは熊本に戻った。

全日本で充実した結果を残した高橋さんは、卒業までは再び慶誠で研鑽を積み、数か月後に迫った大学入学に備えようと思っていた。

目の前には無限の可能性が広がっていた。

しかし、高橋さんの輝かしい未来は、空港から高校までの帰路で無残にも打ち砕かれた。

「私が乗っていた車がトラックと衝突したんです」

>>【記事中編】「もう一生歩けない」卓球進学の道を奪われた少女が見つけた“天職”

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