文:石丸眼鏡
2019-2020シーズンのレギュラーシーズンを終えたTリーグ。プレーオフファイナルの開催延期もあり、主要タイトルであるシーズンMVPやダブルスベストペア賞などは未だ決定していない。
今回は、個人単位でのダブルス成績にスポットを当て、複数のペアで結果を残しダブルスでチームに貢献している選手(ダブルスの鬼)を探してみた。
ダブルスでチームを支える選手を探せ
写真:木原・長﨑ペア/提供:©T.LEAGUE
Tリーグ1stシーズンでは、木下アビエル神奈川の“ダブルみゆう”ペア(長﨑美柚/木原美悠)がまさに“ダブルスの鬼”といえる成績を収めた。2019年のグランドファイナルでの優勝をはじめ、国際大会でも輝きを放つ新進気鋭の若手ペアの2人だが、実はTリーグの試合では他のペアでも結果を残している。
“ダブルみゆう”ペアでも6勝2敗という好成績だが、長﨑は森薗美月らともペアを組んで合計10勝3敗。木原は石川佳純とのペアでも3戦全勝で合計9勝2敗(成績はTリーグ2018-2019レギュラーシーズンのもの)。昨シーズンの木下アビエル優勝の原動力になったことは間違いない。
今シーズンの彼女たちの成績はどうだったのだろうか。また、新たな“ダブルスの鬼”が誕生したのかを調べてみた。
>>ダブルスを制す者がTリーグを制す 卓球団体戦のキーは1番ダブルス
ベストペア候補選手たちの個人成績をチェック
写真:宇田幸矢(左)・田添健汰(ともに木下マイスター東京)/提供:©T.LEAGUE
Tリーグ2019-2020シーズンのダブルス成績から、ベストペア賞が有力視されるのは以下のメンバーだ。
男子
田添健汰/宇田幸矢(木下マイスター東京) 6勝2敗
町飛鳥/森薗政崇(岡山リベッツ) 6勝2敗
女子
長﨑美柚/木原美悠(木下アビエル神奈川) 5勝2敗
李皓晴(リホチン)/黄郁雯(ファンユーウェン)(日本ペイントマレッツ) 5勝2敗
上記の成績は、このペアでの戦績となっている。だが、長いリーグ戦の中では他のチームメイトとダブルスを組んで試合に出場することも少なくない。彼らを含め、ダブルス成績をペア問わず個人単位でまとめたものがこれだ。
ダブルスの鬼候補 男子
田添健汰 11勝4敗 勝率73.3%
宇田幸矢 6勝3敗 勝率66.7%
町飛鳥 7勝4敗 勝率63.6%
森薗政崇 8勝9敗 勝率47.1%
黄鎮廷 6勝2敗 勝率75.0%
ダブルスの鬼候補 女子
長﨑美柚 5勝5敗 勝率50.0%
木原美悠 5勝6敗 勝率45.4%
李皓晴 7勝5敗 勝率58.3%
黄郁雯 7勝3敗 勝率70.0%
前田美優 8勝5敗 勝率61.5%
鈴木李茄 8勝5敗 勝率61.5%
写真:李皓晴(リホチン)と黄郁雯(ファンユーウェン)/提供:©T.LEAGUE
他のペアとの成績も加味してみると、ダブルスでの貢献度の評価は変わってくる。特に、木下マイスター東京の田添、T.T彩たまの黄鎮廷、日本ペイントマレッツの黄郁雯は、70%以上の高勝率をマークしている。
一方、昨シーズン上田仁とのペアでベストペア賞を受賞した岡山リベッツの森薗は今季のダブルス成績では負け越しという意外な結果に。”ダブルみゆう”ペアもダブルス全体でみると昨シーズンに比べ成績を落としている。
Tリーグ“ダブルスの鬼”はこの選手!
写真:木下マイスター東京の丹羽孝希(左)、田添健汰ペア/提供:©T.LEAGUE
上記の成績から、今シーズンの“ダブルスの鬼”は男子は田添健汰、女子は前田美優としたい。
田添は全日本優勝の宇田、東京五輪代表候補の丹羽孝希、ポルトガルのエース、マルコス・フレイタスと3人のサウスポーに加え、右腕の大島祐哉ともペアを組んで好成績を収めた。
写真:前田美優・赤江夏星ペア/提供:©T.LEAGUE
前田もベストペア予想でこそ名前が挙がらないものの、陳思羽、森さくら、平野美宇、赤江夏星の4人とペアを組みコンスタントに勝ち星をあげている。
ワールドツアー日程との兼ね合いや、海外選手の存在など、Tリーグの試合では全選手が揃って戦うことが難しいこともしばしばある。
そんな中で、誰とペアを組んでも成績を残すことができる選手の貢献度は高い。
更に、団体戦を戦う中で、1番手のダブルスで勝利を収めることは非常に重要だ。
シングルスで勝つことができるチームのエースに目が向きがちだが、シーズンを通して考えてみると、隠れたMVPは案外ダブルスに存在するのかもしれない。