「夏星、ここで勝ってくれ」初タイトルの赤江夏星、勝利の理由をリベルテ 皆川顕一監督に聞いた<卓球・インターハイ> | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:赤江夏星(リベルテ)/撮影:ラリーズ編集部

大会報道 「夏星、ここで勝ってくれ」初タイトルの赤江夏星、勝利の理由をリベルテ 皆川顕一監督に聞いた<卓球・インターハイ>

2022.08.08

この記事を書いた人
1979年生まれ。2020年からRallys/2024年7月から執行役員メディア事業本部長
2023年-金沢ポート取締役兼任/軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏

<第91回全国高等学校卓球選手権大会 日程:7月29日~8月8日 場所:宇和島市総合体育館(愛媛県)>

8日、インターハイは女子シングルス・赤江夏星(リベルテ)の劇的な初優勝で、全11日間の幕を閉じた。

近年、全国大会ベスト4以上に残ることが少なかった赤江が、同年代のツートップ、横井咲桜(四天王寺)と大藤沙月(四天王寺)を連破し、栄冠を手にした理由は何か。

香ヶ丘リベルテ高校の皆川顕一監督に話を聞いた。


写真:皆川顕一監督(リベルテ)/撮影:ラリーズ編集部

皆川顕一監督「我慢を覚えた」

――赤江選手は大阪予選も1位通過し、今回のインターハイシングルス初優勝。勝因はどのあたりにあるのでしょうか。

皆川:今までの赤江は、勝ちを意識しすぎて、一発で撃ち抜こうとする場面が多かったんですが、今大会は最後まで相手より1本多く返そうとしていました。

――赤江選手本人も“強気で攻めつつ、我慢できた”と言っていました。

皆川:本人もわかってますよね(笑)。赤江は中学2年の途中からリベルテに転校してきてからずっと見てきましたが、我慢を覚えてきましたね。


写真:粘り強く1本を返す赤江夏星(リベルテ)/撮影:ラリーズ編集部

――技術面では何か変化はあったんでしょうか。

皆川:彼女は自分で考え、練習メニューも組み立てられる選手なので、技術面で私がどうこう言うことはありません。彼女がやりたいメニューは全部OKです。

ただ、この一年ほどはフィジカル面の強化のために、専門のトレーナーと共に毎朝、トレーニングを行ってきました。彼女自ら午後にも時間を作るほど、フィジカルは強化してきました。

――今日の試合でもその成果は見られましたか。

皆川:はい。フォアを強く打った後のバックへの戻りなどは、早くなっていましたね。

身体ができて、そして心もできた、ということだと思います。


写真:威力抜群、赤江夏星(リベルテ)のフォアハンド強打/撮影:ラリーズ編集部

これから続く選手のためにも

――決勝戦の終盤、観客席から、ひときわ大きな拍手を送る皆川監督が見えました。どんな気持ちでしたか。

皆川:赤江とは大会前から「(出場するシングルスとダブルスの)2冠を獲ろう」と話していました。中学生の頃から見てきた赤江が、高校最後の夏にようやく決勝まで来た。

“頼む、頑張ってくれ”、祈るような気持ちでした。

リベルテも、これまで高校での全国タイトルがありませんでした。

“これから続く選手のためにも、夏星、ここで勝ってくれ”と。


写真:赤江夏星(リベルテ)/撮影:ラリーズ編集部

「明るく、元気で、強いチームを」

――最後までわからない、ゲームオールデュースの展開でした。
皆川:
普段の練習でも、彼女は残って練習していました。毎日の積み重ねが、最後の最後に生きたんだろうと思います。

――三冠が有力視されていた、四天王寺高校の一角を崩しました。
皆川:
私たちも含めいろんな学校が頑張って、お互い競争しながら強い選手を育成できることが、日本の卓球界に貢献することだと思っています。リベルテからも日本代表や五輪代表を出せるようになっていきたいですね。

――今回シングルスベスト4が全員大阪からという激戦区で、中学・高校生の指導を行うのはプレッシャーではないですか。
皆川:
それはあるんですが、でも村上さん(ジュニアアシスト卓球アカデミー代表)からは、“楽しめよ”と言われています。

勝ったら負けもある、負けた後にはまた勝ちもある、先を見ていこうと。

そこは楽しみながら、明るく、元気で、強い香ヶ丘リベルテを作っていきたいと思います。


写真:ベンチに入ったチームメイト・上澤杏音と勝利を喜ぶ赤江夏星/撮影:ラリーズ編集部

村上恭和「貝塚に来たら強くなる」

香ヶ丘リベルテ高校の練習拠点、ジュニアアシスト卓球アカデミー代表の村上恭和氏にも、今大会の赤江について聞いた。

――今回の嬉しい初優勝、赤江選手の勝因をどうお考えですか。
村上:
赤江は、小学校のときからトップになったことのない選手でした。同級生の中ではずっと押されていたけれど、それが高校3年、この最後のインターハイで優勝できた。

これまでもずっと練習では強いのに、試合ではなかなか勝てなかった。勝負の持って行きかたもありますが、一番は身体面でしょう。

体力がついたことが大きい。

赤江のようなパワーヒッターは終盤疲れて、どうしてもミスが出てくる。だから体力を強化する必要があった。早田(ひな)と同じです。

一年ほど前からフィジカルのトレーニングを始めて、確実に体力がついてきた。それが大きな理由だと思います。


写真:赤江夏星(リベルテ)/撮影:ラリーズ編集部

――香ヶ丘リベルテ高校は、初の全国タイトルにたどり着きましたね。
村上:
皆川監督が中学生も高校生も見ていて大変だろうと思いますが、その選手たちがいま、花開いている。

皆川監督が長い時間をかけてチャンピオンを生んだ。お疲れさまという思いです。

これから強くなりたい全国の小学生たちに、(香ヶ丘リベルテ高校の練習拠点の)貝塚に来たら強くなるということを、見せられたことも良かったなと思います。


写真:赤江夏星(リベルテ)/撮影:ラリーズ編集部

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