文:ラリーズ編集部
今回は、2023年アジア選手権で王楚欽(ワンチューチン)を下してベスト8に輝いた、田中佑汰について紹介します。プロフィール、プレースタイル、使用用具などの基本的な情報から、国内大会、国際大会での戦績についても触れています。
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このページの目次
田中佑汰とは?
田中佑汰は中学3年生で全日本中学卓球選手権(以下、全中)のシングルスで準優勝を果たし、その後、愛工大名電高校では1年生からレギュラーとして出場。インターハイでもシングルス、ダブルス共に3年間安定して結果を残し続けるなど、若くして才能を発揮している選手です。
田中佑汰のプロフィール
田中佑汰(たなかゆうた)は2000年11月18日生まれの23歳(2024年11月時点)で、熊本県熊本市出身です。姉は元実業団選手で、2023年全日本選手権混合ダブルス準優勝の田中千秋さんです。
写真:田中千秋さん(写真は豊田自動織機所属時)/撮影:ラリーズ編集部
親が転勤族だったこともあり、幼少期は佐賀、福岡、千葉、熊本と全国を転々としていました。そして、千葉の千城クラブに通っていた姉の影響で自身も千城クラブで卓球をはじめ、熊本に引っ越ししたあとは、名門・城山ひのくにジュニアに加入します。
しかし、小学生時代は今ほど本格的に卓球に打ち込んでいたわけではなく、小学6年生のときに、現ジュニアナショナルチームコーチの松下雄二さんに、「本気でやってみないか?」と声をかけられ、そこから練習に励むようになります。
小学校卒業後は名門・愛工大名電中学校に入学し、中学3年時に全中男子シングルスで準優勝するなど輝かしい成績を残しました。
写真:田中佑汰/撮影:ラリーズ編集部
そして、高校もそのまま愛工大名電高校へと進学し、1年生からレギュラーとして活躍。インターハイでは3年連続学校対抗優勝、3年連続シングルスベスト4以上、ダブルスは優勝2回、準優勝1回と文句のつけようがない安定した成績を残しました。
大学は愛知工業大学に入学し、全日学ダブルスで優勝するなどの活躍を見せています。2021年のインカレでも、2020年全日本王者の宇田幸矢をストレートで下す活躍を見せ、愛知工業大学のインカレ優勝に大きく貢献しました。そして、2022年の全日学では悲願のシングルス初優勝を果たしました。
写真:木造勇人(写真左)と田中佑汰/撮影:ラリーズ編集部
そんな田中は国際大会でも活躍しています。2018年のベラルーシオープンではダブルス優勝、2019年のブルガリアオープンでは元世界ランク1位のブラディミル・サムソノフ(ベラルーシ)に勝利。そして、2021年のWTTフィーダーデュッセルドルフと2022年のWTTフィーダーウェストチェスターではシングルスベスト4入りを果たし、世界でも通用する高いポテンシャルを示しています。
2020年にはTリーグに岡山リベッツから初参戦し、シングルスで2勝2敗の成績を残しました。
写真:田中佑汰/提供:WTT
2021年はドイツ・ブンデスリーガ1部のバート・ホンブルクに所属し、自身初のブンデスリーガ参戦を果たします。チームは1年で2部降格となってしまいますが、田中個人はマティアス・ファルク(スウェーデン)、ダルコ・ヨルジッチ(スロベニア)といった実力者を撃破するなど躍動し、シーズン7勝3敗の好成績を残しました。
そして、2022年からはフランスリーグプロA(1部リーグ)のシャルトルに移籍しました。さらに、同年10月に開催された第3回パリ五輪代表国内選考会(TOP32船橋大会)では、並み入る実力者を次々と撃破し、男子シングルス準優勝に輝きました。
このように国内外で着実に結果を残してきた田中は、2023年2月に開催されたWTTフィーダーデュッセルドルフⅡで優勝を果たし、日本男子4人目となるWTT大会シングルス優勝の快挙を成し遂げました。
大学卒業後の2023年は、日本リーグ1部の日鉄物流ブレイザーズのゴールド選手として日本リーグに参戦することが発表され、Tリーグでも2023-2024シーズンからの新設チームである金沢ポートに移籍することも発表されました。
そして、同年には、アジア選手権に出場。自身初となるシニアでの日本代表の試合となったこの大会では、男子シングルス2回戦で世界ランキング2位(当時)の王楚欽(ワンチューチン・中国)を下す大金星を挙げ、ベスト8入賞を果たしました。
2024年には自身初の世界選手権日本代表に選出され、予選リーグのマダガスカル戦でデビュー戦白星を飾りました。
田中佑汰のSNS
X(旧Twitter)
やりました。
やってやりました。
