文:ラリーズ編集部
<ノジマTリーグ2019/20シーズン 8月30日(金)アリーナ立川立飛>
30日、ノジマTリーグでT.T彩たまと琉球アスティーダが対戦した。開幕戦に続きアリーナ立川立飛を訪れた約1,000人の観客が見守る中での試合になったが、彩たまが琉球を3-1で下した。両チームの対戦は、4つの試合の内3つの試合で最終ゲームにもつれこむ大激戦となった。その試合を1試合ずつ振り返っていく。
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1番:黄鎮廷/平野友樹 2-0 李平/木造勇人
写真:黄鎮廷/平野友樹(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
1番のダブルスでは、両チーム対照的なペアを起用した。T.T彩たまは、昨シーズンも出場経験のある黄鎮廷/平野友樹ペアが出場したのに対し、琉球は李平/木造と両者共にTリーグ初出場の選手同士の組み合わせで臨んだ。
試合は序盤から経験豊な黄/平野ペアが先手を取り、有利な形で進めていく。
琉球ペアのストップが長くなったのを彩たまペアは見逃さない。長くなれば打たれてしまうのは当然だが、彩たまペアがそのチャンスを逃さず効果的に得点を重ねた。一方の琉球ペアは、レシーブをチキータに変えるなど戦術の転換を図ったが、惜しくも勝利には手が届かなかった。
2番:リアム ピッチフォード 3-2 吉村真晴
写真:リアム・ピッチフォード(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
今シーズンからTリーグに参加したピッチフォードの初陣は、T.T彩たまから琉球アスティーダへ移籍した吉村真晴との激しい戦いとなった。両者の対戦で記憶に新しいのは、2016年世界卓球準決勝であろう。そのときは、吉村真晴が3-2で勝利を収めていたが、今回はピッチフォードがリベンジを果たした。
1ゲーム目、鮮やかな吉村の3球目攻撃で幕を開けた両者の戦い。吉村のYGサーブに対してピッチフォードはうまくレシーブすることができず、吉村が効果的にサーブから得点していく。後半まで吉村がリードを保つも、10-10にピッチフォードが追いつく。今シーズンから最終ゲームを除くゲームではデュースは適用されない。つまり、10-10になった場合次の1点をとったほうがゲームを制す。1ゲーム目を制したのはピッチフォードだった。
2、3ゲーム目は、吉村がサーブやラリーでの得点を増やし、ゲームカウントは1-2とピッチフォードは後がなくなる。しかし、4ゲーム目を11-7で制すと、最終5ゲーム目、「(坂本)監督の指示でバック対バックにもっていくようにした」と戦術を徹底したピッチフォードが連取し、フルゲームの熱戦を制した。
ピッチフォード、Tリーグ初出場初勝利!
3番:黄鎮廷 2-3 村松雄斗
写真:村松雄斗(琉球)/撮影:ラリーズ編集部
3番シングルス、彩たまは中国香港のエース・黄鎮廷、琉球はカットマンの村松雄斗を送り出した。
黄鎮廷はT2ダイヤモンドで張本智和を下すなど、世界でも実績のある選手だ。
一方、村松は世界的にも少ないカットマンであり、高い攻撃力も兼ね備えている。粘り強くカットしたと思いきや、突如攻撃に転じるスタイルは観る者を魅了するプレースタイルだ。
試合は、ドライブで攻める黄鎮廷とカットで守る村松の構図で進み、長いラリーの応酬となった。ダイナミックなラリーの連続に観客たちも大盛り上がり。2ゲームずつを取り合い迎えた5ゲーム目。要所で攻撃を交え、点を重ねた村松がゲームオールデュースの大接戦を制し、琉球に貴重な勝ち星をもたらした。
試合後、村松は「こんなに卓球が盛り上がるのかとびっくりした。今日はすごく楽しかった。夢みたいでした」とTリーグ初勝利を振り返った。
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4番:神巧也 3-2 朱世赫
写真:神巧也(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
4番シングルスは、ドライブマンの神とカットマンの朱の対戦となった。朱は2003年の世界卓球パリ大会で銀メダルを獲得している実力者だ。感情をむき出しに試合をする神と常に冷静な表情で守る朱の対戦であった。
インタビューで「やれることをやっただけ」と神が語ったように、神は朱のカットをほとんどフルスイングで攻め立てた。
一般的には、ツッツキやストップなどドライブ以外の技術を使い、カットマンを前後左右に揺さぶりつつ攻める展開が多い。しかし、それらの技術を使わずにドライブで押し切る神。1本1本のラリーに会場はどよめき、歓声を上げた。
1ゲーム目は、中盤まで互角の展開で進んでいくも、朱が攻撃を織り交ぜリードを広げ、このゲームを先取した。朱の攻撃は試合を通して100%近く得点につながっていた。
2ゲーム目からは神のドライブがとまらない。朱は持ち前の広い守備範囲で神の攻撃を何本も何本も拾うも、最後に点を取るのは神。この展開は3ゲーム目まで続き、カット打ちにミスのない神が2ゲーム連取。T.T彩たまの勝利まであと1ゲームとした。
4ゲーム目は、朱が大きく戦術を変える。バックサーブを多用し、打てるボールはすべて打ちにいき、このゲームを朱が取り最終ゲームへ。
最終ゲームは6-6から始まる。このゲームは神もこれまでのドライブを繰り出し、9-6とリードを広げる。朱も攻撃を試みたが、神がうまくチキータやストップを使い、朱の攻撃を封じる。9-10と1点差まで朱が追い上げたが、最後は神が逃げ切り、3-2で神の勝利となった。
神はTリーグ初勝利とともに、今シーズンのT.T彩たまとしても初勝利に貢献した。
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ピッチフォード 試合後コメント
写真:リアム・ピッチフォード(T.T彩たま)/撮影:ラリーズ編集部
最後まで緊張したけど勝てたし、Tリーグは初めてだったが全体的に良かった。
最後10-10になって、バック対バックの展開を作ろうとした。デュースに入ってからサーブがうまくいかなかったが、12-11のときにロングサーブをバックに出したのがよかった。
(Tリーグ参戦の理由・Tリーグの印象について)
世界のトップ選手がいて、強い選手と試合していくことが来年の東京五輪にもつながる。
ヨーロッパのリーグのほうがお客さんも少ない。Tリーグはよりプロフェッショナル。演出もTリーグのほうがプロフェッショナルな印象がある。
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スコア:T.T彩たま 3-1 琉球アスティーダ
◯黄鎮廷/平野友樹 2-0 李平/木造勇人
11-5/11-9
◯リアム・ピッチフォード 3-2 吉村真晴
11-10/7-11/7-11/11-8/13-11
黄鎮廷 2-3 ◯村松雄斗
8-11/11-6/10-11/11-9/10-12
◯神巧也 3-2 朱世赫
7-11/11-7/11-7/8-11/11-9