文:ラリーズ編集部
今回は、15大会連続で世界選手権に出場している台湾女子代表の大黒柱・鄭怡静(チェンイーチン)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
このページの目次
鄭怡静とは?
鄭怡静は、2008年からU21でトップクラス成績を出し、シニアの部に出てからも上位進出を続けている選手です。女子ワールドカップではベスト4に入賞した経験もあり、世界トップクラスの技術を持つ選手の一人です。
台湾代表チームの要として活躍するだけでなく、Tリーグにもトップおとめピンポンズ名古屋の一員として参戦しています。
鄭怡静のプロフィール
鄭怡静(チェンイーチン)は1992年2月15日生まれの32歳(2023年4月時点)で、台湾の台南市帰仁区出身です。父親はバレーボール選手、母親は陸上選手というアスリートの両親のもとに生まれ、卓球選手だった姉の影響で9歳から卓球を始めました。中学生になってからは、江宏傑(ジャンホンジェ・チャイニーズタイペイ)ら男子選手と一緒に練習していました。
写真:鄭怡静(チェンイーチン・チャイニーズタイペイ)/提供:ittfworld
2004年にジュニア代表に選出されると、2年後の2006年の世界選手権ブレーメン大会では、台湾女子卓球史上最年少の14歳で台湾代表入りを果たしました。このブレーメン大会以降、鄭怡静は2022年の成都大会まで15大会連続で世界選手権に出場を続けています。
若くしてシニアの大会に出場していた鄭怡静ですが、最初の数年間は目立った成績を残せていませんでした。しかし、2012年のグランドファイナルで女子ダブルス準優勝を果たすと、そこから徐々にトーナメントを勝ち上がるようになっていきます。
そして、2016年には念願のオリンピック代表に選出されリオ五輪に出場。女子シングルスでは準々決勝まで勝ち上がるも、当時世界ランキング1位だった李暁霞(リシャオシャ・中国)に敗れ、惜しくもメダル獲得を逃します。しかし、同年のワールドカップでは女子シングルスで準優勝を飾るなど、確実に世界トップレベルの選手へと成長していきました。
写真:林昀儒(リンユンジュ)と鄭怡静(チェンイーチン・チャイニーズタイペイ)/提供:ITTF
以降も数々の大会で表彰台に上がることとなった鄭怡静ですが、特に林昀儒(リンユンジュ・チャイニーズタイペイ)と組んだ混合ダブルスでは数多くの大会で優勝を飾り、2021年に開催された東京五輪では銅メダル決定戦に勝利し、自身初の五輪メダルを獲得。また、この銅メダルは台湾出身の選手が卓球競技で獲得した初のメダルとなりました。
写真:鄭怡静(トップおとめピンポンズ名古屋)/提供:©T.LEAGUE
Tリーグにはトップおとめピンポンズ名古屋から計4シーズンに渡って参戦し、5thシーズンにはシングルスで12勝を挙げて、チーム初のセミファイナル進出に大きく貢献しました。
自身のInstagramには、トレーニングの様子から、キャラクターグッズの写真などが投稿されています。こちらにも注目です。
鄭怡静のSNS
鄭怡静のプレースタイル
鄭怡静の戦型は右シェーク裏裏の攻撃型で、中陣での男子顔負けの威力を誇る両ハンドドライブと、中陣を縦横無尽に駆け回ることができる俊敏なフットワークが特徴です。中でもバックハンドはコースの打ち分けをすることも可能で、ラリーでは簡単にミスをしない選手です。
女子卓球もプラスチックボールへの変更で変化しました。1つは、球の速度が遅くなったことで女子選手も中陣まで下がってプレーがしやすくなりました。それまではボールも速いうえ、互いに前陣で戦うことが多かったため代から下がれるほどの時間はありませんでしたが、プラスチックボールになってからは中陣や後陣でプレーをする選手が多くなりました。
もう1つは用具です。男子卓球でも同じように、回転の変化で勝負することが多くなったので、粘着性ラバーや硬いラバーを使う選手が増えてきています。そして、伊藤のように表ソフトを使う選手やカットマンも回転の変化をつけることが容易になり、戦いやすくなりました。
鄭怡静は、元々あったフットワークとパワーに加え、用具を変えたことでさらに力強いプレーをすることが可能になりました。俊敏なフットワークで自分の最適な打球ポイントまで身体を持っていくことができるようになり、充分な体勢でドライブを打つことができます。
鄭怡静の使用用具
鄭怡静はバタフライの契約選手で、ラケットはバタフライの特注ラケット、ラバーは両面に『ディグニクス09C』を使用しています。
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鄭怡静の世界ランキング
鄭怡静の世界ランキングは21位(2023年4月時点)で、最高ランキングは5位(2017年3月)です。元々200位台からスタートし、2009年からは2桁ランクに落ち着いてきています。近年は1桁ランクへの上昇も見せています。
鄭怡静の主な成績
2008年 | 中国オープン | U21女子シングルス:優勝 |
2009年 | 中国オープン | U21女子シングルス:優勝 |
2011年 | 中国オープン | U21女子シングルス:優勝 |
2012年 | グランドファイナル | 女子ダブルス:準優勝 |
2016年 | ワールドカップ | 女子シングルス:準優勝 |
世界選手権クアラルンプール大会 | 女子団体:銅メダル | |
リオ五輪 | 女子シングルス:ベスト8 | |
2017年 | 世界選手権デュッセルドルフ大会 | 混合ダブルス:銀メダル |
ドイツオープン | 女子ダブルス:準優勝 | |
2018年 | アジアカップ | 女子シングルス:ベスト4 |
女子ワールドカップ | 女子シングルス:ベスト4 | |
2019年 | 香港オープン | 女子シングルス:ベスト4、混合ダブルス:優勝 |
チームワールドカップ | 女子団体:ベスト4 | |
2021年 | WTTコンテンダードーハ | 混合ダブルス:優勝 |
WTTスターコンテンダードーハ | 混合ダブルス:優勝 | |
東京五輪 | 女子シングルス:ベスト8、混合ダブルス:銅メダル | |
世界選手権ヒューストン大会 | 混合ダブルス:銅メダル | |
2022年 | WTTシンガポールスマッシュ | 女子シングルス:ベスト16、混合ダブルス:準優勝 |
WTTコンテンダードーハ | 混合ダブルス:優勝 | |
2023年 | WTTスターコンテンダーゴア | 女子シングルス:準優勝 |
まとめ
台湾の大黒柱が、そのパワープレーを持って国際大会でタイトル獲得なるか。今後の彼女の活躍に目が離せません。
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