文:石丸眼鏡
新型コロナウイルスの世界的な流行を受け、東京五輪開催は2021年夏へと延期となった。
各競技の代表内定選手たちの動向がニュースで取り上げられる中、卓球競技は「現在の代表候補6選手の内定維持」を早々に発表した。図らずももう1年、代表候補選手たちは五輪に向けてトレーニングを重ねることとなったが、プロスポーツ選手にとって、1年という期間はとてつもなく大きい。
無名の若手選手が、たった1年でキャリアを大きく変えるような成長を見せることもある。今回は、卓球選手としてのキャリアの1年間にスポットをあて、大きく成長した選手たちを紹介する。
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この1年で飛躍を遂げた選手たち
神巧也(T.T彩たま)
T.T彩たまの元気印としてTリーグで大活躍した神巧也、2019-2020シーズンはシングルスでリーグ最多の20試合に出場した。勝利数13は同じくリーグ最多、勝率もリーグ2位と好成績を残した。日本卓球リーグ・シチズン時計卓球部を昨年1月に退社し、プロ転向してからの躍進は記憶に新しい。
写真:神巧也(T.T彩たま)/撮影:保田敬介
この1年で最も世界ランキングを上げたのはこの男だろう。ワールドツアーでも結果を残し、2020年4月時点の世界ランキングは45位。昨年3月の神の世界ランキングは314位だったことを考えると、その成長ぶりには驚きを隠せない。27歳となった今年も、まだまだ大きく成長していく姿を見せてほしい。
小塩遥菜(JOCエリートアカデミー/星槎)
14歳の小塩は、昨年8月に全国中学校卓球大会で優勝すると、勢いそのままに11月の世界ジュニア卓球選手権シングルスで銀メダルを獲得。日本ペイントマレッツから参戦したTリーグでも11試合に出場した。
写真:国際大会でも結果を残す小塩遥菜/提供:ittfworld
今年1月の全日本選手権では、昨年は4回戦で敗退したジュニアの部で準優勝。一般の部でも、塩見真希(ミキハウス)、安藤みなみ(十六銀行)らシード選手を下し、ベスト8に進出。準々決勝で伊藤美誠(スターツ)に敗れたものの、今後の躍進に期待を持たせる活躍を見せた。
林昀儒(チャイニーズタイペイ)
今、最も勢いに乗る若手選手といえば、台湾の林昀儒を挙げる人も多いだろう。
写真:林昀儒(チャイニーズタイペイ)/提供:ittfworld
2019年1月にTリーグ・岡山リベッツに加入した際の世界ランキングは28位。その後T2ダイヤモンド、ワールドツアーで大活躍を見せ、2020年4月の世界ランキングは7位。今や日本代表のライバルとして警戒される選手にまで成長した。
年齢も18歳と若く、台湾卓球界の希望の星として注目が集まっている。
1年後の五輪開幕を祈って
新型コロナウイルスはいまだ収束の気配がなく、国内・海外ともに大会中止が相次いでいる。
トレーニングをするにも感染に注意を払わなければならず、選手たちの苦労は想像に難くない。日常生活でも、プロのアスリートとして規範ある行動が求められる。そういった状況下でも、既に代表候補選手たちは2021年夏に向けて動き始めている。
「僕自身、東京五輪に向けて準備しなければいけない課題がまだまだあると焦っていたので、準備の時間ができたと前向きにとらえようと思います」と語ったのは張本智和(木下グループ)、日本代表候補の6選手は、1年後の大舞台でどんなプレーを見せてくれるのだろうか。
1年後には平穏な日々が戻っていることを祈るばかりだが、そのためには私たち1人1人が感染対策に取り組まなければならない。来年の夏、更に強くなった選手たちの姿を見る日を楽しみに、今は少し我慢が必要な時かもしれない。