大会報道 早田ひなが優勝!吉村和弘も準優勝と躍進【ITTFチャレンジ・スペインOP・大会レポート】
2017.11.27
文:中川正博(ラリーズ編集部)
文:中川正博(ラリーズ編集部)
写真:aflo
<11月22日〜26日 ITTFチャレンジ・スペインオープン (アルメリア)>
【大会総括】2017年スペインOPは、早田ひながシングルスで優勝
11月26日(現地時間)まで続いたスペインオープンの全日程が終了した。
今回のスペインオープンには総勢14名(自主参加の選手を含む)の日本人選手がエントリーした。
本大会では、女子シングルスで早田ひな(ITTF世界ランク14位、11月現在)が優勝した。また、男子シングルスで吉村和弘(同85位)が準優勝。さらに女子シングルスで芝田沙季(同30位)が3位入賞の好成績を収めた。
男子シングルスでは、吉村和弘がガルドシュ(同50位、オーストリア)などの実力者に勝ちながら決勝進出。決勝では惜しくもガナナセカラン(同88位、インド)に2-4で敗れたものの、価値ある準優勝となった。
女子シングルスでは、早田が力強さを存分に発揮し、優勝。準決勝ではスッチ(同49位、ルーマニア)、決勝では田志希(同15位、韓国)に対して、ともにフルゲームを制して優勝した。スッチと田志希は、早田と同様T2APACに参戦し、力をつけている選手である。
早田はドイツオープン、スウェーデンオープンと立て続けにダブルスでツアー2連勝をしており、体力面の心配を押しのけてのシングルス優勝となった。
男子ダブルスは、吉村/松山祐季(同138位)ペアが出場したが、1回戦で江天一(同60位、香港)/林兆恒(同104位、香港)ペアに0-3で敗れ、課題を残す形となった。優勝は趙勝敏(同62位、韓国)/朴慶泰(同139位、韓国)だった。
女子ダブルスでは、大藤沙月(同152位)/相馬夢乃(同218位)ペアと、芝田沙季(同30位)/塩見真希(同41位)ペアが出場したがともに振るわず、課題が残った。優勝は田志希/梁夏銀(同32位、韓国)と順当な結果となった。
接戦を制した早田の優勝、和弘の躍進
早田と田志希の女子シングルス決勝では、サウスポー同士のハイレベルな試合が繰り広げられた。
田志希が1ゲーム目取ると、交互にゲームを奪う形でゲームカウント2-2となった。その後の5ゲーム目は、出だしから早田の粘りあるプレーが効き、11-3で圧倒。
そして6ゲーム目の8-9の場面で、早田が魅せてくれた。引き合いからロビングでしのぐ形となったが、甘くなったドライブを見逃さず、しっかりと回り込んで逆襲をして得点した。まるでT2APACで早田のチームキャプテンを務めるメイスのプレーを見ているかのようだった。このプレーにより9-9に追いついたものの、10-12で田志希にこのゲームを奪われ、勝負は最終ゲームへ。最終ゲームも息をのむ展開となり、6-6、7-7、8-8とお互い譲らないままデュースになったが、最後は早田のカウンターが決まり、歓声が響いた。
早田はドイツ、スウェーデンとツアーが続いていたにも関わらず、見ごたえのあるプレーの連続で、1時間を超える大接戦を制し、優勝をつかみ取った。
一方で、吉村とガナナセカランの男子シングルス決勝も、序盤から一歩も譲らぬ展開になった。
気合十分のガナナセカランが1ゲーム目を取ると、2・3ゲーム目を吉村が取り返す。その後4ゲーム目をガナナセカランが奪い返し、勝負を分ける5ゲーム目に突入した。
5ゲーム目も立ち上がりからコートを広く使った激しいラリーの攻防が続いたが、6-7の場面でタイムアウトをうまく使ったガナナセカランが13-11でこのゲームを奪う。6ゲーム目も、ガナナセカランの勢いを止めることができず、ガナナセカランが本大会の優勝者となった。
吉村は惜しくも準優勝となったが、本大会を通して吉田海偉(同49位)やガルドシュ(同50位)などのベテランの実力者に勝っており、確実な成長を見せてくれた。
2017年スペインオープン:男子最終結果
シングルス優勝:ガナナセカラン(インド)、準優勝:吉村和弘、ベスト4:呉柏男(韓国)、林兆恒(香港)
ダブルス優勝:趙勝敏/朴慶泰(韓国)、準優勝:BAIBULDIN Andrei/ MURZIN Vitalii(ロシア)、ベスト4:江天一/林兆恒(香港)、マチャド/ロブレス(スペイン)
U21優勝:林兆恒(韓国)、準優勝:ポランスキー(チェコ)、ベスト4:コズル(スロベニア)、趙勝敏(韓国)
2017年スペインオープン:女子最終結果
シングルス優勝:早田ひな、準優勝:田志希(韓国)、ベスト4:芝田沙季、スッチ(ルーマニア)
ダブルス優勝:田志希/梁夏銀(韓国)、準優勝:マニカ・バトラ/モウマ・ダス(インド)、ベスト4:ガポノワ/ワシリエワ(ウクライナ)、ガルシア/チャン・シュエン(スペイン)