1戦目は自分が負けを呼び込んだだけに非常に悔しい思いをしましたが、2戦目でリベンジ出来てなにより。😌これで気持ち良く隔離出来る。
シャウラ🔥🏹 pic.twitter.com/r0UZJgh6Ml
— 田中 佑汰 (@YoutaAce1118t) December 22, 2021
田中佑汰のプレースタイル
田中佑汰の戦型は、右シェーク裏裏ドライブ型で、得意技術は、本人が「立ち位置関係なく打てる」と自信を覗かせる、ハイレベルなバックハンドです。その技術力は、元日本代表監督で現在はTリーグ木下マイスター東京の総監督を務める倉嶋洋介氏が、「田中佑汰のバックハンドは世界レベル」と認めるほどです。
田中佑汰の使用用具
バタフライの契約選手である田中佑汰は、ラケットはバタフライの『オフチャロフインナーフォース ALC』、ラバーは両面にバタフライの『ディグニクス05』を使用しているようです。
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田中佑汰の世界ランキング
田中佑汰のランキングは51位(2024年11月時点)で、最高ランキングは44位(2024年10月)です。
2018年7月時点では世界ランキング245位だったものの、1年後の2019年6月には139位へと急激なランクアップを果たしました。その後も少しずつランキングを上げており、今後国際大会への出場が増えればランキングはさらに上がっていくでしょう。
田中佑汰の国内大会での主な戦績
2015年 | 全中 | 男子シングルス:準優勝 |
2016年 | インターハイ | 男子シングルス:3位、男子ダブルス:優勝(ペア:髙見真己)、男子学校対抗:優勝 |
2017年 | 全日本選手権 | 混合ダブルス:ベスト8(ペア:田中千秋) |
2017年 | インターハイ | 男子シングルス:3位、男子ダブルス:準優勝(ペア:加山裕)、男子学校対抗:優勝 |
2018年 | インターハイ | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス優勝(ペア:加山裕)、男子学校対抗:優勝 |
2021年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:3位 |
インカレ | 男子団体:優勝 | |
2022年 | インカレ | 男子団体:準優勝 |
全日学 | 男子シングルス:優勝 | |
TOP32船橋大会 | 男子シングルス:準優勝 | |
2023年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:ベスト8、混合ダブルス:準優勝(ペア:田中千秋) |
TOP32平塚大会 | 男子シングルス:4位 | |
2024年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:ベスト8 |
田中佑汰の国際大会での主な戦績
2017年 | 世界ジュニア選手権 | 男子ダブルス:銅メダル(ペア:宇田幸矢)、男子団体:銀メダル |
2018年 | ベラルーシオープン | 男子ダブルス:優勝(ペア:曽根翔) |
2019年 | タイオープン | U21男子シングルス:ベスト4 |
ベラルーシオープン | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:木造勇人) | |
2021年 | WTTフィーダーデュッセルドルフ | 男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:優勝(ペア:横谷晟) |
WTTコンテンダーラシュコ | 男子ダブルス:準優勝(ペア:木造勇人) | |
2022年 | WTTフィーダーウェストチェスター | 男子シングルス:ベスト4 |
2023年 | WTTフィーダーデュッセルドルフⅡ | 男子シングルス:優勝 |
アジア選手権 | 男子シングルス:ベスト8、男子団体:5位 | |
2024年 | WTTフィーダーカッパドキア | 男子シングルス:優勝 |
WTTコンテンダーリオデジャネイロ | 男子シングルス:3位 | |
WTTコンテンダーメンドーサ | 混合ダブルス:優勝(ペア:長﨑美柚) | |
WTTコンテンダーアルマトイ | 混合ダブルス:ベスト4(ペア:長﨑美柚) |
まとめ
愛工大名電高校時代には1年生からインターハイで結果を残し、世界レベルのバックハンドを武器に戦う田中佑汰。最近では国際大会でも結果を残しており、存在感が増しています。今後の活躍にも期待が高まります。