篠原夢空、夢の空と書いて「ゆら」と読む。この名前を覚えておいて損はない。近い将来、日本女子卓球界で上位に食い込んでくるであろう期待のホープだからだ。
貝塚第二中学3年生ながら、篠原はTリーグ女子3連覇を成し遂げた日本生命レッドエルフのメンバー入りを果たしている。全国中学選抜でも全勝でチームの2連覇に大きく貢献した。
「K-POPでダンスを踊ることが好き。特にBTSが好きです!」。趣味を語る姿は中学生らしさ全開だが、卓球では全日本選手権一般の部で勝利するなど大人顔負けの実力を備えている篠原に話を聞いた。
【篠原夢空(しのはらゆら)】愛媛県出身。2006年9月14日生まれの14歳。ジュニアアシスト卓球アカデミー(以後、ジュニアカ)に所属する貝塚第二中学3年生。2016年全日本選手権カブの部優勝、2018年東アジアホープス大会団体戦優勝、2019年全日本選手権カデット13歳以下の部優勝と数々の実績を誇り、中学生ながらTリーグ・日本生命レッドエルフのメンバー入りを果たした期待のホープ
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世代トップを歩んできた“期待のホープ”篠原夢空
“日本卓球界期待のホープ”と呼ぶにふさわしい実績を篠原は持っている。
写真:篠原夢空(貝塚第二中)/撮影:槌谷昭人
愛媛県の松山卓球教室で腕を磨いた小学生時代、全日本カブ(小学4年生以下)でシングルス優勝と世代日本一に輝いている。篠原に小学生時代の卓球生活を尋ねたときに「全国で初めて優勝したから思い出に残っています」と真っ先に口にしたのがこの試合だ。
貝塚第二中に進んでからも、日本代表への“登竜門”とも言える全日本カデットで2019年にシングルス優勝を果たした。決勝では張本智和の妹でもある張本美和(現・木下アカデミー)に勝利し、中学でのタイトルを手にした。
「相手は張本智和選手の妹で有名。自分は無名。思い切ってやりました」。ゲームカウント0-2から逆転して掴み取った栄冠を振り返った。
徐々に緊張が解けたのか、中盤からは明るい笑顔でインタビューに応じてくれました
中学からは単身大阪へ“卓球留学”
小学生のときから世代トップを歩む篠原が進路に選んだのは、日本生命レッドエルフの下部組織であるジュニアカだった。「環境がすごく良いし、コーチがたくさんいて、良いなと思った」と地元の愛媛を出て、大阪の貝塚第二中に通いながら寮生活を送っている。
写真:篠原夢空(貝塚第二中)/撮影:槌谷昭人
親元を離れて中学からは大阪で卓球をする。小学生にとっては大きな決断だが「全然寂しくなかったです」とあっけらかんと話す。
「試合で負けたら怒られるから家はちょっと怖かった…(笑)」と苦笑い。そういう意味では、“怒る指導”のないジュニアカの環境は、篠原にぴったりだった。「自分のペースでできるからとても良い」と伸び伸びと実力を磨いている。
青天の霹靂 日本生命レッドエルフ入り
写真:篠原夢空(貝塚第二中)/撮影:槌谷昭人
篠原と言えば、Tリーグ2020-2021シーズンに中学生で日本生命レッドエルフ入りを果たした。トップチーム入りは、篠原にとって青天の霹靂だった。
「レッドエルフに入ると聞いたときは、びっくりして『・・・』みたいな感じでした(笑)」。層の厚いメンバーの中で出番こそなかったが、「強い選手の試合が間近で見られて、すごく勉強になります」と得るものは多かったようだ。
劉詩雯と平野美宇に憧れて
写真:篠原夢空(貝塚第二中)/撮影:ラリーズ編集部
前陣での早いピッチの卓球を得意とする篠原は、お手本にしている選手が2人いる。「両方前陣でコース取りが良くて、見習うところばかり。劉詩雯選手と平野美宇選手です」。
劉詩雯(リュウスーウェン・中国)は、世界女王にも輝いたこともある中国指折りの名選手だ。そして平野は東京五輪代表に内定している日本生命の顔とも言える選手だ。
写真:平野美宇(日本生命レッドエルフ)/撮影:ラリーズ編集部
篠原は、平野と同じ体育館で練習し、同じ寮で暮らす。「あんまり話したりはしないけど、練習中にチラッと見てます」と照れ臭そうに憧れの先輩について語ってくれた。
最後に目標を尋ねると「直近は全中の個人戦と団体戦で両方優勝したいです。ゆくゆくは世界で活躍したいです」と意気込みを語った。日本女子卓球界期待のホープが世界の舞台で羽ばたくときが楽しみだ。
「愛媛だけど、実はみかんじゃなくてメロンやスイカが好きです」と最後にはチーム1明るい(皆川監督談)笑顔を見せてくれました
特集・日本生命レッドエルフ第1弾 森さくら、前田美優らのインタビュー
>>森さくら、前田美優らのインタビュー!日本生命レッドエルフ特集