プロ野球やJリーグに続き、卓球界も試合再開に向け動き始めている。9月中旬にリモートマッチ(無観客試合)による「2020 JAPAN オールスタードリームマッチ」の開催が先日発表された。
日本国内でトップレベルの卓球の試合が再び見られることは喜ばしいことだが、会場に足を運び声援を送ることはできない。卓球ファンの醍醐味である従来の「応援」の形ではなく、新しい観戦様式に合わせた応援方法が求められている。
写真:観客で埋まる会場が見られる日はいつだろうか(写真は2ndシーズン開幕戦)/撮影:ラリーズ編集部
そこでRallysでは、オールスター参戦をいち早く決めたプロ卓球選手・森薗政崇(BOBSON)を招き、ファンとともに「リモートマッチでの応援方法」について議論した。
※2020年7月15日に行ったYouTube Liveでの配信『森薗政崇と考える「日本の卓球応援文化」|Rallys Online College#2』の内容を再編集して記事化しています
>>「観戦時に飲酒はあり?」「ブーイングは?」森薗政崇と考える日本の卓球応援文化
▼森薗選手をUnlimで応援しよう▼
このページの目次
リモートマッチでのベストな応援は?
――今回は皆さんと『リモートマッチでどのような応援ができるか?』について話したいと思います。森薗選手からは選手側の意見もいただきたいです。
森薗政崇(以下、森薗):選手からすると、無観客の中、リアルタイムで応援するのは難しくないか?と思っています。無観客で真剣な試合をしたことがないので、どれだけのことができるのか想像がついてないです。
写真:YouTube Liveにてファンと議論する森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部
逆に僕からみんなに聞きたいのは、「どんな形だったらタイムリーに応援ができるか?」ということ。
僕らが試合をする。みんなが応援する。何かいい方法ありますかね?
――ここからはみなさんのコメントを拾っていきましょう。
コメント①「会場に応援の声が流れるスピーカーを置く」
森薗:この企画が決まってから僕も考えてて、一番最初に思いつきました。
写真:ファンの声援を力に変えてプレーする森薗/撮影:ラリーズ編集部
でも現実的に考えると、どうやってファン側の声を届けるの?と。たくさんの回線を開いていると声が被るし負荷も大きい。かと言って、誰かの声を選ぶわけにもいかない。
ゲーム間にファンの声が聞こえたら嬉しいし気持ちいいと思ったんですけど、現実的にシステム面などで難しいのかなと思ってました。
コメント②「Jリーグで採用されたリモート応援システム」
――スマホで応援ボタンを押すと、押したタイミングで会場のスピーカーから声援、拍手が流れるものですね。
森薗:費用や人件費の面から現実的にできるのであればいいかもですね。
プロ野球でソフトバンクホークスが応援でロボット犬を導入していたけど、それコストに見合ってるの?というのが個人的な意見だったので…。
コメント③「応援や声を動画で前もって送り編集して会場で流す」
森薗:なるほどね。応援動画をあらかじめ募集して、編集して会場で流すのはできそうですね。
写真:Tリーグでファンの声援を背にプレーする森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部
――プレーの止まっているゲーム間に流すと面白そうです。
森薗:「森薗選手頑張れー!」みたいなのあれば、僕、監督のアドバイス聞かずそっち見ちゃいますよ(笑)。「監督!今、良いところなんで応援聞いていいすか、って(笑)」。
写真:ベンチのアドバイスに耳を傾ける森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部
――そこはアドバイスに集中してください(笑)。
コメント④「良いプレーに投げ銭」
森薗:選手としても、どのタイミングでどれだけ投げ銭があったかを数値として見られるのは面白い。自分のどのプレーやふるまいに称賛してくれたのかがわかりますし。
写真:Tリーグでプレーする森薗政崇/撮影:ラリーズ編集部
今回のようにみんなで集まって意見を出すと、絶対良いものが出てくる。(Tリーグ開幕予定の)11月はもうすぐですし、9月にドリームマッチもありますし、実際何ができるのかを具体的にしていきたいですね。
コメント⑤「ツイートすると画面に流れる」
森薗:結構ありかもしれない。「#〇〇」でツイートすると画面に出て拾われるのはスポーツ中継ではよくある仕様。
簡単なハッシュタグにしてみんなで呟く。コスト少なく現実的にいけるんじゃないですか?
写真:森薗政崇(BOBSON)/撮影:伊藤圭
――関連して「悪ふざけ、批判コメントなどは画面に出ず、応援コメントだけということはできるのでしょうか?」というコメントもあります。
森薗:システム上で仕分けは無理だと思います。NGワード決めて本当に汚い言葉は出ないように設定するくらいですかね。
でもこうやって具体的にしていくと面白いですね!
