卓球の横回転サーブの打ち方 順横回転と逆横回転の比較も|卓球基本技術レッスン | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球技術・コツ 卓球の横回転サーブの打ち方 順横回転と逆横回転の比較も|卓球基本技術レッスン

2019.07.04

この記事を書いた人
初級者、中級者向けに基本技術の説明から、戦術論や卓球コラムまでを執筆。社会人になってから5回全国に出場し、全日本卓球選手権(マスターズの部・男子30代以上の部)ではベスト64。まさに“頭で勝つ!”を体現中。
戦型:右ペン表裏

卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」

前回は初心者の方向けに、基本的なサーブの心構えと、シンプルな下回転、ナックル回転のサーブの出し方を説明した。

今回はさらにバリエーションを増やす為に、順横回転及び逆横回転、といった2種類の横回転サーブの出し方をお伝えする。初心者の中では強力な武器になってくれることは間違いないので、ぜひとも習得して頂きたい。

(特に記述がない限り、右利きのシェークハンドの選手を想定している)

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順横回転サーブ

順横回転とは

順横回転とは、一般的に右回転、つまりサーバー(サーブの出し手)から見て時計回りに回転しているボールのことを指す。
この回転は、相手のバックサイドに食い込むような軌道になる。フォアハンドでのシュートドライブも、同じような軌道を描く。そして、ラケットに当たると、サーバーのバックサイド方向に飛んでいく格好になる。

なので、相手も初心者で単純なレシーブが来ることを想定すれば、こちらのバックサイドに返ってくる可能性が高い。それを待ち構えて3球目を狙い打つことが出来る。

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出し方

1.握り方、構え方

では順横回転サーブの出し方について見ていこう。まず、これまでの下回転やナックルのサーブの際と同様に、卓球台のエンドラインに対して横向きに構える。握り方は下回転や、ナックル回転のときと同様、人差し指と親指で挟みこむようにして持つ。そして、ラケットのヘッド(先端)を、床方向に少し傾ける。

2.回転のかけ方

そこから、自分の遠くからお腹側に、ラケットを引き込むようにスイングをする。イメージで言うと、手の平を上に向けて、自分のおへそにチョップするような感じだ。このようなスイング方向でボールに回転がかかると、順横回転がかかったサーブになってくれるのだ。

打球の際に、ラケットのヘッドを床に傾け過ぎると、空振りをしてまう。逆に、卓球台と水平な面を出し過ぎると、「ぽーんぽーん」という山なりのボールになるだろう。その中間をとる、丁度いい角度を自分で練習して編み出してみて欲しい。もちろん角度によって回転の種類が微妙に変わってくるのではあるが、まずは「出せる」ようになることが先決なので、ここは練習あるのみだ。

3.意識するポイント

・目で見ない

順横回転のサーブを出すコツとしては、なるべくおへそのすぐ近くで打球することである。やはり初心者の方は、サーブの際にはどうしても体の遠くで打球してしまいがちである。それは、ボールを「目で見たい」と思うあまり、自分の目に見える範囲で打球してしまうからだろう。

しかし、長年卓球経験のある選手たちは、実は打球する瞬間はボールは見ていない。自分の中でスイングと打球位置を染み込ませているので、見る必要がないのだ。

なるべく体の近くで打球する方が、より複雑で強い回転のサーブを出すことが出来る。しかし例えば、おへその真ん前でボールを打つその瞬間を目で見ようとすると、実はかなり窮屈になって、非常にやりにくいことに気付くだろう。したがって、最初から「目で見る」ことはせずに、なるべく「おへその前で打球する」という意識だけを強く持っておこう。

・最初は正面を向いて出す練習を

ただし、それだとどうしても空振りしてしまって、うまくいかないという方もいるだろう。そういった場合は、あらかじめ正面を向いた状態でやってみるといいだろう。体の正面で打つことで、打球の際のボールが少し見えやすくなる。少し不格好にはなるが、サーブの感覚をつかむためには効果的である。このやり方で感覚をつかんだら、徐々に横を向いて出せるように練習をしていこう。

ただ、もしこの正面を向いた格好でうまく出せるようになったら、これを実践で使ってももちろんオーケーだ。
正面を向いた状態からフォアで横回転サーブを出すという選手はあまり見かけないので、希少性が高まり、誰も持っていない武器になり得る。「一般的なサーブの出し方」というのをお伝えはしているが、「その通りにやらないといけない」なんてことは全くないので、この記事は参考程度にとどめて、ぜひ自分なりの必殺技を編み出していってほしい。

