文:ラリーズ編集部
<卓球・ノジマTリーグ2020-2021シーズン 12月11日(金)>
木下マイスター東京(以下、KM東京)が2連覇中の王者の底力を見せつけた。
11日、Tリーグサードシーズンの男子の試合が行われ、KM東京がT.T彩たま(以下、彩たま)をマッチカウント3-2で下した。水谷隼、侯英超のダブルエースが敗れながらも手に入れた価値ある1勝となった。
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侯英超、水谷隼がまさかの敗戦
第1マッチのダブルスを簡単に奪ったKM東京。第2マッチには昨季のMVPである侯英超(ホウエイチョウ)、第3マッチには東京五輪代表の水谷のダブルエースをオーダーし、盤石かと思われた。
写真:水谷隼(木下マイスター東京)/提供:©T.LEAGUE
しかし、侯英超が“逆輸入カットマン”英田理志(彩たま)に、水谷がギリシャのベテランカットマン、パナギオティス・ジオニス(彩たま)にまさかの連敗を喫してしまう。
写真:侯英超(木下マイスター東京)/提供:©T.LEAGUE
第4マッチも及川瑞基(KM東京)が彩たまのキャプテン神巧也に2ゲームを連取され、KM東京は万事休すかと思われた。
及川の真骨頂 逆転勝ちで望みをつなぐ
ここから及川が驚異の粘りを見せる。以前、男子日本代表の倉嶋洋介監督が「弱点が少なく選手にとってはやりづらい」と評したように及川はラリーで簡単なミスをせず、要所の細かいプレーでも着実に自分の展開に持ち込んでいく。
写真:及川瑞基(木下マイスター東京)/提供:©T.LEAGUE
最後はフルゲーム18-16のシーソーゲームをものにし、ゲームカウント0-2から大逆転勝利を飾った。簡単なミスをせず、追い込まれてもポーカーフェイスでじわじわと追い上げた及川の真骨頂の出た試合となった。
試合後、及川は「自分が負けるとチームが負けるという状況で最初は少し硬かった。3ゲーム目からは足が動くようになって、思い切って戦術も変えていけた」と冷静に振り返った。
VMのみ起用の大島が男を見せる
マッチカウントは2-2となり、勝負は1ゲーム勝負のビクトリーマッチ(VM)へ。KM東京はここで、今回の試合に出場していない大島祐哉をVMのみで起用した。対する彩たまからは、侯英超を下し勢いに乗る英田が登場した。
写真:英田理志(T.T彩たま)/提供:©T.LEAGUE
名将・邱建新監督(KM東京)は大島起用の意図をこう語る。「4番に神が出てきた。ビクトリーマッチに回るなら神は負けたということだから、(彩たま側は)神の起用はないだろう。そうであればカットマンのジオニスか英田。カットマンに強いのは大島だったから起用した。予想通り」。
大島も監督の期待に応えるように最後は6連続ポイントで英田を撃破し、何度も拳を握り締めた。今回は腰痛で欠場となった張本智和、昨季MVPの侯英超、東京五輪代表の水谷と層の厚いKM東京でなかなか出場機会に恵まれない中、大島にとっても大きな1勝となった。
写真:大島祐哉(木下マイスター東京)/提供:©T.LEAGUE
「1本目から気持ちを入れて試合に入った」
試合後、大島は「まずは気持ちが一番。及川君がいい試合で繋いでくれたので、1本目から気持ちを入れて試合に入った。前日から、5番まで回ってきたらいくぞと(監督に)言われていたから準備していた。今日も侯英超と練習してました」と入念な準備があったことを明かす。
写真:大島祐哉(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
1ゲームのみの試合出場と難しい戦いが要求されたが「ジャンプやランなど激しいアップをして心拍数を上げて試合に臨んだ」とやるべき調整に取り組み、見事なパフォーマンスを発揮した。
写真:大島祐哉(木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部
カットマンではあるが、攻撃の割合も多いオールラウンダーの英田が相手だったが、「動画を見て、英田選手のサーブにみんな苦労していた。うまくレシーブして、とにかくカットに持ち込もうと思っていた。そこまで上手くはいかなかったが、足を動かしてラリーに持ち込んで得点できた」と会心の勝利を振り返った。
水谷、侯英超というダブルエースが敗れても勝ち切れるKM東京。2連覇中の王者たる所以が垣間見える名ゲームとなった。
写真:勝利した木下マイスター東京メンバー/提供:©T.LEAGUE
木下マイスター東京 3-2 T.T彩たま
〇水谷隼/田添健汰 2-0 篠塚大登/曽根翔
11-5/11-7
侯英超 1-3 〇英田理志
11-4/4-11/6-11/7-11
水谷隼 2-3 〇パナギオティス・ジオニス
11-6/9-11/11-3/6-11/8-11
〇及川瑞基 3-2 神巧也
8-11/7-11/11-7/11-3/18-16
〇大島祐哉 1-0 英田理志
11-6
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