写真:YouTube Liveのファンからのコメントを取り上げて議論/撮影:ラリーズ編集部
コメント⑥「視覚的に応援を伝えたい。客席がチームカラーに点灯するなど」
森薗:視覚的という意味だと先ほどのハッシュタグツイートが、会場の大画面にタイムラインのように流れるとかドンピシャじゃないですか?
今、どれだけの人が見てくれてるのかが選手側もわかってすごい面白いです。
写真:熱いプレーで岡山リベッツを牽引する/撮影:ラリーズ編集部
コメント⑦「応援の数を表示し、どちらのチームの応援が優勢か分かる」
森薗:これはTwitterのアンケート機能で「どっちの応援?」と聞けば、パーセンテージで見えるし、コストかからずすぐ導入できそうですよね。
ハッシュタグがついたツイートのタイムライン画面と、どっちが優勢かわかるアンケート画面が見えると選手側としても面白いです。
写真:無観客でも熱いプレーを見せてくれそうだ/撮影:ラリーズ編集部
――「コストなど総合的に考えないと実現する方法は限られて来る」という鋭いコメントもあります。ごもっともです。
森薗:理想はいくらでも語れるんですけど、現場で動いてる人たちは、コストや人のことを考えないといけない。今、たくさんの人たちが9月のオールスターに向けて現場で動いて整えてくれている。
実際、既存のものを利用するのは簡単じゃないですか。先ほどの「ハッシュタグ」や「アンケート」はTwitterの中でできる。コストがかからずすぐにできそうですよね。
コメント⑧「副音声でフランクな解説欲しい」
森薗:いいですね~。僕そういうの大好きなんですよ。
試合だけでなく解説でも出たいな(笑)。「今のいいフリックでしたね~」とかやりたい(笑)。
写真:笑顔を見せる森薗政崇/撮影:伊藤圭
――宮﨑義仁さん(Tリーグ理事長補佐)のTwitterに解説について吉村真晴選手が似たリプライしてましたね。
森薗:もしかしたらあるかもしれないですね。
解説もいいですね。笑
— 吉村真晴Maharu Yoshimura (@0803_maharu) July 14, 2020
宮﨑さんは常々「ファンのためにファンのために」とおっしゃっていて、今回のオールスターも「この時期にやる必要ある?」と批判的な意見もたくさんあったでしょうけど、卓球界のため、みんなのために楽しいものを企画してくれている。オールスターすごく楽しみです。
写真:オールスターではどのようなプレーを見せてくれるだろうか/撮影:ラリーズ編集部
――そのオールスターも含めて『無観客でどういう応援ができるか?』について多くの意見が出ました。
森薗:今回は、より具体的に考えて、既存である物の中で何ができるかを皆さんと話し合わせてもらいました。
投げ銭、リモート応援システム、Twitterのハッシュタグ、アンケート機能。いろんな意見が出て面白かったです!
――今回出た意見はまとめてTリーグに持っていければと思っています。本当にみなさんありがとうございました!
森薗選手をUnlimで応援しよう
森薗:インターハイがなくなった中、高校生に何かできないかと考え、Unlimというギフティングサービスを使って、予算を集めて高校生のために強化合宿を行うというプロジェクトを立ち上げました。状況次第なのですが、9月の連休に卓球合宿施設で強化合宿を行おうと思っています。
僕は高校時代、高体連の合宿がありがたかった。同じ年代の選手が集まって、とにかく試合して順位付けする。思い出としても大きな経験としても残ってる。実戦経験を積む場がもっと欲しいと高校生のときから思ってたので、インターハイがなくなった今、多くの学校を集めてたくさん試合をしてもらおうと考えてます。
写真:森薗政崇/撮影:伊藤圭
多くのファンの方々にUnlimでいただいたご支援は、合宿施設費用などに使わせてもらう予定です。みなさんありがとうございます。
強化の場を一回で終わらせるでなく、定期的にやっていきたいと思っているので、みなさんご支援のほど引き続きよろしくお願いします。高校卓球界には本当にお世話になったんで、少しでも僕にできることであれば恩返しできればと思ってます!
Unlimについて
※スポーツギフティングサービス「Unlim」とは…①競技活動資金に充て新たな挑戦をしたい、②自身の活動だけではなくスポーツや競技そのものを盛り上げていきたい、③スポーツを通じて社会に貢献したい、といったさまざまな思いを持つアスリートやチームに対して、金銭的に支援するサービスです。
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