U21優勝:大藤沙月、準優勝:SHCHERBATYKH Valeria(ロシア)
、ベスト4:WAN Yuan(ドイツ)、PICCOLIN Giorgia(イタリア)
2017年スペインオープン:主な日本選手の結果
男子シングルス
決勝トーナメント1回戦
吉田海偉 4(9,-9,6,6,8)1 チェン・ディオゴ(ポルトガル)
吉村和弘 4(9,4,6,-9,3)1 クレイン(ドイツ)
松平賢二 4(4,6,-7,-7,5,7)2 THAKKAR(インド)
松山祐季 4(7,7,5,7)0 ベニート(スペイン)
決勝トーナメント2回戦
吉村和弘 4(8,8,4,-5,-10,2)2 吉田海偉
松平賢二 4(7,9,6,5)0 コズル(スロベニア)
松山祐季 4(9,-7,3,-10,9,4)2 SODERLUND (スウェーデン)
決勝トーナメント3回戦
吉村和弘 4(9,4,8,-11,-1,9)2 サリフ(フランス)
松平賢二 3(7,8,-7,-7,7,-7,-6)4 ニマ・アラミヤン(イラン)
松山祐季 3(7,-7,6,-9,-9,8,-14)4 ノシャド・アラミヤン(イラン)
準々決勝
吉村和弘 4(7,3,-8,-9,7,10)2 ガルドシュ(オーストリア)
準決勝
吉村和弘 4(-8,7,7,-3,5,7)2 呉柏男(韓国)
決勝
吉村和弘 2(-7,3,-6,6,-11,-7)4 ガナナセカラン(インド)
女子シングルス
決勝トーナメント1回戦
早田ひな 4(5,5,3,4)0 アルティンカヤ(トルコ)
大藤沙月 3(7,14,-8,8,-6,-6,-4)4 崔孝珠(韓国)
塩見真希 4(13,13,7,10)0 シブリー(イングランド)
加藤杏華 1(4,-5,-11,-4,-10)4 Ji Eunchae (韓国)
浜本由惟 4(4,7,9,5)0 ガスニア(フランス)
芝田沙季 4(9,-8,5,8,4)1 MISCHEK(オーストラリア)
岩越帆香 0(-5,-8,-5,-6)4 ニー・シャーリエン(ルクセンブルク)
松澤茉里奈 4(-6,4,4,8,9)1 ザリフ(フランス)
決勝トーナメント2回戦
早田ひな 4(6,4,7,9)0 シャオ・マリア(スペイン)
塩見真希 3(9,7,7,-7,-11,-6,-7)4 JI Eunchae(韓国)
浜本由惟 4(9,7,9,9)0 KIM Danbi(韓国)
芝田沙季 4(-10,4,-9,-8,8,9,5)3 LOEUILLETTE(フランス)
松澤茉里奈 0(-9,-9,-4,-9)4 田志希(韓国)
準々決勝
早田ひな 4(12,10,-12,6,7)1 崔孝珠(韓国)
芝田沙季 4(6,9,-5,9,1)1 浜本由惟
準決勝
早田ひな 4(4,9,9,-11,9,-5,5)3 スッチ(ルーマニア)
芝田沙季 0(12,8,9,7)4 田志希(韓国)
決勝
早田ひな 4(-5,2,-6,9,3,-10,11)3 田志希(韓国)
男子ダブルス
決勝トーナメント1回戦
吉村和弘/松山祐季 0(-9,-9,-3)3 江天一/林兆恒(香港)
女子ダブルス
決勝トーナメント1回戦
大藤沙月/相馬夢乃 0(-5,-7,-9)3 田志希/梁夏銀(韓国)
芝田沙季/塩見真希 3(5,10,4)0 ASCHWANDEN Rahel / MORET Rache (スイス)
準々決勝
芝田沙季/塩見真希 2(-6,11,-6,10,-9)3 マニカ・バトラ/モウマ・ダス(インド)
男子U21
決勝トーナメント1回戦
松山祐季 3(7,7,6)0 パーマン(スウェーデン)
決勝トーナメント2回戦
松山祐季 1(-6,10,-10,-7)3 レベンコ(オーストリア)
女子U21
決勝トーナメント1回戦
加藤杏華 3(8,7,9)0 KANG Dayeon(韓国)
大藤沙月 3(9,-9,3,7)1 PFEFER Laura(フランス)
竹内嘉菜 3(8,-11,4,15)1 ボグダノーヴァ(ベラルーシ)
準々決勝
加藤杏華 1(7,-9,-8,-6)3 大藤沙月
竹内嘉菜 2(-8,-16,7,3,-5)3 WAN Yuan(ドイツ)
準決勝
大藤沙月 3(6,5,-8,8)1 WAN Yuan(ドイツ)
決勝
大藤沙月 3(5,3,9)0 SHCHERBATYKH Valeria(ロシア)
試合結果の見方
表記ルール: 選手名A ゲーム数(各ゲームのポイント)ゲーム数 選手名B
各ゲームのポイントの表記例: 選手Aが選手Bと対戦し、1ゲーム目11対6、2ゲーム目11対5、3ゲーム目12対10で選手Aが勝ち、選手Bが負けた場合、
「選手A 3(6,5,10)0 選手B」 または 「選手B 0(-6,-5,-10)3 選手A」 と表記。