「人生、後悔したくなかった」青森山田"三枚看板"町飛鳥の決意<前編> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:2ndシーズン開幕戦での町飛鳥/撮影:ラリーズ編集部

卓球×インタビュー 「人生、後悔したくなかった」青森山田“三枚看板”町飛鳥の決意<前編>

2020.06.04 文:山下大志(ラリーズ編集部)

東京五輪代表内定の丹羽孝希と中高大チームメート、インターハイ団体3連覇、全日本卓球選手権シングルス準優勝、岡山リベッツ所属のTリーガー。

プロ卓球選手・町飛鳥(鹿児島県体育協会)を形容する言葉の数々だ。

町は、青森山田の同級生である丹羽孝希、吉田雅己とともに常に卓球界の第一線で活躍してきた。今回は、丹羽や吉田とともに歩んできた“青森山田三枚看板”の1人、町の卓球人生に迫る。

>>あなたに勇気を与える卓球選手の言葉#8 丹羽孝希、吉田雅己編

小6で全国準優勝し、名門・青森山田へ

町の卓球人生は、小学校に上がる直前にスタートした。両親ともに卓球経験者ではあったが、「そこまで厳しい感じはなかった」と卓球選手にありがちなスパルタ指導は受けず、伸び伸びと卓球に取り組んだ。

「周りに比べたらそこまで練習はやっていなかったかなと思います。フットワーク練習は中学に入るまでやったことなかったです」。そう言いながらも、小2で全国ベスト8、小6で全国準優勝と、当時から才能の片鱗を見せていた。


写真:幼少期の町飛鳥/提供:町飛鳥

全国で名を馳せた町少年が進学先に選んだのは名門・青森山田中だ。

「青森山田で1度練習に参加させてもらった際、ここに行ったら強くなれると思い、すぐに山田に行こうと決めました」。

水谷隼ら数々の名選手を輩出した練習環境とレベルの高さに圧倒され、即断即決で進学を決めた。

丹羽、町、吉田の三枚看板でタイトル総ナメ

青森山田では、同期の丹羽、吉田とともに各カテゴリのタイトルを総ナメにしていく。全中団体優勝はもちろん、インターハイでは団体3連覇と向かうとこ敵なしの青森山田黄金期を築き上げた。


写真:青森山田中学2年時の町飛鳥/提供:アフロスポーツ

「高校のときは、団体戦で負けたら青森に帰れないくらいのプレッシャーはありましたが、6年間寮生活でホームシックにもなりませんでしたし、全然実家に帰りたいと感じたことがないぐらい楽しい生活ができてました」と充実した表情で中高6年間を振り返る。

個人戦でも三枚看板は常に上位を席巻した。「たまたま」と本人は謙遜したが、中1のカデットの部のように町が頂点に立つこともあった。

しかし高校のインターハイでは、ダブルスで3年連続準優勝、シングルスでは高1、高2と2年連続決勝で丹羽に阻まれ、タイトルに手が届かなかった。


写真:青森山田高時代の町飛鳥/提供:山田勉/アフロ

「優勝全然できないなってすごい悔しい思いもありましたね。やっぱ決勝で丹羽の壁は厚かったなあ…」。

明治大学でも圧巻の成績

卒業後は明治大学に丹羽孝希とともに入学し、1年目に全日本で準優勝を果たす。

好成績にも町は「たまたまランクに入れたことで力が抜けて良いプレーができた。自分自身の実力でなれたと思ってませんし、プレッシャーもなかったので、あんまりその大会通して覚えてないんです」と飄々と語る。


写真:明治大2年時にはグランドファイナルU21で優勝を果たした/提供:YUTAKA/アフロスポーツ

その後も丹羽、有延大夢、森薗政崇らチームメートに恵まれ、2度の団体全国制覇や関東学生リーグでは8回中7度の優勝と圧巻の成績で順風満帆な大学生活を送った。

「後悔したくなかった」 安定したキャリアを捨てプロ転向

社会人では実業団・シチズン時計に所属した。実業団では、企業に所属する社員として会社での業務をこなしながら卓球をプレーする。さらに引退後は、会社員として勤めるというある種の安定したキャリアが約束されている場合もある。


写真:シチズン時計時代の町飛鳥/撮影:ラリーズ編集部

だが、町は2年目の全日本終了後に、シチズン時計を退社しプロ転向を決めた。きっかけはTリーグの誕生だ。

「入社当時は将来もシチズンにいれればという思いでした。でもTリーグが始まって、レベルの高いところでやっているのを羨ましく感じた。そこに立ちたい思いもありましたし、将来的にも卓球に携わって仕事していきたいと思うようになって、色々な経験がしたいと思ったので転向しました」。


写真:岡山リベッツでTリーグに参戦している町飛鳥/撮影:ラリーズ編集部

将来を約束された実業団選手から、自らの腕一本で稼ぐプロ卓球選手への転向という大きな決断にも「迷いはなかった」と言い切る。

周りの人や家族にも止められました。でも、自分の人生、後悔したくなかったので」。

同期の丹羽は大学卒業後の2017年4月から、吉田は2018年4月から一足早くプロになっていた。“三枚看板”の中で一番遅い2019年1月、安定した生活を捨てプロの世界に飛び込んだ町は、従来とは異なる「プロ卓球選手像」を思い描いている。町の考える「プロ卓球選手」とは一体。

(後編・新時代のプロ卓球選手へ 町飛鳥を変えた“Tリーグ誕生”と“海外初挑戦” に続く)

取材:槌谷昭人(ラリーズ編集長)

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