文:石丸眼鏡
1月6日、卓球の東京五輪代表候補選手男女各3名が日本卓球協会から発表される。シングルス枠は、稀に見る激しい代表争いをくぐり抜け、男子は張本智和(木下グループ)と丹羽孝希(スヴェンソン)、女子は伊藤美誠(スターツ)と石川佳純(全農)の男女各2選手が確実なものにしている。
上記4選手に水谷隼(木下グループ)、平野美宇(日本生命)を加えた6選手を中心に繰り広げられた世界ランキングのポイント争いは、日本卓球史に残る熾烈を極めたレースとなった。
今回は、今年7月以降の各選手のポイント推移を追うことで激闘の代表争いを振り返る。
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男子は張本が終始ポイント争いを牽引
まず、男子をみてみよう。張本、丹羽、水谷の3選手のポイント推移をグラフ化したものがこれだ。
図:2020年1月時点で有効な世界ランキングポイント推移(男子)/作成:石丸眼鏡
6月の中国オープンでベスト4、香港オープンで準優勝に輝いた張本が、8月時点で丹羽と水谷を大きくリード。
丹羽、水谷が思うような結果を残せずに苦しむ中、終始ポイント争いを牽引し五輪代表権を手に入れた。
写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
一方、丹羽と水谷は大接戦となる。水谷が若干リードの状況で僅差を維持しながらもお互いポイントを伸ばせない時期が続き、11月の男子W杯で丹羽が逆転。グランドファイナルに最後の望みを託した水谷の健闘も及ばず、丹羽が2番目の代表枠を勝ち取った。
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女子は平野・石川の大混戦に
続いて女子だが、伊藤、石川、平野の3選手のポイント推移は下記のようになった。
図:2020年1月時点で有効な世界ランキングポイント推移(女子)/作成:石丸眼鏡
9月のアジア選手権までは上位3人が1000ポイント差にひしめく接戦となっていたが、10月から伊藤が一気に加速。ワールドツアー・スウェーデンオープンとドイツオープンで2大会連続準優勝、ここで大きくポイントを伸ばして頭1つ抜け出した。
その後も安定した成績を残した伊藤は、五輪出場を早々に確定させ終盤は余裕の展開を見せた。
写真:石川佳純(全農)/撮影:ラリーズ編集部
その裏で石川、平野はまさに一進一退の攻防となった。数十ポイント差での拮抗が続きながらも、終始石川が平野を追いかける。12月のノースアメリカンオープン決勝戦での直接対決を制した石川が土壇場で逆転し、そのまま逃げ切った。
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熾烈な代表争いを戦い抜いた選手たち
写真:体はボロボロとT2ダイヤモンド後に語っていた丹羽/撮影:ラリーズ編集部
男女ともに、上位3選手は今年の7月以降だけで10カ国以上を転戦、五輪を争うプレッシャーの中、ハードスケジュールをこなし見事に戦い抜いた。1月6日にはシングルス代表候補男女各2名、団体戦代表候補選手男女各1名が日本卓球協会から正式に発表され、東京五輪のメンバーが出揃うことになる。
石川は「苦しいレースだったので、自分自身今までで一番成長できていると思う。その姿を五輪ですべて出せるように」とグランドファイナル後にコメントしている。
この経験が東京の舞台で花開くか、期待は高まるばかりだ。