文:ラリーズ編集部
全日本卓球選手権大会(以下、全日本)が、1月13日から大阪府の丸善インテックアリーナで開催される。全国各地の予選を勝ち抜いた選手が集う本大会には、プロだけでなく、アマチュア選手も多数参加している。試合方式は、負けたら終わりのトーナメント戦。ゆえに、アマチュア選手がプロを倒したり、小学生が勝ち進んだりすることもある。そんな全日本だからこそ、毎年数多くのドラマが生まれるのだ。
今回は全日本の男子シングルス一般の部とジュニアの部の見どころを紹介する。
男子シングルス・一般の部見どころ
写真:張本智和(木下グループ・写真はTOP12)/撮影:ラリーズ編集部
昨年、前人未到の全日本V10を達成した水谷隼(木下グループ)が不在の今大会において、話題の中心になるのは間違いなく張本智和(木下グループ)だろう。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ前回大会では、準決勝敗退に終わり、水谷のV10の瞬間を観客席から見ることとなった。張本の悔しさは相当なものだったはずだ。
あれから1年。昨シーズンはT2ダイヤモンドシンガポール大会3位、男子ワールドカップ準優勝、ブルガリアオープン優勝と、日本選手の中ではダントツの好成績を残してきた。東京五輪代表候補に選出された16歳は令和初の全日本を制し、夏に控える東京五輪に向けて弾みをつけられるか。
写真:丹羽孝希(写真はトップ12)/撮影:ラリーズ編集部
張本と同じく東京五輪代表候補に選出された丹羽孝希(スヴェンソン)も見逃せない。昨シーズン前半はなかなか結果が出なかったが、後半戦は調子を上げ、T2ダイヤモンドシンガポール大会、男子ワールドカップでは共にベスト8まで勝ち進んだ。
先日のジャパントップ12後に「(五輪では)ダブルスはもちろん頑張るんですけど、シングルスではもっと点を取れるように頑張りたい」と、シングルスへの強い思いを語った丹羽。昨年の全日本は、準々決勝で水谷に破れてベスト8に終わっている。今大会は表彰台に上がることができるか。
写真:森薗政崇(BOBSON・写真はトップ12)/撮影:ラリーズ編集部
その他のスーパーシードにも、2020年度世界選手権代表に選出された森薗政崇(BOBSON)やプロ転向後世界ランキングを日本選手5番手となる44位(2020年1月現在)まで伸ばした神巧也(T.T彩たま)など、日本トップレベルの実力者が揃っている。また、ノーシードにも、松平健太(T.T彩たま)や御内健太郎(シチズン時計)など実績のある選手が入っているため、1・2回戦からハイレベルな試合が展開されることだろう。
今大会の展望を「誰がこの大会を引っ張っていくかという点については、やはり張本智和。頭1つ抜けているのではないかと思っている」と倉嶋洋介男子代表監督は語った。まさに、今年の全日本は参加選手が「打倒張本」を目指す構図となりそうだ。令和最初の全日本王者の称号を掴み取るのは、果たして誰になるのか。
男子シングルスジュニアの部見どころ
写真:松島輝空(木下グループ・写真は世界選手権1次選考会)/撮影:ラリーズ編集部
ジュニアの部では、昨年の決勝を戦った宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)と戸上隼輔(野田学園高)が高校3年のため、ジュニアには出られない。そのため、前年度ベスト4の谷垣佑真(愛工大名電高)と横谷晟(愛工大名電高)がそれぞれ第1、第2シードを獲得している。もちろん、その2人にも要注目だが、それ以上に注目すべきはやはり、松島輝空(木下グループ)だろう。
現在12歳の松島は2019年度の全日本ホープスの部で優勝し、張本智和以来の「全日本ホカバ(ホープス、カブ、バンビの部)6連覇」を成し遂げた選手となった。また、東アジアホープス選手権シングルス優勝、世界カデット選手権シングルスベスト4と、昨シーズンは国際大会でも結果を残してきた。松島の昨年の成績はベスト8。今年はそれを上回る結果を残すことができるか。
写真:篠塚大登(愛工大名電・写真はインターハイ時)/撮影:ラリーズ編集部
他のシード選手では、篠塚大登(愛工大名電高)にも注目したい。2019年の世界ジュニア選手権で、日本のベスト4進出に大きく貢献した篠塚。そのポテンシャルの高さは倉嶋監督も認めるところで、「高校1年生ながら水谷2世と言われるほどボールタッチの柔らかい選手」と篠塚を評価している。昨年の成績はベスト8。今年はベスト4、また優勝も十分に狙えるだろう。
ノーシードにも、中学生ながら先日のジャパントップ12に出場した吉山僚一(愛工大名電中)や、2019年アジアカデット選手権代表の前出陸杜(松生TTC)と鈴木颯(愛工大名電中)など、才能溢れる若手がひしめき合っている。
ジュニアの部での新たなスターの登場に期待せずにはいられない。