>>順横回転サーブの活用方法

逆横回転サーブ

逆横回転とは

続いて逆横回転のサーブだ。こちらは左回転、つまり反時計回りの回転となり、レシーバー(サーブの受け手)のフォア側に逃げていくような軌道を描く。フォアハンドのカーブドライブも同じような感じだ。また、近年よく見られる「YGサーブ」も同様である。

この回転は、単純にいけばサーブの出し手のフォア側へ飛んでいくような恰好となるので、3球目をフォア側で待ち受けて攻める、という戦術が有効となる。

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出し方

1.握り方、構え方

逆横回転サーブの出し方も色々とある。YGサーブなどは難易度がかなり上がるので、まずは初心者の方にも簡単な、「巻き込み」の逆横回転サーブについて解説したいと思う。

まずこれまで同様、卓球台に対して横向きに構える。そして、ラケット面は相手方向に向ける。このとき、シェークハンドなら、ラケットのヘッドが少し上を向く形になるだろう。少しラケットヘッドを下げて、手首と一直線になるようにすると出しやすい。その形で、右腰のあたりに構える。

2.回転のかけ方

そこから腰をひねりながら、ボールを打球する。イメージとしては、走るときの腕を振る動作に似ている。しかしあまり強く腕を振りすぎずに、しっかりと腰を回すことを意識しよう。このスイングで打球出来れば、ボールは逆横回転となって相手方向へ飛んでいってくれる。

3.意識するポイント

・右腰で打球する

このときもやはり、なるべく「体の近くで打球する」というのがポイントとなってくる。先ほどは「走るときの腕を振る動作」と表現したが、腕を振ることを意識し過ぎると、どうしても体の遠くでの打球になってしまう。これを防ぐためには、ラケットは右腰の位置に固定してしまって、腰の回転だけを使ってボールに当てるようにしてみよう。「腕で打つ」のではなく、「右腰で打つ」のだ。その方がコントロールも安定し、短いサーブになりやすい。

また、ラケットの面を相手方向に向け過ぎると、やはり空振りをしてしまうことも多く考えられる。なので最初は、ラケット面をやや天井に向けて、少しボールをラケット面に「乗せる」ようなイメージでやってみよう。これも最初は、「ぽーんぽーん」という山なりのボールになって構わない。山なりになっても、しっかり逆横回転がかかって、ボールが相手のフォア側に曲がっていく格好になればオーケーだ。

そこから、徐々にラケット面を立てていくと、低い軌道で飛んでいくようになるはずだ。

>>YGサーブの出し方とコツ

横回転サーブのデメリット

最後にデメリットにも触れておこう。横回転サーブは上手く活用できれば、非常に武器になる。ただし、相手が自分よりも実力の高い上級者だった場合は、逆に回転を利用された鋭いレシーブが返ってきたり、あるいはストップ、フリック、チキータ等、の様々なレシーブを打たれることも考えられる。一定のレベルには効いても、それ以上のレベルとなると、逆に相手のお膳立てをしてしまうような事態にもなりかねないのだ。

そういった場合に一番有効なのは、やはりシンプルな下回転のサーブだ。下回転がしっかりとかかっていて、低く短く出すことが出来れば、強いレシーブを打つことは非常に難しくなるので、それだけで相手の思い通りにはさせない作戦が取れるのだ。

なので、下回転のサーブがしっかり出せるようになることは、初心者にとっては最重要課題なのである。

>>勝てる下回転サーブとナックルサーブの出し方

まとめ

今回は順横回転、逆横回転サーブの特徴と出し方についてお伝えした。デメリットもあるものの、対初心者にとってはそれだけで勝負を決められるくらいに有効な技術だ。

したがって、まずは順横回転と逆横回転、どちらか一方だけでも確実に出せるように練習しよう。さらにそのあとは、少し下回転も入った。順横、少し上回転も入った順横、さらには早いロングサーブでの順横、というように回転の種類を使い分けられるようになれば、万々歳だ。

新しいサーブを覚えたくなる気持ちも尤もではあるが、実は同じ種類のサーブを似たようなモーションで、回転の出し分けが出来るようになる方が、上達への近道となる。

色々なことを述べてしまったが、改めて言う。卓球は回転のスポーツだ。そしてその回転という要素を最も有効に使えて、唯一相手に邪魔されず、自分の思い通りのことが出来るのが、「サーブ」だ。ゆえに、サーブには選手ひとりひとり、無限の可能性を秘めている。

ぜひたくさんサーブ練習をして、勝てる選手にいち早く近づいていって欲しい。

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