"逆輸入"のプロ卓球選手・英田理志だけが持つ「ストーリーを作る権利」 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:英田理志/撮影:ラリーズ編集部

卓球ニュース “逆輸入”のプロ卓球選手・英田理志だけが持つ「ストーリーを作る権利」

2020.08.29

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Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

卓球Tリーグ男子・T.T彩たまと埼玉高速鉄道株式会社のエリアパートナー契約調印式が28日、浦和美園駅にて行われ、サードシーズンからT.T彩たまに加わった英田理志(あいださとし)が参加した。

英田は2017年に実業団を辞め、2019年までスウェーデンリーグで活躍してきたプロ卓球選手で、異例の“逆輸入”でのTリーグ加入となる。

>>英田理志の使用用具・大会成績・プロフィール

“無名”の裏裏カットマン・英田理志

英田は、静岡県島田商業高校から朝日大学へと進み、卒業後は実業団・信号器材でプレーした。大学時代、東海学生選手権シングルス優勝などの実績を残したが、他のトップ選手と比べると学生時代は“無名”と言っても過言ではなかった。


写真:英田理志/提供:ittfworld

2017年に実業団を辞め、プロに転向し、スウェーデンリーグで目覚ましい成長を遂げた。両面裏ソフトのカットマンという異色のプレースタイルで勝ち星を積み上げ、2019年にはリーグ個人成績1位の17勝2敗の好成績を収め、チームの優勝にも大きく貢献し、2020年からはTリーグT.T彩たまに加入することとなった。

英田はストーリーが作れる

英田の獲得発表の際、T.T彩たまの坂本竜介監督は「獲得したい選手の1番の基準は、『ファンの心を動かせられる選手』『物語を作れる選手』」とツイートしていた。

そのことについて坂本監督に尋ねると「英田はTリーグに入っただけでもストーリーができている」とすぐに答えが返ってきた。


写真:T.T彩たまの坂本竜介監督/撮影:ラリーズ編集部

「英田は朝日大の最後くらいで出てきたけど、シングルスで全日本ランクに入るほどではなく、学生時代は無名。そこから信号器材に入って実業団で活躍して、スウェーデンでプロになって、Tリーグに入った。中高大無名の選手がいきなりTリーグのプロ選手として活躍するストーリーができたら、いろんな子供たちに夢を与えられるし、卓球を続ける1つのきっかけになるんじゃないか」。

英田だけが持つ“ストーリー”を作る権利

2019年度の日本卓球協会のデータによると、各都道府県の卓球協会に加盟している人数は、中学生が約18万人である一方で、高校生(高体連)は7.6万人と一気に減少してしまう。

「高校で卓球部に入らないのは、どこかで諦めてしまったり面白くなくなってしまうから」と長く卓球界を見てきた坂本監督は要因を挙げる。


写真:プロ卓球選手として、神巧也、松平健太と肩を並べる英田理志(写真左)/撮影:ラリーズ編集部

こういった諦めてしまう子供たちに対し、英田の活躍は夢や希望を与えられると期待を寄せている。

英田は無名だったからこそ今から“ストーリー”が作れる。逆にずっとトップにいる人はこういうストーリーは作れない。英田にだけ持っている権利なので本人には頑張ってほしい」。


写真:T.T彩たまの松平健太、英田理志、神巧也、坂本竜介監督、柏原哲郎社長(左から)/撮影:ラリーズ編集部

加えて「チームは長く続けていかないといけないし、長く愛されないといけない。そう考えるとやっぱり“人”。英田はいろんな選手から情報を聞いて、やっぱりいい人間なんだろうなと思って獲りに行った」と英田獲得の経緯を明かした。

英田は「化ける可能性がある」

もちろん指揮官は、英田の実力面も高く評価している。


写真:英田理志/撮影:伊藤圭

「英田は戦型的にも面白いと思った。サーブも上手いし、カットマンなのにいきなり攻撃もするし、5ゲームマッチでいきなりやったら面食らう。化ける可能性があるなと」と不敵な笑みを浮かべる。

当初は神巧也、松平健太、リアム・ピッチフォード、パナギオティス・ジオニスの4枚看板でサードシーズンを構想していたというが、新型コロナウイルスの影響で海外選手の来日が不透明となった。日本選手だけで戦わざるを得ない可能性も考慮に入れたとき、“逆輸入カットマン”英田は大きな補強となっている。


写真:英田理志/撮影:伊藤圭

英田自身は、すでに練習にも合流しており、「強い選手とできているので練習は凄い楽しいです。しっかり練習して結果を出したいです」とサードシーズンに向けて意気込んでいる。

英田が勝ち星をあげ、昨季3位と涙を飲んだT.T彩たまをファイナルへ導くとともに、多くの卓球ファンに勇気を与える存在となれるか。“逆輸入カットマン”のTリーグでの戦いから目が離せない。

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