戦型:右ペン表裏
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
今回のテーマは、1人でできる卓球マシンを使った練習方法だ。
卓球マシンとは野球のピッチングマシンのように、回転やコース・スピードを指定したボールを機械から発射させることができるものだ。練習相手がいないときや、初心者同士で多球の球出しがうまくできないときなど、卓球マシンがあれば非常に有意義な練習ができる。
今回はそんなマシンを使った練習について、考え方やおすすめの練習方法といったテーマで考えていく。
このページの目次
卓球マシンを使った練習の2つの考え方
特定のひとつの技術の練習をする
まずはシンプルな活用法として、特定のひとつの技術を練習するという考え方だ。
「バック側への下回転ボールをバックドライブ」「フォア前へのナックルボールをフリック」等々、あなたが課題としている特定の技術を習得するためにマシン練習はうってつけだ。ラケット角度やスイングだけではなく、しっかりと一球ごとに元の位置に戻って、しっかりと足運びもセットで意識をして練習することを心がけよう。
写真:卓球マシン練習/提供:写真AC
またもちろん、特定の技術を新しく習得するというだけでなく、その技術の質や精度の向上に使うのもよいだろう。30球で設定してその25球を入れるのを目標にする、といった具合でやるのもいいし、あるいはクロス、ストレート、ミドル、もしくはサイドを割るなどといった厳しいコースを狙う練習として行うのもおすすめだ。
負荷を高めた練習をする
次にやってみたいのが、あえて負荷を高めた練習をするという考え方だ。
たとえば上回転のロングボールを実戦ではあり得ないようなピッチで送球して、それを連続で打っていくなどだ。ピッチを早めることでよりコンパクトなスイングになるし、打ったあとの戻りが早くなり、さらに体のキレが上がるといった効果があるので非常におすすめである。
もしくは回転量をMAXに設定した下回転のボールを出して、それをドライブで攻撃する練習などもよいだろう。マシンで回転量を最大限にしたボールを打っていれば、実戦で飛んでくるのはおそらくそれよりも回転の弱い下回転になるので、楽に攻撃ができるようになるはずだ。
具体的な練習方法
さてここからはより具体的な練習方法についてだ。私が今マシンで練習ができるとなったら、ぜひやりたいメニューを考えてみた。
下回転の全面打ち
まずは下回転のボールの全面打ちだ。文字通り全面にランダムで下回転のボールを出し、それをドライブで攻撃する練習である。
全てフォアハンドドライブで、毎回同じ打球ポイントで打てるよう細かく足を微調整することが大切だ。簡単なように見えて、20球30球とやるとかなり「キツイ」練習になるので、終盤でも体勢を崩さずしっかりと腰を落とし、低い姿勢を保つことに注意しよう。もちろんバックを振る選手なら、バックドライブも織り交ぜてやっていこう。
下回転のボールにドライブで攻撃する、というとても基本的な技術ではあるが、コースによっては苦手な場所もあるだろう。どこに来ようとも、確実に自分のボールにできるように足運びとドライブ技術を磨いておこう。
ハーフロングのボールに対してのドライブ
続いておすすめなのが、ハーフロングのボールへの処理だ。
下回転やナックルのボールを、台から出るか出ないかギリギリの位置に出すようにして、そのボールにドライブをかけていくという練習だ。これは相手のショートサーブやストップが台から出たときに、それを見逃さず確実に先手を取って攻めるために絶対に必要となる技術だ。
特に初級者中級者レベルだと、ショートサーブをきっちり台上に収めることができる選手は実はほとんどおらず、大抵は台から出ているはずだ。絶好の攻めるチャンスなのだが、それに気付かずに台上でツッツキなどのレシーブをしていたのでは、非常にもったいない。
なので台から出るか出ないかを見極めて、出るボールには確実にドライブをかける、というのは特におすすめしたい練習だ。
注意する点としては、ドライブをする際にバックスイングを低くしないことだ。こうすると上に擦り上げるドライブとなるので、山なりのドライブしかできなくなるのだ。なのでなるべくラケットは高い位置を保ったままでバックスイングを取り、打てると判断したら上ではなく前に振ってボールを擦り上げるようにしたい。
ちなみにサーブでも多球練習でも、練習相手がハーフロングでちょうど出るか出ないかのボールを送球するのは実は結構難しい。その点はマシンを使えばほぼ毎回同じボールを出すことができるので、マシン活用にはぴったりの練習だと言える。
全面の強打に対してのブロック
最後にやりたいのがブロックの練習だ。
自分がチャンスボール出してしまったときも、相手の強打を1本凌ぐことができるかどうかで勝負の行方は大きく左右する。ぜひとも前陣で強打をブロックする練習をやっておきたい。通常の構えの位置より1歩分下がった位置で構わないので、全面にスピードのあるボールを出して、それにしっかりとラケットを合わせていこう。
このときのラケット基本的にはバック待ちだ。なるべくラケットを高い位置で保って、来たボールに合わせてラケットを出していく。フォア側に来たときも、なるべくラケットは最短距離を通って動かし、フォア面で角度を作ってブロックだ。
また、ミドルに来たボールに対しては、比較的身長の高い選手ならバックハンドで、低い選手ならフォアハンドの面を出すことをおすすめする。もちろん個々によって得意不得意はあるので、一つの参考としてもらえればと思う。
まとめ
今回は卓球マシンを使った練習の考え方や具体的なメニューについてお伝えしてみた。今は各メーカーから色々な機種が販売されており、価格帯や機能も様々である。
もちろん最新のもので高価格帯のものの方が機能が充実していることは言うまでもないが、古いものであっても工夫次第で良い練習になるはずだ。練習場にマシンが眠っているというのももったいないので、これを機にぜひマシンを使った練習に取り組んでみてはいかがだろうか。
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