名門・青森山田中高卓球部で実力をつけた山本怜は、高3のインターハイでダブルス優勝、団体戦準優勝と堂々たる成績を残し、中央大学へ進学する。
今回は、山本に中央大卓球部での大学生活と、十六銀行の実業団選手として戦う今について聞いた。
>>強さと美しさの裏に基本技術へのこだわり インハイダブルス優勝・山本怜
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「自信がついた」大学1年で全日本ランク入り
高校時代の実績と自信を引っ提げ入学した中央大で、山本は1年生からレギュラーを掴みとった。
リーグ戦で活躍し、全日本大学総合卓球選手権(全日学)ではいきなり3位に入った。大学カテゴリの大会で成績を残した山本は、その年の全日本卓球選手権でもシングルスベスト16と初のランク入りを果たした。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
「組み合わせが出たとき、前年準優勝した森さくら選手のところに入ったので、前の年の決勝で石川佳純選手がどうやって勝ったんだろうと何となく見てたんですよ。それで良い試合できたらいいなぐらいでやったら勝てました。次が浜本由惟選手で0-3スタートだったんですけど、とりあえず1ゲーム取ろうぐらいの気持ちでやっていたら、追い付いて勝てました」と飄々と全日本初ランクを振り返った。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
「おかげで自信がついた」と山本はここから安定して実績を積み上げていく。2年時にはリーグ戦で春秋通じてシングルス14戦全勝、全日学ではシングルス、ダブルスともに3位に入り、エースとしての風格が漂い始めた。
遠かった一勝から生じた狂い
大学3年になり、山本にはどうしても叶えたい目標があった。全日学でのシングルスタイトルの獲得だ。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
「1、2年生で3位、3位ときてて、3年生では優勝したいという気持ちが一番強くて、大会前は練習をめっちゃ頑張ってました」。万全を期して臨んだ全日学だったが、決勝で成本綾海(現・中国電力)に敗れ、準優勝に終わった。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
「練習をやり込んで、それでも負けてしまったので若干燃え尽き症候群みたいになってしまった。その辺からですかね、だんだん良くなくなってきたのが」。
必死の努力も届かなかった一勝から、山本の卓球に少しずつ狂いが生じ始めた。
3年時の全日本では、シングルスで初戦敗退を喫する。「プレーがちょっとずつ崩れていっている感じがあった」と違和感が次第に増大する中、挑んだ最終学年での全日学では、谷岡あゆか(現・サンリツ)に敗れ、過去最低のベスト16止まりとなった。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
大学生活の集大成を飾るはずの試合で山本は、積み上げてきた自信を失った。失意の中臨んだ全日本では、高校2年以来のシングルス3回戦敗退に終わり、山本の大学生活は幕を閉じた。
理想のプレーを目指して
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
卒業後は十六銀行に入社し、1年目の後期日本リーグではシングルス5勝1敗の好成績で優秀選手賞を受賞した。
新天地で心機一転、本来の姿を取り戻したかに見えたが、「4年のときよりはましですが、まだ頑張ってプレーを戻している途中です」と今もなお好調時の感覚を取り戻すべくもがいている。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
違和感の原因はわかっている。高校時代に磨き上げた「基本動作」の崩れだ。
「大学では自分で考えて練習をするし、高校ほど口うるさく指摘されることもなかった。たぶんそこで無意識のうちに基本動作が崩れていった。基本動作が崩れているときは、身体がボールと合ってなくて遠く感じます。逆に良いときは身体とボールの距離感が細かく調整できて、自分的にはハマってる感じがあるんですよね…」。理想のプレーに戻るにはもう少し時間がかかるようだ。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
本調子ではないものの試合になれば、十六銀行の勝利のためにラケットを振ってきた。社会人2年目の2019年、前期日本リーグと全日本実業団の優勝に貢献し、年間王者を決めるファイナル4では、負ければチームが敗れる4番シングルスで勝利した。
「いざ台に立ったらやるしかないと思って、最初は自信なかったんですが、途中からとりあえず何でもいいから1本取れればいいやという気持ちでやったら良くなった。精神的な部分が良かったです」と頼もしい笑顔で勝因を振り返った。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
「団体では去年をさらに上回れるような結果を出したいと思いますし、個人的には全日本社会人などで優勝できるように頑張りたいですね」。社会人3年目となる2020年、山本はどのような戦いぶりを見せるのか。大舞台で輝く山本の姿が楽しみだ。
写真:山本怜(十六銀行)/撮影:ハヤシマコ
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写真:十六銀行メンバー/撮影:ハヤシマコ
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