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平野友樹からの電話「僕らにできることないですか」
きっかけは、8月末、協和キリンの平野友樹からの1本の電話だった。
「大会のなくなった高校生たちに、僕ら協和キリンの選手で何かできることはないでしょうか」
写真:平野友樹(協和キリン)/撮影:ラリーズ編集部
全国選抜、インターハイと全国大会がなくなり、都道府県単位での予選も中止となっていた。
なんとか高校生たちに、代わりの大会を用意する方法はないか。
全国各地の有志たちの手で企画、実施され始めた頃だった。
その試みを、協和キリンとして何か応援できないか。
高校時代、野田学園で切磋琢磨した平野友樹の切実な思いだった。
ただ、実業団チームはそれぞれの会社を背負った存在でもある。
その社会的な責任を鑑みても、コロナ禍において、実際に高校生と対面・接触することは難しかった。
「京都の代替大会映像を観てもらうのはどうだろう」
ラリーズ編集部で声が上がった。
京都代替大会とは
東山高校卓球部・宮木操監督の呼びかけのもと、8月18日・19日に京都で開催された、3年生も参加した高校総体の代替大会のことである。
写真:京都府下の高校が参加し、熱戦を繰り広げた/撮影:ラリーズ編集部
無観客開催であったが、その志に共感したLaboLiveが、地方大会1回戦からの全試合をインターネット中継して話題を呼んだ。そのアーカイブ映像が残っていたのだ。
LaboLiveに相談したところ、二つ返事で承諾してくれた。
トップ選手の「見る目」
平野友樹とラリーズ編集部でLaboLive本社に赴き、試合映像を観た。
“一緒に観ながら考えよう”と、平野友樹、LaboLive、ラリーズ編集部で数試合観ていたとき、平野がぼそっとつぶやいた。
「あの1本、ミドルに打てれば流れ変わってましたね」
そうだろうか。
事実、巻き戻して平野の解説と共に前後を見直すと、確かにその1点はその後の展開を左右するもので、それがラリー中のコースの問題だと平野にはすぐにわかったのだ。
トップ選手の、試合の流れや技術を「見る目」を改めて実感した。
であれば、協和キリンの選手が試合動画を観て気づいたことを高校生たちに向けて解説・アドバイスすることが、高校生自身の今後に役立つのではないか。
写真:男子シングルスで優勝した星優真(東山高校)/撮影:ラリーズ編集部
松平賢二から予想を超える尺が
「男子決勝は賢二さんにアドバイスしてもらいましょう」
「左の選手だから、この試合は硴塚に」
ひと通り試合を観た平野が、それぞれの試合に適任のチームメイトを割り振っていく。
協和キリンの各選手たちから、真剣に解説・アドバイスをする動画が送られてきた。
松平賢二からは特に、予想を超える尺で熱の込もった内容だったので、松平だけで1本の動画にした。
写真:全日本選手権での松平賢二(協和キリン)/撮影:ラリーズ編集部
「高校生にとって、押し付けがましくならないといいんですが」
心配する協和キリンの選手らに、今度は高校生から感謝のコメントが届いた。
「トップ選手の方にアドバイス頂いて本当に嬉しいです」(福知山成美高校 大槻愛花)
「いつも悪いところがわかっていても改善策がわからなかったので、詳しく説明していただいてわかりやすかったです」(龍谷大平安高校 杉永百々香)
「自分の特徴や克服していかないといけない点が理解できました」(東山高校 芝優人)
写真:女子シングルスで優勝した大槻愛花(福知山成美高校)/撮影:ラリーズ編集部
この状況下でも、少しの工夫で私たちは交流できる。
少しでも卓球をうまくなりたい、その意味では同じ卓球仲間だからだ。
日本卓球リーグ熊本大会、開幕
次は協和キリンの番だ。
写真:2018年JTTLファイナル4の様子/撮影:ラリーズ編集部
実業団チームにとって待望の大会、「2020年度後期日本卓球リーグ熊本大会」が11日から始まる。
無観客でも、心は繋がる。
卓球ができることのありがたさ。
特別な思いを背負って、創立40余年の日本リーグの幕がいよいよ開く。
動画はこちら
1本目:解説・アドバイス 松平賢二
「松平賢二が熱血解説!星優真(東山高)vs富澤俊(東山高)」
2本目:解説・アドバイス 岩渕幸洋、後藤卓也、硴塚将人
「後藤卓也、岩渕幸洋、硴塚将人が徹底解説!実業団・協和キリン選手が高校生の試合を分析」
3本目:解説・アドバイス 平野友樹、渡辺裕介
「平野友樹、渡辺裕介(協和キリン)が解説!京都府夏季卓球大会女子シングルスを徹底分析!」